恋する動詞

出会いはいつだって必然的だ。偶然と言われても、神が定めた必然的な運命だ。運命の人との出逢いであっても。
彼らはありきたりなパターンで出逢った。それはある朝のことであった。

「やっべー!遅刻しちまう!」

猛ダッシュで走っているジョセフ・ジョースター。今朝も寝坊して遅刻ギリギリらしい。口にトーストをくわえたまま走っている。

「なんかよくあるパターンだよなー。これで曲がり角で美少女とごっつんこってか?」

しかし、ごっつんこした相手は美少女には程遠かった。いや、美ではあるが、少女ではなく少年だった。あちらも猛ダッシュしていたらしく勢い良くぶつかった。ゴツっという鈍い音を立てて二人して倒れた。

「いってー!何すんだよ!」
「あぁすまない急いでいるんだ、じゃあな」
「くっそー……あのいかにもスケコマシって感じのやつめ……!って!俺も遅刻する!」

猛ダッシュでジョセフは走った。ギリギリ学校についたものの、皆もう既に席についていたのだ。すると前の席のスージーQが話しかけてきた。

「ジョジョ、聞いた?今日留学生来るんだって!」
「留学生ー?聞いてねーし……」

そして、ジョセフは驚愕した。さっきぶつかった美少年こそが留学生だったのだ。

「今日から一年、留学生してきましたシーザー・A・ツェペリです」
(嘘だろ……こんなことって……!)
「シーザーくんかっこいいわねー!……ってあれ?ジョジョ?どうしたの」
「じゃあシーザーは……あのボーっとしてるジョジョの隣な」

先生が指さしたところ、それはジョセフの隣の席だった。未だに状況が掴めないジョセフを放っておいて、事はどんどん進んでいく。

「お前かよ」
「あぁ、さっきはどーも」

嫌味ったらしく言うジョセフにムッとしたシーザー。そこにスージーQが入ってくる。

「初めまして、私スージーQ。こっちはジョジョよ」
「よろしく、スージーQ」
「ジョジョも自己紹介ぐらいしたら?」
「……ジョセフ・ジョースター、ジョジョでいい」
「そうか」

そして、これから一年間の波乱万丈な学校生活が始まった。まさか、このあとジョセフとシーザーがいがみ合ってはいても親友と呼べる存在になり、ましてや、それを通り越して恋人同士になるなんてことは誰も予想がつくはずなかった。
25/67ページ
スキ