第6章
夢小説設定
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キースが自室へ戻るとロイドが、部屋の前の壁に寄りかかりながら待っていた。
「お前が感情を剥き出しにし朔姫夜様に手を上げるなんて珍しい事もあるものだな。心配していた気持ちは分かるが」
「……別に心配など…」
キースはロイドを自室に入れた。
「それにあの時、本気で斬りつけるフリをしていた」
「いいや、本気で朔姫夜を斬るつもりだった」
「あの剣を受け止めた私を誤魔化せるとでも思っているのか?あんな振りの軽い剣がお前の本気な訳がない。相変わらず朔姫夜様には甘い…」
「それを言いにわざわざ来たのか?」
キースは不機嫌そうに言った。
「否、お前の顔を見たら少しからかいたくなっただけだ。本題は朔姫夜様の歌声…あの歌声にハインツ様のと同等かそれに近いものがあると感じなかったか?」
ロイドは朔姫夜がワルキューレの曲を口ずさんだ時、遺跡が反応し共鳴している様に感じていたのだった。
「風の歌い手はハインツ様の筈」
「ああ、確かに風の歌い手はハインツ様ただ1人。だが朔姫夜様の歌声にハインツ様の様な力があるとしたら?朔姫夜様に協力して貰えたらハインツ様のご負担も軽くなると思わないか?」
どんな事が起きるのか想像してワクワクしているのか、ロイドは少し興奮している様だった。
「…朔姫夜の歌声を利用するのは反対だ!ハインツ様の負担が軽くなるのだとしても、7年前に受けた心のキズがまだ癒えていない朔姫夜を利用するなど…」
「我々には時間が無い。利用出来るものがあるのに、利用しないテはない。それが例え誰であろうと…キース、お前は朔姫夜様が好きなのか?だから朔姫夜様の負担になる様な事には反対なのか?」
「すっ、好きとか嫌いの問題ではない」
キースの眉間に皺が寄る。
「では何が問題なのだ?7年前のキズなら我々ウィンダミア人は皆、心にキズを受けている。朔姫夜様だけが特別ではない筈だ。それにハインツ様のお身体の負担も大きい。このままでは…」
「………」
眉間に皺を寄せたまま少しの間黙っていたキースが、大きな溜め息をついてから口を開いた。
「…朔姫夜の意志を尊重するなら試してみても構わない」
キースに承諾を貰う必要はないのだが、一応言っておかないと後々面倒だからな…
キースは朔姫夜様の事となるとムキになるわ…
本人には甘いわ…
本当に恋愛感情はないのか?
まあ、イトコと言っても幼い頃から一緒にいるからキースにしたら妹みたいなものなのかもしれないが…
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