第7章
夢小説設定
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アルシャハルから帰還したキースは朔姫夜の異変の報告を受け、慌てて朔姫夜の部屋へ向かった。
部屋に入ると朔姫夜は部屋の隅で縮こまり怯えていた。
「朔姫夜…」
キースは優しく声を掛けゆっくりと傍に寄って行く。
「……キース?…母様が…母様が…」
朔姫夜はキースに抱きつき、顔を埋めながら震えていた。
「大丈夫。大丈夫だから落ち着くんだ」
キースは朔姫夜の頭や髪、背中を何度も何度も落ち着くまで撫でていた。
「…7年前の記憶が戻ったのか?」
「うん…全部ではないけど…」
朔姫夜はキースの胸に顔を埋めたまま答えた時、
コン、コン、コンとドアをノックする音が聞こえ「キース様、グラミア陛下がお呼びです」とドア越しに声が聞こえた。
「直ぐに行く」
キースの返答に朔姫夜は行って欲しくないとでも言うように、キースを抱きしめてる手に力を込めた。
「…終わったら戻って来る」
キースはゆっくりと朔姫夜の手を離し、おでこにキスを落とした。
朔姫夜をベッドへ連れて行くと後ろ髪を引かれる思いで部屋を後にし、グラミア王の部屋へと向かった。
グラミア王はハインツの乱れた風をルンに感じ、風の歌とワルキューレの歌が共鳴し一時的に風が混ざり合ったのを感じていた。
そしてキースとロイドがグラミア王の元へ来ると、今後は自ら指揮をとる事を告げた。
グラミア王の部屋を出た途端、キースはロイドの胸倉を掴み壁に押し当てた。
「無理矢理歌わせたのではあるまいな?」
キースの瞳は怒りに充ちていて、掴んでいる手に力が入る。
「ち、違う。朔姫夜様自らワルキューレの歌を…それから風が混ざり…」
キースは力を緩め手を離した。
「朔姫夜様は?」
「…少し落ち着いた。だが、まだ…」
「分かっている。暫くは他の者を近づけさせない。朔姫夜様の事はお前に任せる」
その後、場所を変え2人だけで話をしてからキースは朔姫夜の部屋へ戻って行った。
*****
朔姫夜はキースが部屋から出て行くと、キースの温もりと残り香を閉じ込めるかの様にベッド上で膝を抱え自分を抱きしめた。
「キース…」
香りが薄れるに連れ段々と恐怖が蘇り、キースがサキヤの部屋に戻ってくる頃には再び怯えながら震えていた。
「すまない、遅くなってしまった」
キースは朔姫夜に近づき優しく包む様に抱きしめると、朔姫夜の怯えと震えが徐々に治まって行った。
不意に朔姫夜が顔を上げ2人の視線が絡み合い、どちらからともなく唇を重ね合わせる。
この時キースは初めて自分の気持ちに気がついた。
朔姫夜を1人の女性として愛しているという事を…
互いのルンも惹かれ合い淡いピンクの光を帯びながら触れ合うと互いの感情も混ざり合った。
だが、どちらもそれを口にする事なく2人だけの時間を過ごした。
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