第4章
夢小説設定
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着替えを済ませた朔姫夜とミラージュは遊園地に来ていた。
「これの何処が訓練なんです?乗り物に乗ってただ遊んでいるだけじゃないですか!」
ミラージュは眉間に皺を寄せていた。
「その頭の固さを柔げに来たんじゃない。飛行訓練も良いけど今の貴女には息抜きが必要よ。それに私、1度遊園地に行ってみたかったのよ」
「戦争中なんですよ、遊んでいる場合じゃ…」
「飛び方だけじゃなく根本的に固いのよ、ミラージュは。それは貴女の長所でもあり短所でもあるんだけど…」
正確に飛ぼうとしているから、次の行動が読みやすい。
ミラージュは色々考え過ぎてるからテンポが遅れたりするのよ。
もっと柔軟さがあれば更に良くなるのに、その固さが今のミラージュを苦しめてる。
頭で考える前に風を肌で感じ、心のままに行動出来る様にするのが私が貴女に教える訓練。
「さー、次はこれに乗るわよ」
朔姫夜はミラージュの手を引っ張り歩き出した。
「ミラージュは何か乗りたいものとかないの?」
「いえ、私は別に…」
「そう、ならそんな難しい顔をしてないで楽しまなくちゃ。私は今も飛んでる時も風を感じ心のままに動いてる。だから頭で考えるより先に行動出来る」
ただ、先走ってしまう事もあるから頭で考える事も必要だけどね、と付け加えた。
「……分かりました。今日は私も貴女と一緒に楽しんでみます」
次はあれに乗りませんか?と言ったミラージュの顔には笑がこぼれていた。
この日から朔姫夜は訓練と称してミラージュを連れ出し遊園地だけではなく、ショッピングなど飛行訓練とは到底言えない事をしていた。
そんなある日、惑星イオニデスでヴァールシンドロームが発生しワルキューレやΔ小隊も出動する事となった。
惑星の近くに到着した頃には新統合軍の兵士の70%以上が既に操られ、空中騎士団も現れていた。
「歌は愛」
「歌は希望」
「歌は命」
「歌は元気」
「歌は輝き」
レイナ、マキナ、カナメ、フレイア、朔姫夜がコンサート時の決め台詞を次々に言って行く。
「聴かせてあげる、女神の歌を」
美雲が言い終わると全員で声を合わせ「「「超時空ビーナス、ワルキューレ!!」」」と言った。
♪~~~ ~~~ ~~~♪
♪~~~ ~~~ ~~~♪
戦闘中の宇宙にワルキューレの歌声が響き渡り、その空間にある固体物質には彼女達の姿が映し出されていた。
朔姫夜は歌いながらキースとメッサーが対戦しているのを、髪で隠してあるルンに感じていた。
そしていつ間にか意識の一部がキースの元へと飛び、キースを包み込む様に歌っていた。
「…朔姫夜?……朔姫夜が歌っている!?」
空中戦を繰り広げながらキースは朔姫夜が傍にいて歌っている事を感じていた。
やはりランドールで感じたのは朔姫夜の歌声…
ワルキューレのメンバーの中にいるのか?
でも何故敵の歌を歌っている?
穢れた者達と穢れた歌を…
我々ウィンダミアの宣戦布告を知っている筈なのに、何故戻らずにそこに留まっているのだ?
姿を変えている様だが、朔姫夜・リュミエールがそうなのだろうとキースは思った。
そして疑問ばかりが次から次へと浮かんでいた。
空中線が激しくなり空中騎士団の3機がα小隊β小隊の迎撃を潜り抜け、ワルキューレが歌っている機体までやって来た。
「まずい!!」
バリヤを壊されミサイルの振動で立っていられず、膝や手を床につけ耐えた。
「見つけたぞ!裏切り者!!」
フレイアの前に敵機が1機現れて銃口を向けた。
『裏切り者』と言われ動揺しているフレイアを庇うように朔姫夜は両手を広げて立ちはだかった。
「フレイア!」
パトロイドを操縦しているハヤテが駆けつけ、敵の機体を蹴り飛ばし助けに入った。
「ハヤテ!」
フレイアの顔に笑顔が戻った。
ハヤテのお陰でワルキューレ達が乗っている機体から敵機は離れて行った。
暫く戦闘は続いたが空中騎士団が撤退し、ワルキューレ達もラグナへと戻って来た。
着替えをしている時、ハヤテが戦闘中ウィンダミアの兵士を殺めたという報告を耳にした。
戦争中なので自分達が生き残る為に人を殺めなければならない事もあるが、ハヤテはまだ人を殺めた事がなかった。
今回が初めて…
「早く行きなさい。くだらない言葉に足元をグラつかせている様な人間は必要ない」
美雲はフレイアに向かってそう言った。
「えっ!?」
「美雲!!」
カナメは強い口調で美雲の名を呼んだ。
「フレフレは、自分の故郷の星と戦争をしなきゃいけないんだよ!」
マキナが言った。
「フッ…でもね、そんな事じゃこの銀河のすべてに歌声を届けるなんて出来やしない。私達はワルキューレ。貴女は何故ステージに立つの?」
美雲は下を向いているフレイアに近づき人差し指でフレイアの顎をに触れるとクイッと上を向かせた。
「何の為に?どんな想いで歌っているの?もう1度よーく考えなさい」
そう言うと美雲は立ち去った。
朔姫夜は美雲の言葉に肩を落としているフレイアに声を掛ける事が出来なかった。
同じウィンダミア人として裏切り者と言われたフレイアの気持ちも痛いほど分かる。
だが、今はまだ自分がウィンダミア人だと告げる事は出来ない。
朔姫夜は何も言わずに部屋を出て行った。
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