恋する動詞
「思い出した?」
「……」
病室で横たわる承太郎。花京院はベッドの横に花瓶を置く。承太郎はただ、ボーっと外を眺めているだけだった。小鳥が2、3羽電信柱に止まっている。
「今日、学校に行ったんだよ。ちょっと辛かったけどね。でもね、やっぱり承太郎と一緒に行く学校の方が楽しいなって」
「……」
「早く一緒に学校に行けたらいいね。みんな心配してるし……何より僕が心配だし」
返事をしない承太郎の隣に座って今日あったことを話す。それが花京院の日常であった。いや、日常になってしまった。記憶を失ってしまったというのを花京院は知っている筈なのにそんな事ないと暗示するように花京院は話しかける。ただ、花京院にとっては辛く、耐え難い事実であった。
「それにね、承太郎」
「おい」
花京院の言葉を遮るかのように承太郎は口を開いた。包帯が痛々しく巻かれた承太郎は不審な者を見る目でこういうのだ。
「お前、誰だ?」
「……まだ、思い出せないんだね」
「思い出すも何も……俺はお前を知らない」
その言葉を聞く度にひどく胸が痛む花京院は何十回目かの自己紹介をするのだった。
.*・゚一方的な思い出.゚・*.
「……」
病室で横たわる承太郎。花京院はベッドの横に花瓶を置く。承太郎はただ、ボーっと外を眺めているだけだった。小鳥が2、3羽電信柱に止まっている。
「今日、学校に行ったんだよ。ちょっと辛かったけどね。でもね、やっぱり承太郎と一緒に行く学校の方が楽しいなって」
「……」
「早く一緒に学校に行けたらいいね。みんな心配してるし……何より僕が心配だし」
返事をしない承太郎の隣に座って今日あったことを話す。それが花京院の日常であった。いや、日常になってしまった。記憶を失ってしまったというのを花京院は知っている筈なのにそんな事ないと暗示するように花京院は話しかける。ただ、花京院にとっては辛く、耐え難い事実であった。
「それにね、承太郎」
「おい」
花京院の言葉を遮るかのように承太郎は口を開いた。包帯が痛々しく巻かれた承太郎は不審な者を見る目でこういうのだ。
「お前、誰だ?」
「……まだ、思い出せないんだね」
「思い出すも何も……俺はお前を知らない」
その言葉を聞く度にひどく胸が痛む花京院は何十回目かの自己紹介をするのだった。
.*・゚一方的な思い出.゚・*.