恋する動詞

人生にイージーミスは付きものである。誰だってミスをする。仕方がない。一時のテンションに身を任せて身を滅ぼすことさえある。

「どうしてこうなった」

誰だってそう思うことがある。それはジョニィも同じことであった。どうしてこうなった……それは遡れば分かる、はず。

「なんで僕ディエゴと一緒にいるわけ1キロ以上離れて歩いてくれない?」
「なぜか?付き合ってるからだろ」
「寝言は寝て言えバ怪獣」
「俺は恐竜だぜ」

ジョニィの真横にいるディエゴが結婚しようと話してきた。もちろんタスクの餌食になったが。それから、じゃあお付き合いを前提に結婚して下さいと言われたのだった。

「お付き合いと結婚が逆だし、しないし、そもそも僕はお前が嫌いだし」
「つれない事いうなよジョニィ君、恐れることはないよカップルになろう」
「タスクの餌食になりたいか、そうかお前でも爪とぎくらいにはなるだろうな」

そう言って高速回転し始める爪にも動じず、ディエゴは平然と立っている。

「じゃあこうしよう。既成事実なら問題ないだろ」
「大問題だよ。仮に付き合ったとしても3秒以内に別れるよ」
「付き合ってくれるのか!」
「お前の耳はどうしてこうも都合がいいんだ」

……それからの記憶が見当たらない。気が付いたらベッドに横たわっていたのだった。

「まさか」
「おはようジョニィ!」
「薬盛ったなこの野郎!!」
「バレたか……」
「バレたかじゃあなくてっ……!」

講義するジョニィはふと気がつく。服を着ていないことに。そして顔から血の気がザァッと引いていくのが分かった。

「もしかして……」
「既成事実」
「うわああああ」

へらりと笑っているディエゴに怒りと絶望が入り交じった感覚をぶつけようとすると腰が痛い。思うように動けずキッとディエゴを睨む。

「もうお婿に行けない……」
「じゃあオレの嫁になれば?」
「……即離婚して慰謝料ぶんどってやる」

.*・゚別れるなんてそんな馬鹿な.゚・*.
(でも楽しそうだったぜ?)
(何も言うな)
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