第11章
夢小説設定
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「朔姫夜、もう少し何か食べて下さい」
あれから数日朔姫夜は殆ど何も口にせず、塞ぎ込んだままだった。
「朔姫夜の様子は?」
「美雲さん…」
ミラージュが朔姫夜の部屋から出て来た所を美雲が声を掛けるが、ミラージュはダメです、と言う様に首を横に振った。
「かなり重症ね…昨日なんか本人無自覚で身投げしそうになってるし、今頃私に気づいたのかその後『おかえり』って言われるし…って朔姫夜!?」
美雲が話している途中で朔姫夜が部屋から出て来た。
「ミラージュ、貴女の機体を貸して」
「えっ!?朔姫夜?」
何がなんだか分からずミラージュは咄嗟に朔姫夜の腕を掴んだ。
「行かなきゃいけない所があるの」
「それなら私が連れて行きます。案内して下さい。美雲さんすみません、ちょっと行って来ます」
朔姫夜を1人にしてはダメだと思ったミラージュは、朔姫夜について行く事にした。
ミラージュの機体は星の神殿があった場所を通り過ぎた所にある山の麓へと降り立った。
朔姫夜が機体から降り歩き出すとミラージュもその後に続いた。
「朔姫夜、何処まで行くんです?」
「…微かだけどキースのルンを感じるの」
「そう思いたい気持ちは分かりますが、彼はーー」
「キースは生きてる。私には分かるの…」
ミラージュの言葉を遮り朔姫夜が答える。
「ですが…んっ?霧?」
急に霧が濃くなりどんどん視界が悪くなって来る。
「朔姫夜?朔姫夜、何処ですか!?」
濃い霧で目の前が真っ白になりミラージュは朔姫夜の姿を見失ってしまった。
下手に動くのは危険だと判断しミラージュは、その場に留まる事にした。
朔姫夜の方はというと、ミラージュとは違いしっかりとした足取りで目的地へと向かっていた。
そして目の前に1軒の白い家を見つけ、ドアをノックすると老夫婦が朔姫夜を中に招き入れた。
「そろそろ来る頃だろうと思っていましたよ」
顔に見覚えはないが、何処か懐かしい感じのする女性がそう言い朔姫夜を奥の部屋へと案内した。
「キース…」
その部屋のベッドには死んだと思われていたキースが眠っていた。
朔姫夜はキースの傍に行き頬に触れ、生きていてくれた事に安堵し涙を流していた。
「彼は今、生死をさまよっています。貴女の歌声で光を灯し導いてあげなさい、朔姫夜」
「…はい」
朔姫夜はキースの手を握り締め歌を歌い出した。
どのくらいの時間、歌っていただろうか?
微かな光を帯びていたキースのルンが、少しずつ輝きを取り戻して行く。
「もう大丈夫です。彼は時期に目を覚ますでしょう」
朔姫夜が歌っている間、ずっと傍で見守っていた女性がサキヤの肩に手を置きそう告げた。
「…母様…キースを助けてくれてありがとう」
朔姫夜は振り向き女性に抱きつきながら言った。
「気づいていたのですね、朔姫夜」
見知らぬ年老いた女性の姿から朔姫夜が知る母サラの姿に変わって行った。
「大きくなりましたね。素敵な女性に成長してくれて嬉しいです」
サラは朔姫夜の髪を優しく撫でながら娘の成長を喜んでいた。
「母様…。一緒にいる方はもしかして父様?」
「ああ。直接会うのは初めてだね、朔姫夜」
見知らぬ老いた男性の姿から、朔姫夜が以前夢で見た若い男性の姿に変わった。
「ゆっくり話をしたい所だか、我々はもう行かなければならない。もうすぐ彼も目を覚ますだろうから余り長居をせずに立ち去るのだよ。帰り道は分かるね?朔姫夜」
「はい、父様」
「姿は見えずとも私達はいつも貴女の傍で見守っていますからね、朔姫夜」
「父様も母様もキースを助けてくれて、本当にありがとう」
「幸せになるんだよ」
2人の姿がだんだん薄れて行き消えてしまった。
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