恋する動詞

いつも無表情に近い承太郎。確かにクールでかっこよくて(女の子に言うのもあれだけど本当にかっこいいのだ)男らしいというかなんというか。でもやっぱり僕としてはもっと笑ってもいいと思うんだ。きっと可愛いだろうに。小さくくすりと笑うだけでもいい。ちょっと口角が上がるだけで本当に素敵だと思うんだ。その、女の子っぽいというか。いやいや、別に承太郎が男の子みたいっていってるわけじゃあなくて!承太郎はふにふにして、可愛くて綺麗な女性だよ!?体つきだって……って何考えてるんだ僕は!とにかく、今のまんまでも十分可愛いけどもうちょっと笑ってくれたらなぁ……。

「どうした?花京院」
「え?あぁ考え事してたんだ、ごめんね」
「謝る必要はない」

会話をとぎれとぎれに僕らは帰り道を歩く。承太郎に変な虫がついたらいけないからね!……まぁ承太郎なら自分で追い払いそうだけど。むしろ僕が守られそう……ひ弱な自分にショックを受ける。

「花京院?早く行くぜ」
「あぁうん!ゲーセン早く行こっか」

そう、今日は帰りにゲーセン行くって約束してたんだよね。ゲーセンなら良いところ見せられるかなって。
相変わらず無愛想な承太郎。ちょっと笑ってくれないかなぁ……?きっと女神みたいな微笑みなんだろうなぁ。

「花京院今日はどうしたんだ?」
「へ?」
「なんか考えてばかりしているが……」
「な、何でもないんだって!ちょっとチェリーの事を、ね」

思わずついた嘘。チェリーについてって何だよ僕……。明らかに変だろ!

「変な花京院だな」
「!」

そう言った時やっと見れた!その微笑みが見たかったんだ。フッと笑った承太郎は本当に綺麗で……。

「承太郎、笑ってくれた」
「は?」
「いや、最近承太郎の笑顔見てなかったから心配だったんだー」
「俺は至ってフツーだぜ!」

少し照れた顔を隠すように承太郎は帽子を深くかぶる。もしかして、僕はいま凄い恥ずかしいことを言ったんじゃあないかな?そう考えて頬が熱くなる。けど、

「……プッ」
「何がおかしいんだよ……」
「いや、何でもないよ。早く行こっか」
「あぁ」

ちょっと変な僕って言われたけど笑顔が見れたし結果オーライ。
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