第2章
夢小説設定
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朔姫夜はダイアゴン横丁に来てから『マダムマルキンの洋装店』で初めてローブを脱いだ。
此処にいる者とは違う格好をしている朔姫夜の姿を見た数人の客は、互いにヒソヒソと何か話していた。
「珍しい服を着ていらっしゃいますね。まるで日本に居るという忍者が着る様な……それにその髪の色も……此処には色々なお客様がご来店しますが、その様な服も薄花桜色の髪も初めて見ました」
髪の色を言われた時朔姫夜は一瞬、表情を曇らせたがすぐに平静を装いマダム・マルキンに尋ねた。
「マダム、この服と同じ様な物は作れますか?」
「ええ、その服をお貸し戴ければ同じ様に作れますよ」
「では、この服も数着お願いしたい」
「畏まりました」
朔姫夜は制服の他に普段着る服も数着購入し、その1つに着替えると今まで着ていた服をマダム・マルキンに渡し店を出た。
「校長から好きな物を買わせる様に言われているが、ふくろう、猫、ネズミにひき蛙、このうちのどれか購入するかね?」
教科書や羽根ペン、大鍋など新学期から使う必要な物を一通り買い揃えると、セブルスが聞いて来た。
「否、それらは要らぬ…それよりもう一ヶ所、行きたい店がある。薬を扱っている店に連れて行って欲しいのだが」
「薬?」
セブルスは片眉を吊り上げて聞き返した。
「私事にいちいち興味を示すとは、私に惚れたのか?セブルス」
朔姫夜は無表情のまま言った。
「なっ、何を莫迦な事を…嫌われる要素はたんまりとあるが、惚れられる要素なぞ無かろう」
「惚れられる要素が無いとは失礼な奴だな。容姿は悪くないのだ、それで十分ではないか」
「容姿は悪くないなどと普通、自ら言わぬと思うが?《まぁ、確かに顔は悪くないか。どちらかと言えば好みのタイプに…って我輩は何を考えているのだ!?》…それに何より貴様は性格が悪過ぎる!!!」
「ならば私に干渉するな。黙って薬を扱っている店を案内すれば良い」
セブルスは眉間に皺を寄せ何か文句を言いたげな顔をしていたが、何も言わずに薬を扱っている店へ案内した。
「中へは私一人で入る」
そう告げ、朔姫夜はセブルスを外で待たせ店の中に入って行った。
暫くの間、店主と話していた朔姫夜だったが何も買わずに店から出て来た。
「目当ての品が無かったのか?どういう物が必要なのか教えてくれれば、取り扱っている店へ連れて行く事も可能だが?」
声を掛けて来たセブルスをひと睨みしてから、朔姫夜は口を開いた。
「否、今日は購入が目的ではない」
「購入が目的ではない!?」
セブルスはオウム返しの様に同じ言葉を繰り返した。
朔姫夜は腕を伸ばしセブルスの胸倉を掴むとグイッと自分の方に引き寄せた。
「貴様に説明する義務は無い。何度も私に干渉するなと言った筈だ」
低いトーンで発せられたその声は、とても冷ややかで一瞬で周りの空気まで凍りつかせた。
「………」
なっ、何だ?この威圧感は…
鋭い刃物が我輩の身体を貫こうと狙っている様な感じがする。
ほんの少し動いただけで切り刻まれてしまいそうで、声すら発せられぬとは…
この者は一体…
「…解ったのなら、戻るぞ」
朔姫夜は押し返す様に掴んでいた手を離した。
この様に背筋が凍る思いをしたのは、いつ以来だろうか?と思いながらセブルスは無言のまま朔姫夜の腕を掴み姿現しでホグワーツの門の傍に移動した。
その後も二人は言葉を交わす事無く城へと戻り、セブルスは校長室へ朔姫夜は私室へと向かった。
「しまっ…た…」
部屋に戻る途中、朔姫夜は残ったお金を返し忘れていた事に気がついた。
今はセブルスと距離をおきたいと思っている朔姫夜は、時間をずらして返しに行くか、と再び私室へ向かって歩き始めた。
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