第8章
夢小説設定
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歌の出力を更に増大させる実験準備が整い詳しいデータを取る為にロイドや空中騎士団はヴォルドールの遺跡へと向かう事となった。
朔姫夜のデータも欲しいロイドはウィンダミアの神殿ではなく、自分達の方に朔姫夜を同行させた。
「朔姫夜様」
「キース…」
朔姫夜とハインツの婚約が発表された戴冠式からキースは、朔姫夜の事を様付けで呼ぶようになっていた。
「顔色が優れない様ですが?」
「ここ数日、色々あり過ぎて睡眠不足だっただけ…ヴォルドールに着くまで少し休めば大丈夫です。心配いりません」
「そうですか…余りご無理をなさいません様、ご自愛下さい」
キースは片膝をつき頭を下げた。
「そうですね。ありがとう、キース」
朔姫夜はキースの方に手を伸ばしかけたが、思い留まり手を引っ込めた。
今、キースに触れてしまうと決心が揺らぎ傍を離れたくない、と言ってしまいそうな気持ちを心の奥底に閉じ込めながら。
ヴォルドールに近づくと作戦の指示が出された。
「キース、テオ、ザオは衛星軌道上で警戒。ヘルマン、カシム、ボーグは地上に待機。システムの反応が確認された後、観測班と共に大気圏外へ撤収。朔姫夜様は此処で歌の準備を」
ロイドの指示に不満がある者もいたが、文句を言わずに皆それに従った。
「美雲?」
作戦が開始され合図を待っていた朔姫夜は美雲の歌声が聴こえて顔を上げた。
ロイド達が見ていたヴォルドールのシステムの映像に美雲が歌っている姿があり、その場所に他のメンバーが集まって来ているのが見えた。
「みんな…」
ワルキューレの歌声が響く中、空中騎士団とΔ小隊との戦いが始まり朔姫夜は映像から目を逸らした。
「陛下にご出動を!」
神殿の増幅装置を使い今までよりも強力なハインツの風の歌声が響き渡る。
「陛下のフォールド波に乱れが出ています」
艦内で観測していた兵が言った。
「プロトカルチャーシステムの影響か…朔姫夜様、朔姫夜様もお願いします」
ロイドの合図に朔姫夜は口を開いたが、声が出て来なかった。
ワルキューレの姿を見て歌声を聴いているうちに、ワルキューレの皆と歌いたいという気持ちが強くなり風の歌を歌う事が出来なかったのだ。
「朔姫夜様!」
ハインツの歌声に押され暫く間、歌声が止まっていたワルキューレの…美雲とフレイアの歌声が聴こえて来ると、それに合わせて朔姫夜も歌い出していた。
「…何?」
ワルキューレの歌を歌っている途中で朔姫夜は美雲の異変をルンに感じた。
その直後、朔姫夜の頭の中に美雲の映像が浮かび上がり美雲の過去や感じているものを共有していた。
そして朔姫夜と美雲の歌声が混ざり合うと、システムを介して増大なフォールド波がヴォルドールを覆い尽くし住民達の脳波同調が起きた。
「システム上空にメガフォールドゲート反応。他の惑星のシステムにも同様の反応を確認」
「…星の歌い手…『ルダンジャール・ロム・マヤン』」
朔姫夜はロイド達には聞こえないくらいの小声で呟き、美雲と一緒に最後のフレーズを歌い出した。
朔姫夜の周りに風が吹き始め体が宙に浮き、歌い終わると気を失いその場に倒れた。
「っ!?朔姫夜様!!!」
ロイドが駆け寄り朔姫夜を呼びながら抱き抱えるが目を覚ます気配がない為、艦内の治療室へと運んだ。
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