恋する動詞

「……」
「……こいつ」

目の前で眠りこけている仗助を見て露伴はイライラしていた。せっかく仗助が一緒にいたいと言っていたからわざわざ僕が時間をさいてやったのに、コイツときたら……と心の中で悪態をつきながら眠っている仗助をじっと見ている。本当は仗助と一緒にいるだけでも十分幸せなのだが、如何せん性格が性格なのでうまく伝わらないのだ。
そんな露伴の心境も知らないで仗助はただ夢を見ていたのだった。

「ふん、腑抜けた顔しやがって」

ツンツンとほっぺたをつついても仗助は起きる気配すらない。

「幸せそーに寝やがって」

露伴はそっと仗助の髪に触ろうとするが、躊躇った。怒られそうだからだ。仗助は怒ると手がつけられない。特に髪型の話になると尚更だ。仕方なく露伴は触ろうとする手を引っ込めた。

(面倒なことになるからな……)

いっそのこと叩き起しても良いのだが、こんなにも幸せそーに寝ているのを起こすには良心が痛む。いくらくそったれと罵っていても、いくら構って欲しくても、だ。確かにここは日差しが当たって暖かいからな……などと考えながら、露伴は仗助にブランケットを掛けてやるのだった。
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