気持ち良い微かな風がジョルノの髪を掠める。木の下で二人、ジョルノとブチャラティが座っている。深い理由はないがただ二人だけの時間が欲しかっただけだ。戦闘ばかりの裏社会から少しだけ離れてみたいというだけである。

｢いい天気ですね、静かで｣
｢そうだな｣

多くの言葉は交わさないでただ静かな景色を楽しむ。たったそれだけでも伝わる。さわさわと木が揺れて、風が囁くように吹く、そんな穏やかな午後。

｢こんなに静かだったんだなぁ｣
｢僕たちが忙しすぎただけですよ｣
｢それもそうだな。こうして二人でいられるのも平穏なおかげだな｣
｢そうですね｣

あっという間に流れたあの時間が嘘のように今ではゆっくりゆっくり針を進めていく。

｢あのですね｣
｢どうかしたか？｣
｢僕はこう言った平穏な時をブチャラティと過ごせて嬉しく思います｣
｢俺もだ｣

ポツンとジョルノが呟く様に言う。それはあっという間に風に流されてしまいそうな、微かな言葉。

｢大好き｣
｢大好き、か。俺はそれを超えるぐらい大好き｣
｢じゃあもっと好き｣

囁き合う恋人たちの言葉は風にかき消されて、誰も知ることはない。

.*･ﾟ短い言葉に大きな意味を添えて.ﾟ･*.