Knight!
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5.特別措置
初級審神者が所持できる刀剣は2本まで、という事
だったのだけど、赴任する者は特別に4本まで所持可能
という特別措置がとられることになった。
この特別措置が取られる事になったのは先週。
時空省の迷走ぶりが覗える。
おかげで私たちは時間のない中で新たな刀剣選びをすることに。
そういうわけで、私、山姥切国広さん、五虎退くんはどんな
刀剣さんを迎えるべきか話し合い中。
「二人はどのような刀剣を迎えたいか希望はあるか?」
『私は優しい子を希望します』
議長、山姥切国広さんに向かって挙手して発言。
『あなたのように私をポコポコ叩かない』と心の中で付け加えた
のが聞こえたのか山姥切国広さんの眉間に皺が寄った。
そんな彼の隣で五虎退くんの手も上がる。
「五虎退の希望は?」
「僕はこの子達と相性の良い刀剣さんをお迎えしたいです」
元気よく五虎退くんが言った。
彼の意見にに賛成。
動物嫌いの刀剣さんは困るよね。
大きく頷きながら口を開く。
『あと小虎ちゃんたちは室内飼いだから動物アレルギーの痛ッ』
スパンと気持ち良い音が室内に響いた。
山姥切国広さんにスリッパで叩かれた私の頭。
彼はいつの間にスリッパを用意したのでしょうか?
『ちょっとー何するん「真・面・目・に・や・れ!!」・・・ゴメンなさい』
さっきよりも良い音でスパンッとスリッパが切られた。
テーブルの上に転がる真っ二つになったスリッパを見る。
アイスブルーの瞳が「お前もこうなりたいか」って言ってる気がします。
マジで怖い。
私と五虎退くんは身を寄せ合ってガタガタと震えた。
誰がなんと言おうとこの家のボスは彼です。
『ええと、では、まずは種類から決めましょうか』
私が恐る恐る提案すると山姥切国広さんはガシャンと鞘を収めてくれた。
よかった。
私は真っ二つになる運命から逃れたようだ。
「初級審判者が持てる刀剣の種類は短剣、脇差、打刀ですよね」
『そうなんだよね。五虎退くんが短剣、山姥切国広さんが打刀でしょ。
そしたら脇差さんは迎えたほうがいいかな?』
「僕は賛成ですよ。山姥切国広さんは?」
「いんじゃないか?」
山姥切国広さんが頷いたのを見て刀剣希望表に“脇差”と書き込む。
『もう一本はどうしよう?』
うーんと考えていると「短剣にしたい」と山姥切国広さん。
『そうだね。長い剣と短い剣、二人ひと組になっていれば戦いやすいかも』
「いや、この短剣には基本的にユキの傍に居てもらおうと思う」
『私の傍に?』
私と五虎退くんは首を傾げる。
どういうことだろう?
「戦いの中で万が一にでも敵が我々を突破してしまった時に
ユキを守る者が必要だろう」
「なるほど!ユキサマのお傍に誰かが控えていれば僕たちも
安心して戦えますね」
五虎退くんがポンと手を打った。
山姥切国広さんが私の身を心配してくれている。その事が分かって
胸が温かくなる。
「さすが隊長です」
山姥切国広さんにニコッと笑いかける五虎退くん。
一方の山姥切国広さんは彼の言葉にピクっと肩を跳ねさせた。
「お、俺を勝手に隊長にするな、五虎退」
俺なんかが、とか何とか言いながら俯いてしまった山姥切国広さんを見て
私と五虎退くんは顔を見合わせて目をパチパチさせる。
「あれ?ユキサマ、隊長は山姥切国広さんですよね?」
『うん。そうだよ』
今更何を言っているのだろう、と山姥切国広さんを見ていると
俯いたままの山姥切国広さんが「新しい刀剣も来るから近侍も決め直すだろ」と
小さな声で言った。
『他の刀剣さんには悪いけど、私はずっと近侍は山姥切国広さんに
お願いしたいと思ってるよ』
「しかし――」
『嫌?』
「っ嫌なわけないだろ!」
弾かれたように顔を上げた山姥切国広さんはそう言って
顔を真っ赤に染めた。
近侍でいたいって思ってくれていて良かった。
自分で言うのもアレだけど、馬鹿な主だから近侍辞めたいって思われてたら
どうしようって心配してたんだよね。
私は山姥切国広さんに笑いかける。
『山姥切国広さんは強くて優しくて、それに私のことをいつも
第一に考えてくれる。あなた以上に近侍に相応しい人はいないと思ってる』
これは素直な気持ち。
でも、こんな告白めいた事を本人に言うのは照れる。
私も山姥切国広さんに負けないぐらい顔が赤くなっていくのが分かった。
対面に座って顔を赤くさせながら俯いている私たち。
うぅ・・・何だこの空気。
「フフ、いいなぁ」
クスクスという小さな笑い声に顔を上げれば五虎退くんが
私と山姥切国広さんを交互に見ながら笑みを零していた。
「想い合ってるって感じで羨ましいです」
「っ五虎退!」
山姥切国広さんがさらに真っ赤になって叫んだ。
『五虎退くんの事も大切に思ってるよ。最近では弟みたいって
思う時があるの』
「本当に?」
『うん。ホント』
わあ!と嬉しそうに声をあげて五虎退くんが抱きついてきてくれた。
私は彼の背中に腕を回してギュッと抱きしめる。
五虎退くんは私の可愛い弟。
あなたも私の大事な人の一人なんだよ。
『さっそく刀剣選びに行こうか』
新しい刀剣さんたちとも良い関係を築きたいな。
気合十分。
拳を思い切り天井に突き上げる。
『出発しんこーう!』
「オォー!」
「・・・・。」
『あ、そう言えば山姥切国広さん、私のこと名前で
呼んでくれるようになりましたよね』
「っ!いきなりなんだ!?」
ぼんやり私たちを見ていた山姥切国広さんの肩が跳ねた。
「あはは、ユキサマ言うの遅いですよ~」
『だってさっきは言い出せない雰囲気だったからさ。
名前で呼んでくれてありがとうございます、山姥切国広さん』
「れ、礼などいらん。さっさと行くぞ」
私と五虎退くんは顔を見合わせてフフっと笑ってから
ズンズン先を歩いていく山姥切国広さんを追いかける。
山姥切国広さん、五虎退くん、小虎ちゃんたち、そして私。
帰ってくるときには新しい仲間が増えている。心がワクワク。
私は跳ねるような足取りで刀剣保管室へと向かった。
**
カウンターで受付をして入った刀剣保管室。
私たちがまず向かったのは短剣が保管されている棚。
『けっこう数あるね』
棚にズラッと並んだ刀剣を前にポカンと口を開ける。
この中からどうやって選んだらいいんだろう?
山姥切国広さんは刀鍛冶の源さんが偶然カートから落としたのが
きっかけで私の所に来ることになった。
五虎退くんが私の所に来てくれたのも色々な偶然と幸運が重なって。
二人ともこうやって棚から私が選んだわけではないのだ。
『こんな沢山の中からどうやって一本を選んだらいいんだろ?』
困って山姥切国広さんを見上げる。
「守刀だった短剣を選んだら良いのではないか?」
なるほど!さすが山姥切国広さん。
ペラペラと保管庫にある刀剣の解説書をめくり、守刀だった刀剣を探す。
『あった。この刀剣はどうかな?』
二人に見つけたページを見せる。
秋田藤四郎 重ねの薄い小ぶりの短刀
「あ!この子は僕の兄弟みたいです!」
五虎退くんが粟田口吉光と書いてあるのを見て目を輝かせた。
「会いたいなぁ」
『山姥切国広さんはどう思う?』
「いいんじゃないか?五虎退より小さいからユキの傍に
控えやすいだろう」
山姥切国広さんが頷いた。
『よし。それじゃあ、秋田藤四郎さんを探すの
手伝ってもらっていいかな?』
笑みを向けると五虎退くんは笑顔で返事をし、山姥切国広さんは
無言で頷いて廊下を進んでいった。
棚に書いてある刀剣番号を目でなぞりながら秋田藤四郎さんが
保管されている場所を棚から棚へと探し歩く。
「ユキサマー!こちらです」
私が居た通路に五虎退くんがひょこっと顔を出して手招きした。
秋田藤四郎さんが見つかったみたい。
彼に案内された通路に入ると、そこには既に山姥切国広さんの
姿があり、秋田藤四郎さんと思われる刀剣を手にしていた。
「秋田藤四郎だ」
『ありがとう』
山姥切国広さんから刀剣を受け取る。
黒漆の色が艶やかな短刀。
さっき山姥切国広さんが言っていた通り五虎退くんよりも
小ぶりで軽い。
『よし。後は私次第だね』
「頑張ってください、ユキサマ」
祈るように胸の前でギュッと手を握る五虎退くんの言葉に
答えるように一つ頷く。
この刀剣を迎えられるかどうかは私が覚醒させられるかに
かかっている。
緊張する。
心を落ち着けるために2,3度深呼吸をしてから柄を握りしめる。
集中・・・集中・・・
『いきます!!』
体のエネルギーを刀剣に注ぎ込むように意識しながら
一気に鞘を抜く。
『わあぁ!』
柔らかい光。
山姥切国広さんが現れた時とはまた違う、淡く優しい光。
その光は徐々に集まっていき人の形に変わっていく。
まともに刀剣の実体化を見るのが初めてだった私はその美しさに
声を失っていた。
「秋田藤四郎と申します。はじめまして、主様」
目の前に現れたのはピンク色の髪をした少年。目は山姥切国広さんと
同じブルー。可愛い赤い武具を身につけていた。
『はじめまして!私は雪野ユキです。よろしくお願いします』
胸をキュンキュンさせながら秋田藤四郎さんの手を握りブンブン
上下に振ると、彼は驚いたように目を瞬かせたが、直ぐに可愛い笑顔を
私に向けてくれた。
「こちらこそ宜しくお願い致します」
『そんなにかしこまらなくていいよ。えっと、名前長いから
秋田くんって呼んでもいいかな?』
「もちろんです」
『ありがとう。私のことはユキって呼んでね』
「え・・・しかし・・」
困った顔で「うーん」と唸る秋田くん。
「秋田くん、僕はユキサマってお呼びしていますよ」
その様子を見て五虎退くんが秋田くんに声をかけた。
「下のお名前で主様をお呼びしているのですか!?お二人とも??」
「うん。ユキサマのお願いですし、それにお名前でお呼びしたほうが
お互いの距離が縮まるような気がするから」
「本人がいいと言ってるんだ。遠慮する必要はない」
『秋田くんと早く仲良くなりたいし。ね?お願い!』
戸惑い気味に五虎退くんと山姥切国広さんを交互に見る秋田くんの前で
パンと両手を合わせてお願いする。
「わわっ主様ったら頭を上げてください!」
大慌てで私にお辞儀をやめさせようとする秋田くん。
『じゃあ名前で呼んでくれる?』
小首をかしげて問う。すると秋田くんは頬を少し赤らめさせながら
コクンと頷いてくれた。かーわいー
「ニヤニヤしてないで俺たちのことも紹介してくれないか?」
可愛い秋田スマイルに見惚れていた私に山姥切国広さんが冷たく言った。
「エ・・・」
「あ、秋田くん。気にすることないよ。いつもユキサマと山姥切国広さんは
こんな感じだから」
「直ぐに慣れるよ」と笑顔の五虎退くんに「そ、そうなんだ」と言う
秋田くんは逆転した主従関係に困惑しているようだ。
こんな主ですみません。いや、むしろ主と思ってもらわなくて結構ですよ、あはは。
「僕は五虎退と言います。この子たちは僕の虎ちゃん達です」
主って柄じゃないしな、と考えているうちに五虎退くんが秋田くんに自己紹介。
小虎ちゃん達も元気に鳴いてご挨拶。
「わぁーこの子達かわいいね」
「エヘ、ありがとう」
顔をほころばせて秋田くんが小虎ちゃんを抱き上げた。
その横で小虎ちゃんを褒められて嬉しそうに表情を崩す五虎退くん。
なんて素敵な3セット。
「俺は山姥切国広だ」
鼻血が出ないように鼻の付け根を手で押さえる私に白い目を向けながら
山姥切国広さんが言った。
『山姥切国広さんには近侍と隊長をお願いしています』
白い目を受け流しながら山姥切国広さんを紹介すると秋田くんが
ペコリと頭を下げる。
「秋田藤四郎です。山姥切国広さん、よろしくお願い致します。
五虎退くんは僕の兄弟ですよね!小虎ちゃんたちも一緒によろしくお願いしますね」
「あぁ、よろしく」
「よろしくね!」
秋田くんに頭を撫でられて気持ちよさそうに喉を鳴らす小虎ちゃん。
動物好きで礼儀正しい秋田くんなら直ぐに山姥切国広さんとも五虎退くんとも
打ち解けられそう。
和気あいあいとした雰囲気に私は一安心。
『次は脇差さん探しだね』
秋田くんにもう一人刀剣を迎えること話し、私たち四人は先ほどの
刀剣解説書を覗き込む。
にっかり青江、堀川国広・・骨喰藤四郎・・・ページをめくっていた私の手が止まる。
『あ!この刀剣はどうかな?』
浦島虎徹 刀身に浦島太郎の像が掘られている刀剣
「浦島太郎って助けた亀に竜宮城に連れて行ってもらったっていう
あの昔話の主人公ですよね?」
「??うらしまたろう?」
『浦島太郎のお話知らない?』
五虎退くんの言葉に首を傾けている秋田くん。
「有名なお話なのですか?」
『うん。割と有名だよ。そうだ。今晩、寝る前に話してあげるよ』
「いいのですか!?の前に、僕は主様・・じゃなくて、ユキ様と
同じお部屋に寝られるのですか!?」
『みんなで布団並べて寝てるよ』と秋田くんに言うと彼の顔に
笑顔の花が咲いた。
「わあっ!みんなで寝るの楽しみだなぁ」
「僕も新しい仲間が増えて嬉しいです」
手を取り合ってはしゃいでいる秋田くんと五虎退くん。
今夜から、今までよりもっと夜が賑やかで楽しいものになりそう。
「ユキ、この刀剣を選んだ理由を聞いてもいいか?」
山姥切国広さんの言葉で私に注目が集まる。
私が浦島虎徹さんに興味を持った理由。それは至極簡単。
『苛められている亀を助けた浦島太郎は弱い者いじめが
嫌いな正義感溢れる人で、動物にも優しい人だと思うの』
五虎退くんの顔がパッと輝く。
『きっと浦島虎徹さんなら小虎ちゃんたちとも上手く
やっていけるはずだよ』
「ユキサマ!!」
笑顔を弾けさせて私の胸に飛び込んでくる五虎退くんを抱きしめる。
「僕たちのことをこんなに考えて下さるなんて―――感激です!」
『あたりまえだよー』
「・・・いいなぁ」
呟く声に顔を横に向ければ私たちを見ていた秋田くんがハッとしたように
肩を跳ねさせて「ゴメンなさい」と顔を赤くした。
『秋田くんもおいで。ギュッとさせて』
「え、でも、わわっ」
躊躇う秋田くんを引き寄せて抱きしめる。
三人でギュッと抱きしめ合う私たち。背後で大きなため息が聞こえた。
「浦島虎徹探してくる」
付き合いきれんと言ったように眉間を揉みながら歩き出す山姥切国広さん。
『私たちも行きます。みんなも行こう!』
「「ハイッ」」
私たちはそれぞれ小虎ちゃんを抱いて、白いマントを翻して歩く
山姥切国広さんの背中を追った。
そして探し出した刀剣・浦島虎徹
私は先ほどと同じように柄を握り、集中して気を高めている。
『抜きます』
見守るような山姥切国広さんのアイスブルーの瞳、五虎退くんと秋田くんの
祈るような瞳に見つめられながら私は鞘を抜く。
『エイッ!』
橙色の眩しい光が私たちを包み込む。
覚醒成功だ。
光は真夏の太陽のように明るく、目を瞑っていても眩しさを感じる。
どんな刀剣さんだろう?とワクワクしていた私の体にドンという衝撃。
驚いて目を開ける私の目に映ったのは明るいオレンジ色の髪。
浦島虎徹さんが私に抱きついてきたのだ。
「俺を選んでくれてありがとう!よっろしくな、主さんっ」
『こ、こちらこそ!?うわっ(倒れる!!)』
浦島虎徹さんの重みでバランスを崩す。
体が後ろへ倒れていくのを感じて心臓がキュッと縮まる。
「落ち着け、浦島虎徹」
気がつけば広い胸の中。山姥切国広さんが浦島虎徹さんごと
私を受け止めてくれていた。
「おっと。つい嬉しくって興奮しちゃった。ごめんね、主さん!
怪我してないかな??」
浦島虎徹くんがぴょんと後ろに跳ね退いて言って私の顔を
心配そうに覗き込んだ。
『山姥切国広さんが受け止めてくれたから怪我してないよ。
私は雪野ユキ。ユキって呼んで。これからよろしくね、浦島虎徹くん』
浦島虎徹くんの顔から憂いがパッと消える。
「うん!よろしくな、ユキちゃん!」
ニシシと笑う浦島虎徹くん。
天真爛漫な笑顔につられて私も自然と笑顔になっていく。
「俺のことは浦ちゃんでいいよ。こっちは相棒の亀吉」
弾けるような笑顔の浦ちゃんが亀さんを顔の前にジャーンと掲げた。
「亀さんだー」
「可愛いですね」
「およ?他にも仲間がってっえええぇ!?なんで虎がいるんだ!?」
かまってもらおうと五虎退くんと秋田くんの腕から飛び下りた
小虎ちゃんたちがダダッと浦ちゃんを取り囲む。
焦った顔で小虎ちゃんを見ながら亀吉を頭上に上げる浦ちゃん。
『この子達は人懐っこい良い子だから安心してもらっていいよ』
小虎ちゃんを一匹抱き上げて頭を撫でる。
「失礼致しました、浦島さん。この子たちは僕の虎なんです。
みんな戻っておいで」
「おぉ!賢いな」
五虎退くんの指示に従い彼のもとに戻っていく小虎ちゃんたちを見て
浦ちゃんが目を丸くさせた。
「へぇ。俺以外に動物と一緒にいる刀剣を見たのは初めてだ。
名前教えてくれるか?」
「はい!僕は短剣の五虎退です。小虎たち共々よろしくお願いしますね」
「よろしくなっ。で、隣は・・・」
「僕は秋田藤四郎。同じく短剣です。浦島さんの少し前にユキ様の
部隊に加えていただいた新参者です。よろしくお願いします」
浦ちゃんに微笑み、ペコリと頭を下げる秋田くん。
「俺は山姥切国広だ。よろしく頼む」
『彼には近侍と隊長をお願いしています』
山姥切国広さんの自己紹介に補足。
自分から言うタイプじゃないから私が言わないとね。
「よろしくな、隊長!」
穏やかでニコニコ笑顔の秋田くんと元気いっぱい明るい笑顔の浦ちゃん。
二人ともずっと前から一緒に居た仲間のように感じる。
このメンバーでなら困難に直面しても手を取り合って乗り越えていける。
談笑する彼らを見ながら私は思う。
「どうした?ユキ」
『みんなと出会えて幸せだなーって考えてたんだ』
「そうか」
私を見つめる優しいアイスブルーの瞳。
鼓動が早くなっていくのを感じながら、私は楽しそうに話す
五虎退くん達に視線を戻した。