第10章
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ラグナへフォールドしている時、朔姫夜は美雲の悲痛な心の叫びが聴こえた気がした。
「美雲!?」
「感じる、美雲のズキズキ」
「何だか寂しそう…」
一緒にライブの準備をしていた他のワルキューレのメンバーも美雲の異変を感じていた。
美雲とマキナの不在の中、朔姫夜、フレイア、カナメ、レイナの4人はそれぞれの想いを胸に歌い出し戦闘が始まって行く。
だが、フレイアの歌声がおかしい…
いつもと違うと感じた朔姫夜は、フレイアがウィンダミアで怪我をしたと言っていた右手に目をやった。
ウィンダミア人特有の老化の兆しが現れ、それを隠しているのだと気づきサキヤはフレイアの右手を握り締めた。
その時、強いフォールド波を感じ美雲が歌う星の歌声が響き渡る。
星の神殿から響く歌声は今までのものとは比べものにならないくらい強力で、皆の意識が1つに繋がりシンクロし自我が失われていく。
Δ小隊や空中騎士団達も争いを止め、体ごと乗っ取らたかの様に皆同じ方向へ飛んで行く。
「…クッ…だめ…そんな事…させてはダメ!キース、お願い…ロイドを止めて」
朔姫夜は繋がった意識の中にいるであろうキースに、自分の想いを伝えるが反応がない。
「美雲!…『ルダンジャール・ロム・マヤン』美雲、答えて」
「…ウッ…朔姫夜…?」
「美雲!!必ず助けるから出来る限り抵抗して」
「朔姫夜様だろうと邪魔はさせません。『ルダンジャール・ロム・マヤン』」
星の神殿で直接繋がりを持っているロイドの方が強く、朔姫夜の意識が吹き飛ばされた。
美雲や皆を助ける為、朔姫夜は星の歌に対抗するように想いを込めて歌い始めた。
朔姫夜の周りから暖かく優しい光が溢れ出すと、フレイアが自我を取り戻し朔姫夜と一緒に歌を歌い始める。
「キース!お願い答えて!!」
「…っ朔姫夜?」
「キース、このままではダメ。ロイドを止めて」
朔姫夜とフレイアの歌声に反応しキースだけではなくハヤテやミラージュ、ハインツも自我を取り戻して行く。
そしてハインツも風の歌を歌い出し空中騎士団に「ワルキューレと手を結びロイドを打て」と命じた。
「それが陛下の」
「誠なる風だ!ロイドを打ち破り銀河を守れ!」
だが己の自我を守ろうとしても無駄だとでも言う様に、星の歌声が強くなって行き再び意識を持っていかれそうになる。
朔姫夜は自分の命と想いを歌声に乗せ更に力強く歌いつづけた。
すると朔姫夜とフレイアは完全に自我を取り戻し、体を自由に動かせる様になった。
2人のルンが今までよりも強く光だしカナメやレイナ達も自我を取り戻して行った。
皆と一緒に歌いたいとマキナも痛みを堪えて合流し、歌声の力が増して行く。
ワルキューレ、Δ小隊、空中騎士団対ロイドが操る他の兵士達との戦いが始まり神殿から放たれた攻撃がワルキューレ達を襲った。
その攻撃でバリアが破れ朔姫夜、フレイア、マキナ、レイナが外へ放り出された。
朔姫夜はフレイアの手を掴んだままだったので、一緒に美雲がいる神殿へと方向を変えた。
「美雲さん。私、ワルキューレで歌えて好きな人が出来てルンが生きてるって感じでいっぱいで…美雲さんは何故、どんな想いでうたってるんですか?」
飛びながらフレイアが美雲に問いかけた。
「はっ…違う、わたしは…私は」
美雲がいつもの美雲に戻り始めていた。
「歌は愛」
「歌は希望」
「歌は命」
「歌は元気」
「歌は輝き」
「貴女達と出会えたから貴女達と…一緒に歌いたい!!歌は神秘!」
美雲もワルキューレの歌を歌い出した。
「美雲復活!」
朔姫夜と一緒に外に放り出されたマキナとレイナが敵の攻撃を受けていたが、ボーグが「1度だけだからな!」と言って助けに入った。
そしてフレイアはハヤテが、朔姫夜はミラージュに助けられ機体に乗り込んだ。
そのままハヤテとミラージュが敵の攻撃を受けながら星の神殿に近づいていると、キースの機体が助けに入った。
「星の歌い手を連れて行け!風は俺が止める!!」
「キース!必ず生きて再開しましょう」
朔姫夜はキースの無事を祈った。
「朔姫夜…勿論だ!」
キースが道を切り開いてくれたお陰で、直ぐに神殿に辿り着く事が出来た。
「美雲さん!」
ミラージュが美雲を呼びながら機体の片腕を伸ばす。
美雲が掌に飛び乗っると機体は神殿から離れて行き、それとすれ違う様にロイドが操る機体とキースが戦いながら神殿へと近づいて来た。
互角の戦いで機体同士が相討ちになる寸前キースか機体から飛び降り、そのまま剣を抜きロイドを突き刺した。
その直後、キースとロイドの機体が爆発し、神殿もその爆発の被害を受けるのが見えた。
「キース!?イヤっ…キース!!!」
朔姫夜が悲痛な叫び声を上げた。
ルンにキースとロイドの風が弱まり止まりかけているのを感じていたのだ。
「ミラージュ、お願い戻って!キースが…キーが…お願い……」
「もう無理です…朔姫夜、貴女もしかして…」
今までに見た事がない程、取り乱している朔姫夜の姿を見てミラージュは朔姫夜はキースの事が好きなのだと気がついた。
でも、あの爆発では引き返しても手遅れだと感じ、心が痛みながらも皆の元へ戻る判断をした。
ミラージュは皆がいる海岸へと着地し美雲を降ろした。
それからコックピットを開くと、後ろでずっと泣きじゃくっている朔姫夜を抱きしめた。
「…ミラージュ、嘘だと言って……さっきの光景は見間違いだと言って……」
「朔姫夜…」
「さっきまで感じていたキースのルンが…今は感じられないの…嫌よイヤ…キース…キース……」
ミラージュは朔姫夜が落ち着くまで、抱きしめながら頭や背中を撫でていた。
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