導くままに 第1章
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「いたか?」
「いいや」
「密航者め、何処に行きやがった」
先程から貨物船の全員達が慌ただしく捜しているが、まだ見つかっていない様だった。
「こっち」
船員より先に密航者を見つけた私は小声で声を掛け手招きをした。
「ひゃぁっ」
誰もいないと思っていた暗がりから声がして、密航者は驚きの声を上げた。
「シーっ!」と人差し指を唇の前にあてた後「こっちに来て。早く」と小声で言い手招きをした。
「貴女も密航者なんね?」
その声は訛りのある女の子の声だった。
「違う…けど似たようなものね…」
少女に顔を見られない様にコートについたフードを深く被り直し、ストールで鼻から下を隠した。
「ここなら暫くは見つからない」
沢山のコンテナが積まれた場所に移動し、その中の1つの鍵を開け中に入った。
「リンゴがいっぱい」
後ろから嬉しそうな声が聞こえた。
「リンゴ好きなの?お腹も空いているでしょうから、食べてもいいわよ」
そう言いながら振り向き少女にリンゴを手渡した。
「あんがと。あんがとございます」
少女はペコリと頭を下げるとリンゴを頬張った。
それを食べ終えた後、少女はきちんと座り直した。
「申し遅れました。私はフレイア・ヴィオンと申しますぅ。この度は、ほんに…ほんに、ありがとうございますーぅ」
「礼を言う必要はないわ。私が助けられるのはここまでだから。あと数時間で着く。上手く逃げなさい」
「あっ、名前!貴女の名前を教えてくれんね」
「朔姫夜・リ…」と言いかけたが「朔姫夜・リュミエール」と答えコンテナから出て行った。
危ない…本当の名前を言ってしまう所だった
本当の名前を知られたら連れ戻されてしまう
朔姫夜・リヒト・ウィンダミアだという事は隠しておかなくては…
何の為に買収して、この貨物船で惑星ウィンダミアから出て来たのか意味がなくなってしまう
幸い私は公の場に顔を出していないから、城に出入りしている一部の人間にしか顔は知られていない
顔がバレていないとはいえ、朔姫夜の名も変えるべきだったかも…
でも、もう遅い
この名前で身分証も作ってしまったし…
今の私の名前は『朔姫夜・リュミエール』
ルンが導くままに私は行かなくては…
もう後戻り出来ない
朔姫夜は自分を一喝し決意を新たにした。
それから数時間後、貨物船は無事に惑星アルシャハルに到着した。
「んー、良い天気」
入国手続きを済ませアルシャハルに降り立った朔姫夜は大きく伸びをした。
「さーてと…ん?この歌声は…」
モニターに映し出されたWALKUREの文字を見つめながら、そこから流れている歌声に耳を傾けた。
「ワルキューレ…」
この中に私の風をザワつかせている人物がいる
彼女は一体誰なのか
何故こんなにもザワつくのか理由が知りたい
彼女は今、このアルシャハルにいる
それだけは、ハッキリと感じている
「あーもう、何処にいるのよぉー」
あちこち歩き回り時々ルンが強く反応し近くにいるのは感じていたが、街中から聴こえてくる歌声に惑わされ夕方になっても見つけられずにいた。
♪デ~~~,~~~ ~~~,♪
♪~~~ ~~~ ~~~,~~~ ~~~,♪
モニターも何もない場所にいたのに突如、歌が聴こえて来た。
「この歌声は、ハインツ…」
何故、ハインツの歌声が?
胸が苦しい…
嫌な予感がする
「ヴァール警報が発令されました。市民の皆様はシェルターに避難して下さい」
警報が鳴り響き人々は慌て出し街中混乱した。
ゼントラーディ駐屯地にいた兵士達がヴァール化し、街はあっという間に戦場と化した。
ヴァール化…ヴァールシンドロームとは
銀河辺境地で発生している謎の奇病。
ヴァール化した者は自我を失い、破壊衝動に突き動かされ暴徒と化す。
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