恋する動詞

10惚れる(露仗)

惚れた弱みとはよく言ったものである。岸辺露伴が毎日のように押し掛けてくる東方仗助を許してしまうのはまさに惚れた弱みであった。文句を言っていても実際は嬉しい気持ちが溢れ出す。

「露伴ー」
「……なんだよ」
「呼んだだけー」

ニコリとしている仗助。用事がないなら呼ぶな、と言いたくなるが笑っている仗助を見ると怒れなかった。
二人はいわゆる恋人同士と言う奴だ。世間では公開など絶対しないが、そういう関係なのである。だから仕事中に押し掛けてきても怒らないし(呆れはする)お菓子とお茶だってだしてやる。

「あーやっぱりケーキ美味しいなぁ!」
「当たり前だろ、僕の行きつけだからな。仕事用だが」
「仕事用なんて勿体無い!露伴センセーも食べるべきだぜ!」

もぐもぐと口を動かす仗助がケーキを刺したフォークを差し出す。

「なんだよ」
「あーん」
「しないからな」
「勿体無いっすよ!ほらほら」

早く早くと急かす仗助に従ってケーキを口に含む。生クリームの甘さが広がる。

「……ん、うまいな」
「だろ!」

露伴が食べた事に満足した仗助は笑顔でケーキを頬張り始める。そんな様子を見て露伴はポツリと呟いた。

「惚れた弱み、か」
「何か言ったー?」
「いや、何も」

.*・゚貴方の表情全てに惚れる.゚・*.
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