第9章
夢小説設定
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暫くして朔姫夜はルンにいつもと少し違う風を感じた。
「歌?ワルキューレの歌声…ウィンダミアに向かってるの!?」
朔姫夜は着替えを済ませ外に出た。
「…来る」
そう呟いたと同時にウィンダミアの空にフォールドゲートが開いた。
「遠い…けど感じる」
ワルキューレ達が乗った機体にΔ小隊が3機、そしてその後から空中騎士団が2機。
空中戦でワルキューレ達の機体が損傷し不時着、ハヤテの機体とカシムの機体での攻防戦。
朔姫夜は目の前で起きているかの様に全てを感じていた。
「っ!?カシム…」
カシムは命を燃やして風を読んでいた為、老化が急速に進み戦闘の途中でルンが尽きてしまった。
「皆は?…3つに分かれ様だけど、無事みたいね」
朔姫夜はホッと胸を撫で下ろした。
ワルキューレ達が此方に向かっているのを感じ、今はまだ下手に動かない方が良いと判断した朔姫夜は城内に留まる事にした。
捜索が続く中、翌日になってもまだ誰1人発見されていなかった。
「キース、私も一緒に捜索に連れて行って下さい」
朔姫夜は機体に乗って空から捜索しに行こうとしていたキースに声を掛けた。
「ダメだ」
「それなら1人で行きます」
「…待て」
キースは自分に背を向け歩き出した朔姫夜の腕を掴んで引き止めた。
「…勝手に動き回られるよりはマシだ、連れて行く」
その言葉を聞くと朔姫夜はキースの後ろの席に座った。
2人は暫く無言のままワルキューレ達の姿を探していた。
「…風が動く」
朔姫夜は何かを感じ口を開いた。
「何?」
「あの山の向こう。キース、そのまま直進して」
向かった先にはボーグ達に追い詰められたフレイア、ハヤテ、ミラージュの姿があり朔姫夜やキース達も機体から降りた。
「貴様達がカシムを」
ボーグは怒りを露わにしてハヤテの方に向かって歩いて来た。
「手を出すな、ボーグ。捕虜を生かして連れて来いと陛下のご命令だ」
暫くするとロイドもやって来て、データを見ながら3人の名前を言って行く。
「ハヤテ・インメルマン少尉…」
「インメルマン…?ロイド様、まさかコイツが」
1度平静を装ったボーグの顔が、再び怒りと憎しみが入り混じった表情に変わった。
「ライト・インメルマンの息子、そうだな?」
ロイドが聞くとハヤテは肯定し、「自分の目で確かめるまで信じない」と言った。
「そうか…連れて行け」
ロイドのその言葉でハヤテ達は次元兵器が投下された場所に連れてこられた。
「朔姫夜様は此処に残られた方が良いのでは?」
ロイドと一緒に車で来た朔姫夜が降りようとした時、ロイドが声を掛けた。
「…いえ、私も行きます。いつまでも目を逸らしたままではいられませんから…」
朔姫夜は少し強ばった表情で、皆んなの後ろからついて行った。
目的地な近づくに連れ朔姫夜の足は竦み上がり、歩みを止めてしまった。
「朔姫夜様、ご無理をなさいませんよう…此処でお待下さい」
キースが朔姫夜の傍に寄って来た。
「キース…私はあの時、風を感じ彼の父、ライト・インメルマンの声を聞きました。ライト・インメルマンはウィンダミアを救おうとしてくれていたのです」
「それは子供の頃にも言っていましたが、母親が亡くなり記憶が混乱し夢と現実の区別がつかなかった時の話」
「違うのです!あれは夢なんかじゃありません!」
「そう思いたいのでしょうが、現実は違います。……顔色が優れない。朔姫夜様は此処で休んでいて下さい」
「キース、信じて下さい…」
朔姫夜を置いてキースは行ってしまった。
朔姫夜は皆からだいぶ遅れてだが、カーライルの頂きに向かってゆっくりと歩みを進めた。
「っ?歌…フレイアの恐怖や悲しみなどが入り混じった胸が締め付けられる歌声…」
フレイアの歌い手を聴いているうちに、7年前の恐怖が蘇り朔姫夜はその場にしゃがみ込んでしまった。
記憶を取り戻しもう大丈夫かと思ったけど、まだ無理だったみたい…
呼吸を整え落ちついて来た頃、ロイドが先に1人で降りて来た。
「城へ戻ります。朔姫夜様もご一緒に」
「…そうですね。無理に向かわず今日は戻ります」
ロイドが手を差し伸べると朔姫夜は、それに掴まり立ち上がった。
「朔姫夜様は『星の歌い手』と『光の歌い手』をご存知ですか?」
車で城へ向かう途中、ロイドが尋ねた。
「ウィンダミアに伝わる伝説ですよね、それが何か?」
「いえ、少々気になる事がありまして…」
ロイドは人差し指で眼鏡を押し上げると『ルダンジャール・ロム・マヤン』と呟いた。
「…私には意味を成しませんよ、ロイド。貴方が何をしようとしているのか分かりませんが、ウィンダミアの為の行動だと信じて良いのですよね?」
「それは勿論。ウィンダミアだけではなく全宇宙の事を考えての事です」
ロイドは笑みを浮かべていたが、目は笑ってはいなかった。
「そうですか…私は貴方とキースがこの空を飛び回っていた姿が大好きでした。そして羨ましくもありました」
「羨ましいと思われていたのですか?」
「はい、お二人と一緒に飛びたいと思ってましたから。でもその後、貴方が翼を折り地上に留まってしまって…今でも貴方とキースが同じ空で翼を広げて羽ばたいてくれる事を私は望んでいます」
「そうですね、そうなれば一番良いのですが…」
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