第一章 郷に入れば郷に従え
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15.天然は強敵
ヘムヘム顔は一年は組の子たちに大ウケ!私は教室で昼休み終了合図がなるまで皆とふざけまくって楽しい時間を過ごした。
しかし、鐘が鳴るギリギリまで教室にいたので三郎くんを探す時間はなく午後の仕事はヘムヘム顔で行うことに。ヘムヘムしか言えない私は初めて「雪野くん、君って人は!」と吉野先生に怒られることになった。
そんなこんなで今日の仕事も終わり、私はさっそく三郎くん探し開始。たしか、ろ組だったよね。教室にいるかな?
『ヘムヘム(こんにちは)』
「お、ユキ。やっぱりきたか」
教室に入ると授業を終えたばかりの忍たまたちが一斉に振り向いた。爆笑する者、悲鳴を上げる者を無視して三郎くんへと突き進む。
「アハハ、噂通りだった」
声の方に振り向くと、五年い組の兵助くん。『何故ろ組に?』とヘムヘム語で尋ねると彼に通じたらしく「面白そうだから一目見たくて」と野次馬宣言をされた。歯をむきだして威嚇しておく。
「そんな顔しちゃダメだよ」
カラカラと笑う兵助くんに頭を撫でられる。
感覚が敏感になっているせいか、気持ちよくてうっとり。
「普段の顔も可愛いけど、ヘムヘムの顔も可愛いね」
兵助くんの隣にいた子がほわわんとした声で私の耳の後ろを掻く。そこ、気持ちいい。けど、この子誰だっけ?毛先が房になったような不思議なヘアスタイルが目に止まる。どんな構造になっているのかしら?
「これはユキなのか!?」
『ヘブ』
摩訶不思議な髪型を凝視していた私は八左ヱ門くんにグルリと体を回転させられ、興味深そうに私の顔を観察する彼にフニフニと頬を引っ張っられる。わらわらと集まってくる忍たま達。ちょっと八左ヱ門くん、恥ずかしいから止めてよ。
『ヘムヘーム(顔直してよ)』
「八左ヱ門、女の子の顔にそんなことしちゃダメだよ。三郎、早く顔直してあげて」
雷蔵くんが女の子扱いしてくれた。しかし、嬉しくて抱きつこうとしたら「ウワッ」と声をあげられてしまう。ユキさん傷ついて泣いちゃうよ?
ショックで仰向けに倒れこむ私の顔を三郎くんが覗き込んだ。
「雷蔵が怖がるのも無理もないって!」
『ヘム!?(ヒドイ)』
『あはは冗談、冗談。ほら、直すぞ。ほいほいほいっと」
顔に手が伸びてきて、ぐにぐにと触られる。
手がどいて目の前に三郎くんの笑顔。周りから拍手が沸いた。私の顔は元のかわゆい顔に戻ったようだ。
『あーあー。おぉ!ちゃんと声が出る』
ヘムヘム顔は耳も鼻も効き過ぎて大変だったよ。手で触って人間の顔に戻ったことを確認してホッと息を吐いていると、先ほどの不思議な髪の子にじっと見つめられていることに気がつく。ニコニコ笑顔がかわいい。
『どうしたの?』
「今の顔の方が好きだなって思って」
『えへへ、ありがとう』
そんなこと言われたら照れちゃうよ。
「うん。今の方がニ倍かわいい!」
『え?たったニ倍?』
絶句する私の前でキョトンとする男の子。たしかにヘムヘムは可愛いけど、かわいいけどさ……複雑。落ち込んでいるとヒソヒソ声が聞こえてきた。
「こら、勘右衛門。ユキさんが落ち込んじゃったじゃないか」
「雷蔵、何で落ち込むんだい?」
「たったニ倍ってのがなぁ。もっと盛らないと」
「三郎、それより具体的に褒めたほうがいいと思うけど」
「八左ヱ門に賛成。たとえば、豆腐のように白い肌ですねと……か」
兵助くんの顔が真っ青になる。
ギギギとこちらを向いた皆も同様。
「おほー、ユキ、お、落ち着け、な?」
『おーちつけるかッ!!』
両手で持ち上げていた長机を放り投げる。けっこうな重さだったのに誰にも当たらず避けられた。無念。大慌てで教室から出て行くみんなを追いかける。
逃がさんっ!
五年生は荒んだ心を癒してくれる良い子達だと思っていたのに!よくも裏切ってくれたわね!
「兵助が豆腐なんかに例えるから!」
「えーそれを言うなら大げさに褒めろって助言した三郎に非が……」
「私か!?そもそも勘右衛門が微妙な褒め方をしたのが悪い」
「「「「確かに」」」」
「えっ!?俺が元凶!?」
「うん。そういう訳で……ここは頼む、勘右衛門!」
「雷蔵!?」
ドシンッ
『うわっ!?』
雷蔵くんによって一瞬にして縄でグルグル巻きにされた勘右衛門くんが転がってきて、私は彼に躓いた。無残に転がる私たち。
毎回思うけど、忍たま相手に私が敵うはずない。
「雪野さん大丈夫ですか?」
『どーにかねー。あ、ユキでいいよ』
のしのしと四つん這いになって動き、顔を覗き込むと「俺も勘右衛門でいいから」と仰向けの勘右衛門くんが笑った。
『縄切ろうか?』
「できるの?」
『これがあるから』
守り刀を取り出して勘右衛門くんの縄を切る。人の近くで刃を扱うのって緊張する。慎重にやったので少し時間はかかったが縄を解くことができた。
「綺麗な装飾だね」
勘右衛門くんが私の守り刀を指さした。黒い鞘にシャクナゲと蝶。
『半助さ、土井先生からのプレゼントなの』
「ふうん……(半助さん、か)ユキは土井先生と付き合っているのか?」
『えっ』
半助さんとのキスを思い出した私の顔はボンッと紅潮した。
「ユキさん?」
『つ、付き合ってなんかないよ』
「本当に?なんで動揺しているの?」
猜疑深い顔で見られてギクリと肩が跳ねる。
自分でもわかるくらい挙動不審。
『勘右衛門くんがいきなり変なこと言うから驚いちゃっただけだよ』
勘右衛門くんは曖昧な表情を浮かべて「ふうん」と相づちを打った。
表情が全然読めない。何考えているのだろう?
「じゃあ、俺にもチャンスがあるわけだな」
『は?』
もう一度。
何考えているのだろう?
話が見えないです。
「鈍いなぁ。俺にもユキと付き合えるチャンスがあるだろ?それとも、六年生の誰かと付き合っているの?」
『まさか!』
「学外に彼氏がいるとか?」
『いるわけないよ。だってこの世界に来てから一週間だよ』
「そっか。よかった」
安堵したようにホッと息を吐く勘右衛門くんに、私は目を瞬く。狐につままれたような気持ち。
『そう言ってくれるのは嬉しいけど、会ったばかりで付き合いたいって……』
思い切って聞いてみると勘右衛門くんはニコリと笑った。
「一目惚れだったんだ」
『私に!?』
「そんなに驚くことかな?」
『驚くことだよ。一目惚れだなんて言われたことないもの』
「誰も勇気がなくてユキに言えなかっただけだよ」
その笑顔反則!どんな反応をしたらいいのか分からない。心臓が早鐘を打つ。
『一目惚れ……みんなの前で挨拶したあの時、かな?』
自分でこんなことを言うのは恥ずかしいけど、思い切って聞いてみる。一目惚れされる経験なんてもう一生なさそうだし。
「ううん。その時じゃなくて」
左右に首を振る勘右衛門くん。
『え、じゃあ何時?』
「初めて見たのは、学園長先生の部屋から飛び出してきたユキが、縁側から何かを
力投する姿!」
えーーーあれですか!?
父母からの電話が切れて怒りに任せてスマホを投げ捨てたあの時のこと!?怒り顔+半泣きの酷い顔だったと思うけど。
「あの時の姿が脳裏に焼き付いていて」という勘右衛門くん。それって一目惚れじゃなくて衝撃が強すぎて忘れられないだけでは?
『勘右衛門くん、みんなに天然だねって言われない?』
「言われる」
『うん。だよね!』
「どうして分かったの?」
と小首を傾げる勘右衛門くん。天然ほど怖しい者はなし。
私は彼の問いに曖昧な笑みで答えたのだった。
***
事務室に戻って波立った心を落ち着けるために明日の仕事を黙々とこなしていると、いつの間にか夕食の時刻になっていた。昨日の夜から色々あったので今夜はぐっすり眠れそう。
「失礼します。入ってもいいですか?」
礼儀正しい声に『どうぞ』と戸を開くと八左ヱ門くんが立っていた。
「まだ仕事中?」
八左ヱ門くんと夕食を食べる約束をしていたっけ。迎えに来てくれたのかな。
『もしかして、食堂に誘いに来てくれたの?』
「ユキが嫌じゃなかったら……」
『どうして?嫌なわけないよ』
「だって、ほら……さっき怒っていたからさ」
気にしてくれていたんだ。おずおずと言う八左ヱ門くんを安心させるように微笑む。
『ああやって騒ぐのむしろ好き。友達とはしゃいでいるみたいで楽しかった』
「みたい、じゃなくて、友達だろ?」
『八左ヱ門くん!ありがとう!』
照れくさそうに髪の毛をワシャワシャと掻く八左ヱ門くん。
心にポッと火が灯ったような感じ。
ともだち
言葉に出して言ってもらうのって嬉しいな。
『キリのいいところまで片付けていいかな?』
「おう。手伝おうか?」
『ありがとう!これを棚にお願いします』
八左ヱ門くんに手伝ってもらって仕事を片付け、食堂へ向かう。
お昼に二食分も食べたのにお腹はしっかり減っている。人間の体って不思議。いや、不思議なのは私としんべヱくんの食欲だけか。
「いい匂いだ」
『今日の夕食はサンマとみた!』
食堂に入ると食事を食べている皆のお皿にはさんま。さすが私。
「よくわかったな」
『フフ、食べるの好きだから』
「鼻もいいし、運動神経も悪くない。ユキは忍者に向いていると思うぞ」
『うーーん。無理だよ。私、カッとしやすいんだよね。よく早とちりするし』
「確かに。前言撤回する」
『早っ』
ポカポカ八左ヱ門くんの背中を叩く。こういう何気ないやり取りができる幸せ。
「顔が緩みきっているぞ」
『こういう気が置けない会話が嬉しいのです』
「はは、なんだよそれ(……かわいい)」
どうしても顔が緩むので俯くと、八左ヱ門くんに頭をくしゃくしゃと撫でられた。ほっこりするなぁ。
『「いただきます!」』
並んで座り、二人同時に両手を合わせる。塩味が効いているサンマだからお醤油かけなくても美味しい。里芋の煮転がしと冷奴もある。シアワセです。
「あー八左ヱ門が抜けがけしてる!」
食堂の入口で勘右衛門くんが私たちをビシッと指差している。
「はぁ。見つかったか」
『??』
なぜか落ち込んだ八左ヱ門くんに目を瞬いていると勘右衛門くんに続き、三郎くん(たぶん)、雷蔵くん(たぶん)、兵助くんがやってきた。
「ユキさん、僕たちも一緒に食べていいかな?」
『もちろん!一緒に食べよう。(雷蔵くんだ)』
私が答えるとみんなの顔がパッと笑顔に変わる。しっかりして見えても十四歳。笑った顔はあどけなさが残っていて可愛い。
『こら。食堂で走らない』
カウンターから椅子取りゲームをするように席へと走ってきたみんなの振動で私と八左ヱ門くんの食器がガチャガチャ揺れ、私たちは大事な食事をしっかり手で守る。
育ち盛りの彼ら。食への情熱が熱い!私の右に座った勘右衛門くん(左は八左ヱ門くん)の乱れた食器を直す。あれだけ走ってよくこぼさなかったね。
「ユキの隣で食べられて嬉しい」
『私もだよ』
勘右衛門くんのストレートな言葉に笑みが零れる。
「ユキ、食べるの早いなっ」
『そうかな?ええと、三郎くん?』
「当たりだ!よくわかったな」
前の席に座った三郎くんが目を見開いた。
『雰囲気が雷蔵くんと違っているから』
「言われてみれば確かに。三郎、無意識か?」
「ユキさんには他人と間違われたくないんだね」
「っ!」
八左ヱ門くんと雷蔵くんに言われた三郎くんは驚いた表情を見せたあと、ポッと頬を赤らめた。
『フフ、かわいい』
「か、可愛い言うなよッ」
鉢の中の最後の里芋が消えた。モグモグと口を動かしている三郎くん。
『私の里芋ちゃん!返してよ~』
「もう口の中だ」
『うぅ、さといも。食べかけでもいい。出しなさい』
「ぶふっ!無理いうなって」
笑いをこらえながら三郎くんが私の里芋を飲み込んだ。油断してしまった。食べ物の恨みは一生ですよ?
「あーあ、三郎がユキちゃんを泣かせたぞ」
『兵助くーん』
「ヨシヨシ」
『の里芋分けて』
「え゛っ」
ピタリと動きを止める兵助くん。
周りのみんなが一斉に箸を動かし、口に里芋を詰め込んだ。
「おばちゃんに余りがあるか聞いてこようか」と気を使ってくれる兵助くんを困らせたことを深く反省します。
『お茶持ってこようっと。飲む人、手あげてー』
全員の手があがった。食後はのんびりお茶しながらお喋りができそう。
『どうぞ』
みんなにお茶を配って席に着く。食後の一服は最高。
「うまっ!」
三郎くんが感嘆の声を上げた。みんなも口々に褒めてくれて鼻高々。
「さすが立花先輩にしごかれていただけあるね」
『うん。雷蔵くんのしごきって言葉のチョイス正しいよ』
仙蔵くんのスパルタ指導を思い出していた私に同情の目が注がれた。
『でも、美味しいお茶が淹れられるようになって、皆に喜んでもらえるから仙蔵くんには感謝かな』
「その感謝は態度で表してもらわないとな」
口から小さな悲鳴が漏れた。振り向けば鬼姑、じゃなくて仙蔵先生。いつの間にいらっしゃったのでしょう。
「今日は玉露茶を淹れてくれ」
『五年生と親交を深めている最中だからパス!』
「私の茶を淹れるのはユキの仕事だろう?」
『ぎゃー連行されるーー』
羽交い締めのような形で後ろへと仙蔵くんに引っ張られる。
玉露茶淹れたことないし、ダメだしくらって五年生の元へは戻ってこれなそう。さようなら、和気合い合いの素敵な時間。
いつもなら仙蔵くんにされるがままなのだが、私はまだ椅子に座っている。私の体が持っていかれないようにギュッと引っ張ってくれている命知らずの彼を見る。
『勘右衛門くん。この行為は危険だよっ』
「ユキは行かせない」
腰に抱きついて私の顔を見上げる勘右衛門くんが子供のようにプクっと顔を膨らませた。
あぁ、撫で回したい……けど、そんなこと言っているバヤイじゃないよね。恐る恐る斜め後ろを見上げる。
「勘右衛門、その手を離せ」
耳元で響く刺々した声。冷血大王様が怒ってしまう。まずいよ、まずいよ、勘右衛門くん。宝録火矢で吹き飛ばされちゃうよ。
「立花先輩、ユキを解放してあげて下さい」
私は青くなっていた顔をさらに青ざめさせる。
この天然くんっ!それだと仙蔵くん=悪役だと言っているようなものじゃん。仙蔵くんがもっと怖くなるよ。その証拠に、ほら、私を羽交い締めする力が強まっているから。
「ユキも一応女だ。腰に抱きつくな」
一応って……
「立花先輩こそ、羽交い締めで顔が歪んでユキさん可愛そうです」
えっと、泣いてもいいですか?落ち込む私の上下で言い争いは続く。
「先輩たちはいつもユキと一緒にいるじゃありませんか。今日くらい僕たちに譲って下さい」
「これはお前たちが扱えるような女ではない。他をあたれ」
「先輩といえども、一目惚れした女の子を他の男性のところへ行かせる気はありません」
「!?(勘右衛門もユキを……)悪いがユキは将来私の嫁になることが決まっている。手を離してもらおう」
「ユキは誰にも渡しません」
勘右衛門くん
「私とやる気か?勘右衛門」
仙蔵くん……
そろそろ体がちぎれます
誰か私が白目を剥いていることに気づいて下さい。
遠くのテーブルで爆笑している留三郎は後で覚悟するといい。
「こら。お前たち、何をしているんだッ」
鼓膜に響く一喝。綱引きの綱となっていた私に救世主が現れた。
『うわーーん半助しゃあぁぁん』
「まったく。どうしてこんなことになったんだい?」
((土井先生にもっていかれた!))
呆れ声の半助さんに抱きつく。ヨシヨシと頭を撫でて慰めてくれる優しい先生。さっきまで夕食が出そうだったけど、今は嬉しさで涙が出そう。
「袖で目を擦らない」
『うぅ、はい、先生』
「…………先生?」
なぜかピシッと表情を強ばらせた半助さん。
眼光の鋭さに思わず肩が跳ね上がる。私が先生って呼んじゃダメだった?
頭を混乱させる私の横で、仙蔵くんと勘右衛門くんが何故か満足気な顔をしていた。
えーと、えーと、えーと
この空気をどうしたら・・・
『えっ!?』
助けを求めるように周囲を見渡した私の目に入ってきたのは兵助くん、三郎くん、雷蔵くんの後ろから様子を伺うようにこちらを見つめている一年は組の皆の顔。
「お前たちいつの間に!?」
半助さんの言葉を合図に五年生の後ろから飛び出してきた一年は組の皆に取り囲まれる。
「尾浜先輩!学級委員長が独り占めなんてダメですよ。」
「庄左ヱ門!?」
ぷくっと頬を膨らませる庄ちゃん。
「ユキさーん。僕、ユキさんの淹れたお茶飲みたい!」
「し、しんべヱ」
「ユキさんは僕のお嫁さんだよ~」
「喜三太までッ」
私に抱きつくしんべヱくんと喜三太くん。なぜか仰け反る仙蔵くん。
「土井先生、ファイトっス!」
「コ、コラ、うるさいぞ!」
何故かきりちゃんに励まされて怒る半助さん。
「ユキさん、お風呂行こう!僕たち、お風呂のおもちゃ作ったんだよ」
「水鉄砲に自動洗髪器!一番に試させてあげる!」
『前に言っていたカラクリ完成したの?兵太夫くん、三治郎くん、すごい!わぁっ、見たい、試したい』
「それじゃあ、一年は組、お風呂にしゅっぱーつ!!」
『しゅっぱーーつ!』
乱太郎くんに背中を押され、みんなでワイワイお風呂に向かう。
自動洗髪器ってどんなカラクリかな?水鉄砲で西部劇ごっこも楽しそう。
「これは落とすのが難しそうですね」
「はあぁ同感だ、勘右衛門」
顔を見合わせて肩をすくめる勘右衛門と仙蔵。
「それにしても一年は組には敵わないな」
半助の呟きに一部始終を見ていた忍たまが一斉に頷いたのだった。