忍たま
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良薬は時に甘し
「今日は山三つ越えた先の関所に水を売りに行くんですけど、たぶん帰りはかなり遅くなっちゃうと思うんで、帰り道の途中まで迎えに来て下さい」
そう言い残して、井戸水が入った大量の竹筒を篭に背負い、出掛けていったきり丸との約束を守る為、日が傾きかけた頃、私服に着替え学園を後にした
暫く山道を歩いていると、少し先に見覚えのある後ろ姿を見つけ、小走りで近付く
直ぐに私の気配に気付いたユキが振り返り、その場に立ち止まる
「こんな時間にどこへ行くんだい?」
「私は、山三つ越えた先の関所へ行っている乱太郎達に迎えを頼まれて…
土井先生はどちらへお出掛けですか?」
「あいつらと来たら…」
別々に約束を取り付けていた事にも気付かず、今頃鼻唄混じりに帰路に付いているであろう教え子達の姿が安易に想像が出来、胃がキリキリと痛む
「土井先生?」
「私の方はきり丸に頼まれてね。同じく関所まで迎えに行く所だったんだ。全くあいつらは何時も…」
何時もの如く小言を言い掛けた私に向かって、ユキがにっこりと微笑む物だから、
そこで言葉が止まってしまった
「私達は、きりちゃんのお父さんとお母さん代わりですもの。
たまには、こうやって甘えたいのかも知れませんね?」
きり丸を思って笑う、ユキに魅せられる
「……ユキ」
「三人で待ちくたびれているかもしれませんよ、早く行きましょう?」
「ああ、そうだな」
ユキに促され、隣に並んで歩き出す
きり丸、乱太郎、しんべえがそわそわと私達の到着を待ちわびる様を想像して頬が緩んだ
道中、色々な話をした
仕事の話
一年は組の良い子達の話
他の忍たまの話
最近気に入っている甘味の話
文次郎の愚痴……
ここの所多忙な日が多くて、二人きりでゆっくり話をする機会があるようで、なかった事に気付く
「そういえば、こうやってゆっくり話をするなんて、久しぶりな気がします」
「私も丁度今、そう思っていた所だよ?」
「たまには、こういうのもいいですね?」
「大抵は、仕事や文次郎絡みだからなぁ?こうやって、ゆっくり話をする時間を学園でも作れたらいいんだけれど…」
「それなら、今度から仕事終わりに、一緒にお茶をする時間を作りませんか?」
「では、お茶菓子は交代で用意するとしようか?」
「はい!」
二人だけの約束を交わした事に、年甲斐もなく、思春期の様に胸が高鳴る
夕焼けが私の顔を照らしてくれるから、赤くなった顔を悟られず良かった
「ユキ、君はもう私の隣に並んでいても何ら問題ない存在になったんだね?」
「土井先生?」
暫し見つめ合っていると、遠くから聞き慣れた幼声が響く
「土井先生~!!」
「ユキさんだ!」
「あ~ん、待ってよ、二人とも!」
全速で駆けて来たきり丸、乱太郎、しんべえを二人で抱き止める
「おかえりなさい」
「おかえり」
「「「ただいま帰りました!」」」
私達に抱き付きながら、にっこり笑う三人
隣には、優しい笑顔で三人を見下ろすユキ
この穏やかな時間に、一人心癒されていた
終