第6章
夢小説設定
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朔姫夜は誰もいない中庭に出て、心地良い風を身体で感じながら空を見上げた。
「皆に会いたい……」
ケイオスの皆は今、何をしているんだろうか?
裸喰娘々のご飯が恋しい…
ミラージュやΔ小隊の皆が恋しい…
ワルキューレの皆が恋しい…
ケイオスの皆と離れてまだ数日しか経っていないのに気づけば皆の事を考えてしまい、いつの間にかワルキューレの曲を口ずさんでいた。
「誰?」
朔姫夜はルンに人の気配を感じ振り返った。
「すみません、朔姫夜様。邪魔するつもりはなかったのですが…」
「ロイド…何か私に用事でも?」
「朔姫夜様にも神殿で歌って欲しいと思いまして。ハインツ様と一緒に風の歌を…ムリに、とは言いませんが」
「………」
「朔姫夜様の歌声があれば、キースが今まで以上の力を発揮する事が分かりました。それと、朔姫夜様が一緒に歌って下さるのなら、ハインツ様のご負担も軽くなるかと思いまして」
「……少し考えさせて下さい」
風の歌はヴァール化を促進させるけどハインツの身体も心配な朔姫夜は、断る事も引き受ける事も出来ずにいた。
「勿論、構いません。歌わないとしても1度、ハインツ様が神殿で歌われる時に同行して頂けないでしょうか?」
「…分かりました。歌わずとも良いと言うなら同行致します」
「ありがとうございます」
ロイドは深々と頭を下げてから立ち去った。
表情が曇ったままの朔姫夜は再び空を見上げた。
私はどうすれは良いのだろうか?
私の歌声でハインツの負担が減るのなら協力してあげたいけど、人々のヴァール化が促進させるのは嫌…
キースの力にもなりたいが、ケイオスの皆が攻撃で負傷するのも嫌…
そして、こんなグダグダと考えている自分が嫌…
「んーっ…よしっ!」
朔姫夜は何か思いついきキースの元へと向かった。
「何事だ?」
「ウィンダミアの空を飛びたい!キースの後ろに乗せて。嫌なら1人で飛んで来る」
「…嫌とは言っていないだろう?」
「ありがとうキース!」
お礼を言うが早いか乗るのが早いか、朔姫夜は既にコックピットの後ろの席に座っていた。
キースはハァーっと溜め息をついてからコックピットに乗り込み飛び立った。
「風が気持ちいい」
「当たり前だ」
「私、キースが飛んでるのを見るの好きよ。気高くて、キースそのものって感じで…戦闘中でも魅入ってしまうくらい大好き…」
「………」
「空中騎士団もウィンダミアも好き!…でも、それと同じくらいケイオスの皆も好き…ワルキューレの歌も好き…」
キース達は穢れた者…穢れた歌と嫌っているけど、私にはウィンダミアの皆と同じようにケイオスの皆も大切なの。
どちらも同じ様に大切な仲間…
無理な事なのは分かっているけど、戦争なんてして欲しくない…
どちらにも傷ついて欲しくない…
朔姫夜が自分の気持ちを吐き出している間、キースは何も言わずに聞いていた。
「♪~~~ ~~~♪」
朔姫夜はワルキューレの曲を歌い出した。
「穢れた者の歌…だが心地良い…」
朔姫夜が歌うと嫌な気はしない。
寧ろルンが研ぎ澄まされ風を敏感に感じる。
いつも以上に速く飛んでいても全てが鮮明に見えて来る。
お互いのルンが惹かれ合うように近づき触れ合い、気持ちの一部が混ざり合い溶け込んで行く。
先程よりも強い繋がりを感じながらキースは心のままに飛び回った。
「…あいつ等の所へ戻りたいか?」
機体を戻し城へと戻って来たキースは、朔姫夜に尋ねた。
「…分からない…此処に居たい気持ちとケイオスに戻りたい気持ち…どちらも同じくらい」
「そうか…」
朔姫夜は不意に後ろからキースに抱きついた。
「…今日はありがとう」
それだけ言うと直ぐにキースから手を離した。
この数秒の出来事にキースの心臓は跳ね上がり、早鐘を打っていた。
だかそれを悟られない様にキースはポーカーフェイスで平静を装った。
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