第一章 郷に入れば郷に従え
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18.問答
青い空、白い雲
『気持ちのいい日だ~』
洗濯物を干し終えて縁側で日向ぼっこ。ポカポカで気持ちいい。太陽の光で温かくなった縁側にゴロンと寝そべって、ぐーっと体を伸ばした私は固まった。廊下の角から覗く四つの頭はビクッと跳ねて引っ込んだ。
『フフ、こっちおいでよ』
可愛らしい反応にクスクス笑みを零しながら呼びかける。
おずおずと角から出てきた一年ろ組の忍たまのみんなに手招きすると、みんなは顔を見合わせ、照れたように頬を赤くして私のところまでやってきた。
『伏木蔵くんと話すの久しぶりだね』
「うん。ユキさんに会いたくて来ちゃった」
なんて嬉しいことを!私は緩みきった顔で伏木蔵くんをギュッと抱きしめた。
『一年ろ組のお友達だね』
顔を赤く染めた伏木蔵くんを膝の上で抱きしめながら皆の顔を見る。
「二ノ坪怪士丸です」
「下坂部平太と言います」
「僕は初島孫次郎です」
『ユキって呼んでね。遊びに来てくれて嬉しいよ』
少し緊張気味のみんなに微笑みながら言うと嬉しそうに笑ってくれた。くぅ、この子たちも可愛いなっ!
『良かったら、みんなで遊ぼうよ!お外と部屋の中で遊ぶのどっちがいい?』
「「「「お部屋!」」」」
元気な声が揃った。一年ろ組のみんなはインドア派。戸を開けてニコニコ顔のみんなをお部屋に招き入れる。何して遊ぼうかな。
「良い匂いのお部屋だね」
クンクンと匂いを嗅ぐしぐさをする怪士丸くん。
『よくわかったね。毎晩お香を焚いているの』
文机に置いてある香炉を指し示す。伊作くんからもらったお香は毎晩欠かさず焚いているのだ。
「オシャレですね」
『あはは。孫次郎くん、違うの。おしゃれっていうより眠りにつきやすくするために焚いているの』
「そういえば同じ委員の乱太郎が、ユキさん一人で寝るの怖いからは組が交代で泊まりに行くんだって言ってた」
思い出してポンと手を打つ伏士蔵くんに私は苦笑い。一年は組の皆様にはお世話になっております。
『大人なのに情けない話です』
「僕も同室の孫次郎が家に帰っていたりして一人で寝ないといけない時は寝られないです。押入れからお化けが出てくるかもって思うとチビっちゃいそうになるの」
『分かる分かる。私も厠に行くのギリギリまで我慢しちゃうよ』
平太くんに激しく同意。だって忍術学園の夜って静かで暗くて怖いのだもの。
「僕もユキさんの部屋にお泊りしたいなぁ」
『わぁ怪士丸くん来てくれるの?嬉しいよ』
僕も泊まりたいと言ってくれるみんなの頭を順に撫でる。
寝る前に泊まりに来てくれた子とお話するの楽しみなんだよね。みんなのことも知ることが出来るし是非泊まりきてもらおう。
『さて、何して遊ぼうか。百人一首あるから坊主めくりする?学園長先生の部屋から将棋を拝借して将棋倒しとか。あとは……』
「僕はユキさんの話が聞きたいです」
『へ?私の話?』
平太くんが手を挙げた。
『昔話みたいなのでいいのかな?異国のおはなしとかどう?』
昨日の夜、二年生と喜三太くんにシンドバットの冒険をしたところ皆とても喜んで聞いてくれたのだ。
「ん~異国のお話も聞いてみたいけど、僕はユキさんの事がもっと知りたいな」
平太くんの言葉に目を瞬く。モジモジしながら胸がキュンとするような事を言ってくれる平太くんを、あぁ撫で回したい。
「うん!僕もユキさんの事が聞きたい」
「好きな食べ物とか好きな色とか」
「趣味とかはまっているものとか」
私に興味を持ってくれるのは嬉しいけど……。
『どうかなぁ。私は特に面白いエピソードも持っていないし、みんな退屈しちゃうと思う』
「「「「退屈なんかしません!」」」」
声を揃えるみんなに私は眉をハの字にした。
『うーん。でも……』
「私もその子たちの意見に一票入れます」
いきなり声をかけられてビクリと肩を跳ねさせる私たち。
スっと開いた引き戸。
『利吉さん!』
「ユキさん、お久しぶり――おっと」
『会いたかったですよ!』
まだ別れてからひと月も経っていないのに既に懐かしい。早くもう一度会いたいと思っていたのに連絡する手段もなくて悶々としていた。
嬉しい訪問者にハグをして頬にキスをする。
ハグをして、それから……げっ!やってしまった!
『すいませんっ。つい昔のクセで』
利吉さんの両肩を持ってガバッと身を離す。
「謝らないでください。ユキさんに再会を喜んでいただけて嬉しいです」
目の前には蕩けるような笑み。私の顔は一気に紅潮したと思う。
「おもしろいクセですね」
『あはは。両親の影響で』
赤い顔をみんなに見られないように体を反転させて座布団を取りにいく。
静まれ、私の動悸。心を落ち着けて利吉さんの元へ。
『使ってください』
「ありがとうございます」
噛まずに声もひっくり返らずに言えた。
満足
「ユキさん」
『はい?』
「先ほどのクセ、私以外の人の前では出さないように気をつけてください」
『っ!?は、ふぁい!』
艶っぽい声と笑みに私は短い返事を噛み、声も引っくり返らせた。クスリと笑う利吉さんに私は再び顔を赤くする。
「やっぱりユキさんは可愛くて面白い」
『面白いは余計ですよぉ』
利吉さんに私の新しいイメージを植え付けないと。お淑やかで、可愛くて、優しくて、清楚で……と考えていると戸惑い気味の伏木蔵君たちの顔が目に入った。
彼らに気づいた利吉さんがニコリと笑う。
「はじめまして。山田利吉です。急に入ってきて驚かせてしまったね」
『利吉さんは山田先生の息子さんだよ。超優秀なフリーの売れっ子忍者さんなんだって』
「アハハ褒めすぎですよ」
驚きの声を上げるみんな。
「山田先生の息子さんだったなんて驚きです」
「フリーの忍者、カッコイイなぁ」
「顔も男前ですね~」
「利吉さんとユキさん、お似合いカップル」
「!?」
『ま、孫次郎くん!?』
ポンと発した孫次郎くんは驚く私を見てポカンと口を開けた。
小さい子って時々突拍子もないこと言うんだから。無意識に横に座る利吉さんに視線がいく。
『「っ!」』
私たちは朱色に染まったお互いの顔を見て慌てて目を伏せた。
別のこと考えて利吉さんを意識しないようにしないと。軽く息を吐き出して、まずいこと言ったかなぁと不安になりつつある孫次郎くんの頭を撫でる。
『ありがとう。フフ、利吉さんに釣り合うように自分磨き頑張ってみようかなぁ』
おどけたように言って微笑みかけると孫次郎くんの不安そうな顔が徐々にほぐれていった。不安にさせちゃってごめんね。
「最近も忍者のお仕事したんですか?」
「あぁ。今日もひと仕事終えた帰りなんだ」
忍者を目指す忍たまたちは利吉さんに興味津津。
尊敬と憧れで瞳を生き生きと輝かせながら利吉さんに忍者の仕事について質問をする。
みんなの質問に快く丁寧に答える利吉さんの眼差しは柔らかい。子供好きの優しいお兄さんといった感じ。なんだかほっこりするな。
「私の話はこれくらいにして、次はユキさんの話を聞きたいな」
暖かい気温と和やかな雰囲気に頭のスイッチを切っていると利吉さんが急に私の方を向いた。一年ろ組のみんなの視線も私に集まる。
みんなの興味は利吉さんから私に移ってしまったらしい。
もう少し優しいお兄さんと子供達を観察していたかったのに残念至極。
『何から話したらいいのか……あ、そうだ。皆で順に質問していくっていうのはどう?私もみんなの好きなこと知りたいな』
どんな遊びが好き?
どうして忍者になりたいと思ったの?
私からも聞いてみたいことはたくさんある。
いい機会だから私からもたくさん質問させてもらおう。
『利吉さんも入ってね』
「私もですか?」
『もちろん』
戸惑っていた利吉さんも皆の「是非入って」の言葉で参加。
『それじゃあ、初めは伏木蔵くんに質問!』
今一番興味を持っていることは何?
このくらいの年だったら友達と遊ぶことかな?
トップバッター伏木蔵くんの答えは
「事件解決です」
『……ジケン』
物騒な答えが返ってきた。
無邪気そうに見えるけど実は心の中に闇を抱えているのだろうか。
「伏木蔵は探偵ごっこが好きなんだ」
凶悪事件を思い描いていると怪士丸くんが言った。
『じ、事件に遭遇したことある?』
伏木蔵くんが見かけは子供頭脳は大人の探偵さんみたいに凶悪犯罪に関わっていないことを望む。
「この前はしんべヱの消えた羊羹の行方を追ったよ」
かわいい事件で一安心。
消えた羊羹事件の話を聞く。実家からもらった羊羹が消えたと言っていたしんべヱくん。
しかし事件はしんべヱくん自身が羊羹を食べてしまったことを思い出して解決したらしい。
こういう明るくて愉快な事件なら大歓迎。「食べちゃったんだった」と頭を掻くしんべヱくんと横でひっくり返る伏木蔵くんの姿を思い浮かべるだけで癒されるもの。
『次は怪士丸くん』
質問を変えてみよう。
怪士丸くんの趣味をおしえて!
私がこの子達と同じ年齢の時は蝉の抜け殻集めにハマったな。忘れた頃に机の引き出しから粉々になった抜け殻が発見されるという苦い思い出。
にこにこする怪士丸くんの趣味は
「幽霊ごっこ」
落ち着け、私。目の前にいるのは純粋な少年。
大人になりましょう
ぐっとツッコミたい気持ちを抑えこんだ。
『幽霊ごっこってどこでやるの?』
どんな遊びか想像できなくて私の頭の中は疑問符でいっぱい。
「柳の下に隠れて来た人をわっと驚かすの。みんなの驚いた顔を見るのが楽しいんだ」
『それ、すっごく楽しそう!』
幽霊の物真似遊びではなく、人を驚かせるイタズラだった。
イタズラ仕掛けるのってワクワクするよね。
留三郎でも引っ掛けてみようかな。髪長いし貞子の格好なら簡単に出来る。あ、この世界の人は知らないのか。お岩さんならいける?
「ユキさん悪い顔になっていますよ」
何の幽霊に化けようか考えていた私はハッと我に返る。横を見れば苦笑いの利吉さん。
笑っている場合ですか?
あなたもターゲットの一人ですよ
利吉さんがニタニタ笑いを堪えきれない私から距離を取って座り直した。
『平太くんの趣味はなあに?』
引き気味の利吉さんの視線を受けつつ質問する。
「僕はね、かくれんぼするのが好き」
『私も小さい時よく遊んだよ~』
前の二人が個性的な答えだったため、子供らしい答えが出てきてくれて嬉しくなる。
『忍術学園は隠れる場所がいっぱいありそうだね。今度私も混ぜて欲しいな』
「うん。僕たち、皆には秘密の場所でかくれんぼしているんだ。ユキさんと利吉さんには特別におしえてあげる」
「ありがとう平太くん」
私はロープ一本で崖を登っている六年生忍たまを思い出していた。
その時、私は私を見つけた小平太くんが口を開きかけた瞬間にダッシュで逃げた。あの顔は私にロッククライミングをさせようとする顔だったからね。
『そこって崖の上とかじゃない?安全?』
「大丈夫ですよ~。秘密の場所っていうのは、この近くの無縁墓地なのです」
『「え゛」』
目を点にする私と利吉さん。
私たちは「誰にも気づかれてない穴場スポットなんだ」と無邪気に笑う平太くんを見て
墓地だから誰も近づかないのでは?という疑問を飲み込んだ。
お墓でかくれんぼかぁ。
みぃつけた、で幽霊を見つけてしまった場合どうすればいいのだろう。
幽霊は鬼役を引き受けてくれるのだろうか?
『最後は……孫次郎くんね』
もうどんな答えが返ってきても驚かないと思います。
孫次郎くんの好きなことは?
「僕は毒虫のお世話が好き」
『そっかぁ!孫次郎くんは生物委員さんだもんね(普通の答えキタ!)』
「!?(ユキさんがホッとしている!?)」
「一生懸命お世話しているんだけど時々脱走されてしまうんです」
『あー弟もよく飼育箱から毒蜘蛛やら蠍逃がしてた』
何度捕獲を手伝わされたことか。
でも、これも懐かしい思い出。
「弟さんがいるの?」
しみじみしているとクイクイと伏木蔵くんに袖を引っ張られた。
怪士丸くんにも家族のことも教えてと聞かれる。
『私を入れて四人家族で……』
冒険家の父に動物学者の母。それから第二のファーブル先生になることを目標にする両親の遺伝子を丸々受け継いだ無鉄砲な弟。
三人とも海外にいることが多くて年に一度会えればいいほう。最後に会ったのはいつだったのだろう。
「ユキさん寂しい?」
気が付けば怪士丸くんが心配そうに私を見上げていた。
「ごめんね。僕が寂しくなるようなこと聞いちゃったから……」
『いいの、伏木蔵くん。距離は離れてしまったけど家族は私の心の中にいるの。家族も私のことを想ってくれている。だから寂しくなんかないのよ』
伏木蔵くんを抱きしめながら『みんなもいるしね』と言うと、腕の中の伏木蔵くんは私の首に手を回して抱きしめてくれた。平太くん、孫次郎くん、怪士丸くんも私のところにきて抱きしめてくれる。
一年ろ組の良い子達のおかげで心も体もぽかぽかだよ。
カーーーン
みんなを抱きしめていると午前の終わりを告げるチャイムが聞こえてきた。
「午後からサバイバル実習だから準備しなくちゃ」
怪士丸くんが残念そうに言って立ち上がった。
「もう少し居たかったな」
『平太くん、みんなも、また何時でも遊びに来て!』
待っているからね。とみんなの頭をポンポンと撫でて実習へと送り出す。
一年ろ組の子たちに癒されて元気いっぱい。
一年生はどのクラスも素直で可愛くて良い子ばかりだな。
ニコニコしていた私は急にお腹が減ってきたことに気がついた。お腹って急に減るよね。
『利吉さん、一緒にランチに行きませんか?』
「えぇ。おばちゃんの料理楽しみだな」
てこてこと利吉さんと並んで食堂へ向かっていると横から視線。
『利吉さん?』
「ユキさんは強いね」
ランチメニューを頭の中で予想していると利吉さんが唐突に言った。
強い。なにが?腕っぷし?
またお腹を抱えて笑われそうだから山賊の頭で酒壺を割った話は言うまい。
「ユキさんに会いに来る前、どうやって励まそう、どうやったら元気づけられるだろうと考えていたのです。異世界に送られ、見ず知らずの人たちに囲まれて心細い思いをしているだろうと。でも、違った」
足を止めた利吉さんの顔を見上げると優しい瞳とぶつかった。
「生徒に慕われ、彼らを気遣う余裕さえある。芯の強い人だ。優しくて、笑顔が素敵で……それに美しい人です」
『利吉、さん』
利吉さんの手が私の頬に添えられる。
彼のぬくもりを感じて私の鼓動はスピードを上げた。
唇の近くに軽く触れる口づけが落ちる。
「今日はこれで我慢しておきます」
『か、からかわないで、下さい』
「からかってなどいません。私は今すぐにでもあなたを連れ去りたいくらいです」
『っ!?』
大胆な言葉と艶っぽい笑み。言葉を詰まらせて口をパクパクさせている私を見て利吉さんがクスリと笑った。からかわれている?本気?あぁ、良くわからない。
「そうだ。忘れるところでした」
利吉さんが思い出したように言ってポケットからリボンを取り出し、私に差し出した。ラベンダー色の生地に白い薔薇が刺繍されている。
『これってヨーロ、南蛮のものですか?』
「えぇ。あなたに似合うと思って南蛮の商人から買ってみました」
買ってみたって……。渡されたリボンの手触りは私でも分かる上質のシルク。絹の南蛮製リボン。聞かなくても値が張ることは分かる。
『こんなに高いもの頂けませんよ』
「ユキさん、どうか受け取ってください。あなたに身につけてほしいという私の我が儘を叶えて」
え~~~嬉しいけど、どうしよう……
『あの、じゃあ、利吉さん。何か欲しいものありませんか?』
気にしないでと言ってくれる利吉さんに是非お礼をさせてと食い下がる。だってタダで貰うわけにはいかないよ。
『ぜひ、ぜひ、ぜひ!!』
しばらく考えていた利吉さんが何かを思いついたように「あっ」と声をあげてニコリと笑った。
「では、私と二人でお花見に行ってくれませんか?」
『お花見ですか?』
意外な言葉に目をパチパチさせる。
『もう桜は終わってしまったと思うのですが……』
「実は忍術学園に来る途中で遅咲きの桜を見つけたのです」
『ホントに!?みたいなぁ』
「よかった。次の任務が数日かかるので……今週の日曜日はどうかな?」
『大丈夫です。そうだ!私、お弁当作っていきます』
「ユキさんの手料理か。嬉しいな」
利吉さんが本当に嬉しそうに笑った。
おばちゃんに教わってご飯炊けるようにしないと。それから図書室でレシピも調べて。当日までに一度練習しておきたいな。
『利吉さんの好きな食べ物おしえて下さい。あ、嫌いな食べ物もお願いします』
お花見が楽しみになってきた。
利吉さんと私が日曜日のお花見の相談をしながら食堂へ向かっていると授業を終えたばかりの半助さんと一年は組のみんなが前からやってきた。
「利吉くん来ていたのか」
「土井先生お久しぶりです」
あれ、寒気?背筋が冷たくなったような気がして一年は組のみんなから利吉さんと土井先生の方へ視線を移す。二人とも笑顔で会話をしていた。
「(利吉くん、ユキに何の用だい?/矢羽根)」
「(彼女を口説くために決まっているでしょう?/矢羽根)」
「ッ!?」
「(冗談ですよ/矢羽根)(彼女は渡しません)」
やだ。私、風邪でも引くのかしら。ランチいっぱい食べて栄養補給しよう。
「みんなで食べましょうよ!」
『うん。乱太郎くん。ランチなにかな?』
「今日は餃子ランチとハンバーグランチだっておばちゃんが言ってたよ」
『さすがしんべヱくん。う~ん。今日も難しい選択になりそう。いっそ両方』
「両方食べたら太るよ」
『うぅ、わかってるよぉ。あ、そうだ!きりちゃん、別々の頼もう。それで半分頂戴!』
「頂戴なんていやだぁよおおぉぉ」
『ゴメンゴメン!泣かないでっ!』
私は賑やかなは組のみんなと食堂に入った。