第3章番外編
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実験
ボンッ
『あぁっもうッ。ゴホゴホゴホッ』
ボンッ!と大鍋から出た煙を吸い込んでしまったユキは咳き込みながら腹立たしげに片手に持っていた教科書をバンっと机に叩きつけた。
今日は休日。
ここは地下の魔法薬学教室。
ユキと彼女と同じ寮生で魔法薬学が得意な彼女の友人、セブルス・スネイプは実験の真っ最中である。
『何度やっても失敗ばかり!』
「そう癇癪を起こすな、ユキ」
そういう彼もユキと同じくらいげんなりしていた。何故ならふたりは今生ける屍の水薬を調合しているのだが、何度やっても失敗ばかりなのだ。
『材料もきっちり刻んだし、鍋をかき混ぜる回数も注意したのに……』
椅子に座りぐったりとするユキの前でセブルスは教科書のページをじっと見つめている。そして、よく熟考した後、セブルスは口を開いた。
「教科書が間違っているんじゃないか?」
『は?』
「だから、教科書が間違っているんじゃないかって言ったんだ」
『まさか……』
「だが、それしか考えられないだろう?」
たしかにセブルスの言う通りだ。ユキとセブルスは2人とも慎重に調合を行っていた。だが、何度やっても失敗してしまったのだ。
これはもう、教科書が間違っている以外に考えられない。
『でも、それじゃあどうするの?間違っていたら作れないわ』
情けない声を出すユキの前でセブルスは腕を捲る。その目はキラキラと輝いていた。
「自分たちで正解を見つけ出すんだ」
やる気十分のセブルス。ユキはそんな友人の珍しい姿を見てふっと顔を緩めて自分も腕まくり。
『見つけましょう、正解を』
「あぁ」
ふたりの小さな研究者たちは薬材を刻み始める。
何度もの失敗
何度もの爆発
何度ものやり直しがふたりの絆を強くしていくのであった――――
すやすやすや
心地よい寝息が魔法薬学教室に響いている。
髪をグシャグシャにし、服がだらしなく乱れたふたりの寝顔には満足そうな笑みが浮かんでいる。
そんなふたりの前にある物。机の上には水のように澄んだ安らぎの水薬があった。
ふと、目を覚ましたセブルス。
「んん」
セブルスは目をこすり、ローブから懐中時計を取り出し、杖明かりをつけて時刻を読む。とうに就寝時間を過ぎている時刻だった。
「おい、起きろ」
『ふあ、眠い』
セブルスの手は鬱陶しそうにユキに払われる。
「ユキ、コラ、置いていくぞ」
すると、ユキはのろのろと瞼を開けて、セブルスを見、そしてグイっ!とセブルスの手を思い切り引っ張った。
ユキの体は後ろに、そしてユキの体の上にセブルスは乗る。
『へへ、あったかーい』
「こ、こらっ!寝ぼけるな!」
無邪気に笑うユキの前では抱きつかれて胸をドキドキさせながら顔を真っ赤に染めるセブルスがいる。
寝ぼけたユキに抱きしめられるセブルスはジタバタともがく。
すると―――――
ガタガタ ガターーン
椅子を2つ並べて寝転んでいたため、それが崩れ、ユキは椅子と椅子の間へと落ちた。もちろんセブルスも一緒に。
目の前にある顔に一気に目が覚めたユキ。
『あ!ごごごごめん!セブ!』
「き、気をつけろっ。さっさと帰るぞ」
ギクシャクと帰り支度をする2人の前で、机の上の安らぎの水薬はキラキラと楽しそうに輝いていた。