咲き続ける花
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朔姫夜は部屋を飛び出した後、大好きな場所の一つである大きな大きな桜の木の処に来ていた。
「お前は凄いね……」
桜の木を見上げ呟いた。
今は花も葉も無く枝だけだけど、厳しい冬を乗り越え春には立派な花を咲かす 。
私も何時かお前の様に花を咲かせる事が出来るだろうか?
幼い頃、芽生えた白哉ちゃんへの恋の蕾 。
この蕾は未だ厳しい冬の真っ只中 。
もしかしたら、このまま咲かずに終わってしまうかもしれない……
「大好きな人が欲しいと思っている物も解んないんだもん、仕方ないのかな……」
朔姫夜がボソッと呟いた時、背後で「……やはり此処に居たのだな」と声がし、朔姫夜は振り返った。
「白哉ちゃん……《今の聞かれちゃったかな……?》」
「忘れ物だ」
白哉はケーキの箱を持っていた手を、朔姫夜の方に伸ばした。
「い、要らないよ。それは白哉ちゃんにあげたんだもん……白哉ちゃんが要らないって言うのなら捨てちゃっていいよ」
朔姫夜は頬を膨らませ、プイッとそっぽを向いた。
「……幾ら甘さ控えめだからと言っても、私一人では食べきれぬ……朔姫夜、共に食べてはくれぬか?」
「うっ……じゃ、じゃあ、白哉ちゃんが欲しい物を教えてくれたら、一緒に食べてあげてもいいよ。ヒントでもいいけど……この間言っていた『私からしか貰いたくないモノ』より解り易いヤツね」
「……ニブい奴だ……」
白哉は朔姫夜の腕を掴むと自分の方へ引き寄せ、ギュッと抱きしめた。
「えっ……!?」
突然の事で朔姫夜は驚き、そのまま固まってしまった。
「……これでも解らぬか?」
「……………」
ドクン、ドクンッと鼓動はどんどん早くなるが、思考は停止したままで何が何だか解っていなかった。
「……私が欲しいのは……朔姫夜、そなたの愛……否、全てが欲しい……」
白哉は朔姫夜の耳元で甘く囁く様に言った。
「………うん。全部……全部あげるよ、白哉ちゃんに……だって、ずっとずっと大好きだったんだもん」
朔姫夜は白哉の背に腕を回し、真っ赤な顔を胸に埋めた。
今朔姫夜の中の蕾は大きくてとても綺麗な花を……
永遠に枯れる事のない愛の花を咲かせていた 。
ーーー END ーーー
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