忍たま
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潮江文次郎の想い出
大事なユキを手元に置いておきたくて、半ば無理矢理入学させた忍術学園
これでまた、何時もユキと一緒にいられる
その喜びに胸躍り、心弾む
この幸せを守る為ならば、どんな苦労も厭わない
ユキが入学許可を得たあの日、そう強く胸に誓った……
同じ敷地内に居住してはいるが、忍たまとくのたまが共に過ごす時間は少ない
何かと敵対し合う忍たまとくのたまという関係故、無闇に親密な関係を見せ付ければ、
周囲に敵を作る可能性もかなり高くなる
何より一年生の自分達が目立つ行為を行う事は、ユキの身を危険に晒すも同じ
違和感なく逢瀬を重ねる為に、必死に知恵を絞り、漸く出した答えは、兄弟である事をフル活用するというものだった
“妹思いの優しい兄”
秘めた恋愛感情を悟られぬ様、良き兄を演じ、授業や委員会活動など、
全てに置いて手を抜かず完璧にこなす事で、他者から非難される事を防ぐ事に兎に角専念した
途中編入したユキが、実技で辛い思いをせぬ様に、日の出と共に稽古を付ける……
という名目で、一日の始まりに誰よりも早くユキと待ち合わせた
稽古の時間を調整する事で、他の生徒達と井戸や食堂で遭遇する確率を減らせるし、何より毎朝ユキとゆっくり朝食を食べられる事が何より大きい
朝食を済ませた後は、合同演習でもない限り、共に過ごす事は出来ない
歯痒い気持ちを押し殺しながら、夕方を待つ
放課後になり、委員会活動まできっちりこなし終え、その足で夕食、風呂まで素早く済ませる
風呂上がりには、真っ直ぐ長屋へと戻らず、くのたま長屋へと侵入し、一人部屋のユキが寂しがっていないか、ユキが眠りに付くまで屋根裏から見守る
これを毎日、雨の日も風の日も繰り返した
「文次郎、いい加減にしろ。過保護も度が過ぎれば犯罪だぞ?」
俺を嫌悪する様に、同室の仙蔵が顔をしかめ、毎晩攻め立てる
犬猿の仲の留三郎含め、仲の良い同級生達ですら、俺の一途な想いを理解してはくれないようだ
俺の愛は異常だと攻め立て、ユキを俺から引き剥がそうとまでする始末
5対1の壮絶な戦いの末、敗北してしまった俺は、奴等にもユキと過ごす時間を分け与えねばならないという屈辱的約束を交わさせられた
どんなに知恵を絞った所で、力なければ大事な物を守れない
こういう様々な経験を得て、俺は今の様にぎんぎんに鍛練を積むようになったんだ……
昔を懐かしむように、遠い目をしながら語る委員長に、会計委員の後輩達は声も出せずに顔を引きつらせるしかなかった
帳簿整理の合間の休憩中に、こんな話を聞かされるとは…徹夜よりキツい
今のこの現状を打破する案を、誰一人思い付くものはいなかった。
終わり
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