第3章 小さな動物たち
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4.黒犬の挑発
ルイが医務室に運ばれてから今日で3日目。
俺はマダム・ポンフリーに見つからないように医務室に入り、カーテンの中に入った。
外から足が見られないようにルイのベッドに腰掛けて足を浮かせる。
あいつはまだ眠ったまま。青白い顔で眠っている。
ルイ・プリンス―――
入学式であいつを見た時の衝撃。
雪のように真っ白い髪をなびかせて壇上に上がっていくルイを見た瞬間、俺はヴィーラの誘惑に囚われたのかと思った。
<スリザリン!>
組分け帽子の声が俺を落胆させた。
さらに俺を落ち込ませるのはルイがいつもスニベルスと行動をともにしていることだった。
初めて好きになった女の子。しかもスリザリンのルイにどう接したらいいのか分からなかった。
変身術の時に言ってしまった言葉。
あの時のルイの顔が忘れられない。
琥珀色の瞳を揺らして、酷く傷ついた顔をしていた。泣きそうな顔だった。
あれは俺の本心なんかじゃない。
でも、言ってしまった言葉は取り消せなかった。
照れ隠しで言ったとはいえ、余りにも酷い言葉。許してもらえないかもしれないけど、彼女に謝りたかった。しかし、あの日から何ヶ月も過ぎた今まで、ルイは一切俺にその隙を与えてくれなかった。
「話しかけても聞こえてないんじゃあなぁ」
ルイの長いまつ毛を指で触ってみる。
医務室から出てスリザリン寮に戻る前にちゃんと話したい。
このまま避けられてたらおかしくなっちまいそうだ。
「……酷いこと言ってゴメンナサイ」
自分のぎこちない声に顔を顰める。
「変身術の時のこと、悪かったな。あれ、嘘だから」
これじゃあ完全に上からもの言ってるよな。
ルイにまた蹴りを入れられそうだ。
思い出したあの時の痛みを頭を振って追い出す。
「変身術の時にお前のこと、気持ち悪いって言ったのは嘘で、えっと……だからつまりだな――ホントは俺、反対の事言いたくって……」
本当は綺麗だと思ってた。とか言うのか?
これだと告白しているようなもんじゃねぇかよ!却下だ、却下!
もっとシンプルに!
「変身術で言ったこと謝る。ルイ、俺と友達になってくれ!―――エッ」
手を差し出した俺は固まった。
顔を上げた俺の視界に映ったのはベッドから上体を起こして黄色い目を大きく見開いているルイの姿。
「お、お、お、お前」
慌ててベッドから飛び降りる。
「いつから起きてたんだよ!?」
『ブラックがバリエーション豊かに謝りだしたくらいから、かな』
そんな前からかよ!!
消えてしまいたいくらい恥ずかしい。
逃げ出しちまいたいが、ここで逃げてしまってはもうルイと仲直りするチャンスはないかもしれない。
「聞いてたんなら、返事はどうなんだよ。俺のこと――」
さすがに許してくれるのか?は恥ずかしくて言えず、言葉を切って俺は俯いた。
緊張と期待と、不安……
色んな感情が入り混じる。
『ふふ、あはは」
頭が沸騰しそうになりながら俯いていた俺の耳に突然鈴を転がすような笑い声が聞こえてきた。
顔を上げた俺の心臓がトクリと小さく跳ねる。
コロコロと可愛い笑顔で笑っているルイ。
俺はさっきとは違う原因で自分の顔が赤くなっていくのを感じ始めた。
「わ、笑うなよ……」
『フフ、ごめん、ごめん。何がおかしいってわけじゃないんだけどさ。何か笑いが止まらなくて』
まだ笑みを零しているルイに俺は文句を言う気はなかった。
ルイが俺のことを優しい眼差しで見るのは初めてだ。
『私はブラックと友達になる……なりたい!』
ニコッと笑った彼女からスっと差し出された手。
顔が自然と緩んでいく。
照れ隠しに少し強めにルイの手を握り返す。
『よろしくね、ブラック』
「ブラックじゃなくて、シリウスって呼べよ。俺たち、友達……だろ?」
ドキドキしながら言うと
『うん!シリウス!よろしく、シリウス』
と弾けるような笑顔。
胸が温かくなっていく。
「よろしくな……ルイ」
『ルイじゃないよ』
「は?」
訳がわからず目を瞬くと目の前のルイは楽しそうに笑んだ。
『本当の名前はユキ。ユキっていうの』
「っ思い出したのか!?」
驚く俺にルイはコクリと頷いた。
気絶した拍子に自分の名前を思い出したらしい。
続けてルイは思い出したのは名前だけで苗字は思いだせないと言った。
当然、他の記憶も戻っていない。
『でも、ルイって名前気に入っているからなぁ』
友達にも先生にもルイの名前で浸透しているし、と呟いている。
「ユキはミドルネームにしたらいいだろ?」
『何それ?』
「名前と苗字の間に入る名前で……俺もよくわかんないけど」
『シリウスもあるの?』
「俺はないけど、弟が持ってる」
『弟いたんだ。意外』
「なんだよ、その顔は」
ユキは信じられないといった顔で首を左右に振っている。
『だって、リリーみたいにしっかりした子なら長女だって言われても納得だけどさー』
「分かってねーな。俺は頼れる男なんだぜ」
『自分で言っちゃう!?』
俺たちは顔を見合わせて同時に吹き出した。
笑った顔は遠くからしか見たことがなかった。
この笑顔をずっと見ていたい。
そう思ってユキを見ていた俺はふとあることに気がついた。
「なぁ、俺の気のせいかもしれないけど、髪の毛の色変わってないか?」
『髪の色?』
ユキは首をかしげながら自分の毛先を見て、パチパチと目を瞬いた。
『ホントだ。色が濁った気がする』
「だろ?」
『なんでだろ?』
「俺に聞かれても―――!?」
シャッと音がしてカーテンが開いた。
振り向けば怖い顔をしたマダム・ポンフリーが立っていた。
「まぁ!いつの間に入ってきたの!?」
「あ、やべ。じゃ、じゃあな、ユキ――ルイ!」
俺はマダム・ポンフリーの横を素早く通り抜けて医務室から脱出した。
ルイ――ユキは何時退院できるんだろう?
俺は寮へと続く階段を1段飛ばしで駆け上がっていった。
***
ユキが退院して周りの奴は驚いた。
犬猿の仲だった俺たちが急に言葉を交わすようになったからだ。
それでも寮が違うからなかなか話す機会がない。
廊下で会えば挨拶を交わして立ち話をする程度。
俺がユキと満足に話が出来るのは盗み食いをしにきたユキと偶然厨房で会う時くらいだ。
「こんばんは。シリウス・ブラック様」
「お腹が減ったのですか?何をお食べになりますか?」
俺が厨房に入ると屋敷しもげ妖精たちがワラワラと集まってきた。
適当に相槌をうちながら厨房を見渡す。
ユキは来ていないのか。
「軽いものを作ってくれ」
厨房に来たからといっていつもユキと会えるわけではない。
むしろ会えない日の方が多い。
俺は気落ちしながら椅子に座った。
ユキの奴、今日は来ないのか……。
「うわああっ!?」
俺は大声を上げて椅子から飛び上がった。
足を何かに掴まれたからだ。
恐る恐る机の下を覗き込むと――――
「ユキ!」
『エヘヘー。いたずら大成功!』
テーブルの下にユキがしゃがんでいた。
どうやら俺のことをビックリさせようとして隠れていたらしい。
「驚かすなよ」
怒っている声を出したかったのに実際に俺が出した声は弾んでいた。
顔も緩んでいってしまう。
「悪戯仕掛人にイタズラを仕掛けるなんていい度胸じゃねぇか」
胸が色んな意味でドキドキするのを感じる。
『私もなかなかやるでしょ?』
「あぁ、全然気づかなかった。よく俺が来るってわかったな」
『足音が聞こえたから』
「足音……?」
振り返って扉を見る。
この扉は重くて厚いから外からも中からも開けるまで音が聞こえないはず。
厨房から外に出た時に階段の上にフィルチの影が見えて何度もヒヤッとしたことがあった。
「耳いいんだな」
『まあね』
ニコッと笑ったユキはぐーっと伸びをした。
灰色がかった髪がサラサラと揺れ動く。
『さて、私は帰ろうかな』
「え?もう行くのか!?」
『1時間前くらいに来ていっぱい食べたから』
もう眠くなった、と目を擦るユキ。
せっかく会えたのにロクに話せないまま別れたくない。それに次はいつ会えるか分からないし……
「なあ、面白い話聞きたくないか?」
ユキを引き止めたかった俺は咄嗟にそう言って出ていこうとする彼女の腕を掴んだ。
『面白い話って?』
キョトンとした顔で振り返ったユキ。俺は必死に面白い話がなかったか考える。
その時ふとジェームズが話していたことを思い出した。
「あったりなかったり部屋って知ってるか?」
『あったり、なかったり??』
興味を持ったのか俺に向き直って首を傾げるユキに、その部屋について聞いたことを話す。
あったり、なかったり部屋
夜中に寮を抜け出した生徒が見回りの先生に見つかりそうになった時。
トイレをぎりぎりまで我慢していた生徒が廊下を走っていた時。
飼育禁止のペットを持ち込んだ生徒が飼育場所に困って校内を彷徨いていた時。
『自分が望むものが揃っている部屋ってこと?』
顎に手を当てて俺の話を聞いていたユキが言った。
「あぁ、確かにそういう部屋なのかもしれないな。鋭いな、ユキ」
そう言うとユキは褒められて嬉しかったのかふにゃりと表情を崩した。
その表情が可愛くて俺は自分の顔が耳まで赤くなっていくのを感じ、ユキに見られないように扉へと向かった。
『どこ行くの?』
「決まってるだろ。噂が本当か確かめに行くんだよ。お前もくるだろ?」
心を落ち着けながら振り向いてユキに言う。
『無理だよ。だってもう12時過ぎちゃうよ。明日もクディッチの練習あるし、それに校内を彷徨いてるの見つかっちゃったら……』
「なんだ怖いのか?情けねぇな」
眉を寄せているユキに言うと、情けないという言葉に反応して表情が少し変わった。もうひと押しだ。
「お前は良い子ちゃんだしな。それに、こういうことは度胸のある奴にしか出来ない。弱虫には無理だからな」
『わ、私は弱虫なんかじゃないよ!』
噛み付くように言うユキを鼻で笑ってみせる。
「ふうん。どうだかな。夜のホグワーツを歩いたことあるか?真っ暗で不気味でいかにも“出る”って雰囲気で……」
『ゴーストなんて見慣れてるじゃない。昼間だっているもの。怖くなんかないわ。妖怪だって、怪物だって出てきたければ出てくればいいのよ』
「まあ口だけなら何とでも言える」
最後のひと押し。
『いいわ!私が弱虫じゃないって見せてあげるっ』
俺の挑発に乗ったユキが白い頬を染めて、ツンと上を向きながら言った。作戦成功だ!
「じゃあ行こうぜ。途中で怖くなったなんて言うなよ?」
『あんただって途中で腰抜かしても助けてあげないからね』
にやっと口角をあげる俺にユキも同じ表情で言い返してくる。
こうして俺たちは厨房を出て“あったりなかったり部屋”探しに出かけることになった。
真っ暗な廊下。
俺たちは4階に上がってきていた。
「見つかるから明かりはつけないぞ」
俺はどうしようか迷ったが思い切ってユキに手を差し出した。
柄にも無く緊張している自分がおかしい。
『この手は?』
ユキが小首を傾げた。わかれよ!
「はぐれたら困るだろ。繋いでおいてやる」
『別にいいよ』
「お前が転んだりしてフィルチに見つかったりでもしたら俺が困るだろっ」
俺の気持ちを一つも察しない様子に前途多難なものを感じながら無理やりユキの手を握る。無理やりだったが嫌ではなかったらしい。
俺の手は振り払われることなく軽く握り返された。
「よし、行くぞ!」
『シリウス楽しそうだね』
「う、うるせぇ」
この鈍感!俺は叫びたい気持ちを抑えながら廊下を進んでいった。
『この部屋は?』
後ろを歩いていたユキが立ち止まって通り過ぎようとした部屋を指さした。
「ここはトロフィー部屋だ」
『とろふぃ?』
「あ?トロフィー知らないのか?」
初めて知ったというようにゆっくりと発音するユキに目を丸くする。
ユキは俺の顔を見て真面目な顔でコクコクと首を上下に振っていた。
こいつは勉強はできるのに、時々知ってて当たり前な事を知らないことがある。
「いつも鍵開いてるし入ってみるか?」
『うん!』
「バカ!声がでかい」
『あ、ごめん』
口をおさえてバツが悪そうにするユキを横目にトロフィー室の扉を開ける。
相変わらず埃っぽい部屋。
中に入るとトロフィー棚に並べてあるカップ、盾、賞杯、像が窓から入る月の光に反射して時々星が瞬くように金銀にキラめいていた。
『ちょっと見ていってもいい?』
「あぁ」
別にあったりなかったり部屋を探すのが目的じゃない。ユキと話せたらいいわけだから、俺はすぐに頷いた。
何が面白いのか熱心に棚を見ているユキを俺は目で追う。
月の柔らかな光に照らされるユキはいつも以上に綺麗に見えた。
なんだか綺麗すぎて目の前にいるのにどこか遠く、手の触れられない場所にいるような気がしてくる。
「そんなに熱心になに見てんだ?」
急に不安な気持ちになって声をかける。
『クディッチの優勝杯。私も取りたいなって』
俺は優勝杯を指さしながら笑いかけてくるユキを見てホッとした気持ちになった。
「たしか選手に選ばれたんだったな」
『グリフィンドールの1年生で来年から試合に出そうな人いるの?』
「ジェームズが今度レギュラーオーディションを受けるぞ。たぶん受かると思う」
『ポッター上手いんだ』
「ガキの頃から箒で遊んでいるからな。いいチェイサーになると思う。ユキもチェイサーだよな?」
『ううん。私はビーター』
「ハア!?」
『シリウス、シーーッ』
思わず大きくなってしまった俺の声がトロフィー室に反響する。
ユキが指を口に持っていって目を吊り上げた。
「悪ぃ。だってビーターなんて女がやるようなポジションじゃないだろ?」
『あら、そんなの偏見だよ』
「だけどビーターはシーカーと同じくらい、っていうか自分からブラッジャーに近づいていくから1番危険なポジションなんだぞ?」
『知ってるよ。でも、先輩たちからも向いてるって言われるもん』
「向いてるって、そんな細い腕で――っ!?」
心臓が飛び跳ねる。俺の口をユキが手で塞いだからだ。
目の前にあるユキの顔に全身の血が逆流しそうな感覚になる。
「お、おいユキ」
『シッ。誰か来る』
これ以上このままの状態でいたら自分がどうにかなりそうで声をかけるとユキからは意外な言葉が返ってきた。
琥珀色の瞳が見つめている先を見ながら、耳を澄ませる。
俺には特に何も聞こえないけど……
『フィルチさんの足音だ』
「足音って何でそんなこと分かるんだって、オイ!」
ユキが俺の手を取って走り出した。
素早く、しかし音もなく扉を開けてトロフィー室から連れ出される。
「たしかこの辺りの部屋から声がしたはずだ。ミセス・ノリス、いい子だ。しっかり嗅いで見つけ出してくれ」
トロフィー室から出て廊下を走っていると、遠くからフィルチの声が聞こえてくる。
驚いて振り返れば廊下の端の壁にフィルチが階段を上がってくる影がユラユラと見えた。
ユキはあんなに遠くにいるフィルチの足音が聞こえたのか!?
『ちゃんと前見てよ』
グイと手を引かれて前を見て走る。
手を引かれてやってきたのは鎧がたくさん飾ってある回廊だった。
階段は1段先を見るのもやっとの暗さなのにユキは昼間の校庭を走っているように疾走していく。
全速力でドアを通り、次から次へと廊下を駆け抜けていく。
息を切らしながら階段をのぼって、ようやくユキは立ち止まった。
「お前、ハァハァ、足、速すぎ」
『どうしよう。行き止まりになっちゃった』
肩で息をする俺を振り返ってユキが泣きそうな声で言った。
ここまで来ればフィルチも追ってこないとは思ったが、念のため逃げ道がないか辺りを見渡してみる。
「あ……風だ」
どこからか冷たい風が吹いてきて俺の体を冷やした。
ユキと一緒にどこから風が吹いてきたのか行き止まりの壁を探す。
冷たい石の壁を触っていると他とは違う感触の石が手に触った。
勘が働いた俺は試しにその石を強く押す。するとズンッと重い音がして目の前がホコリだらけになった。
ゴホゴホと咳き込む俺たち。しかし、ホコリは風に流されてすぐに消えていく。
目の前には外への出口がポッカリと空いていた。
『凄い!すごいよ、シリウス!』
駆け寄ってきたユキの嬉しそうな声。
「行ってみようぜ」
『うん!』
そこは天文台とも違う、来たことない屋上だった。
「扉を閉めてしまおう」
石の扉を二人で動かして閉める。
これでフィルチがここまで来ても俺たちに気づかずに引き返すはずだ。
月が満月に近かったので明かりをつけなくても視界は良好だった。
その屋上は奇妙な場所で、失敗作と思われるガーゴイル像や壊れた鶏小屋、教室の長机や黒板があちこちに転がっていた。
『ねぇ、シリウス。こっちきて!』
数メートル先でユキが俺を呼んだ。乱雑に物が置いてある間を歩き彼女のところまで行く。
ユキの隣に並んだ俺は目を瞬いた。
円形の丸いスペース。その中心に2つ並んだブランコ。
それ以外は何も置かれていない広場になっていた。
『これは何だろう?』
ブランコに走っていったユキが座る部分を高く持ち上げて、ガシャンと落とした。ギィギイと鎖の擦れる音が夜空に響く。
「そうやって遊ぶもんじゃないって」
ジャラジャラと鎖を掴んで揺するユキに言いながら俺はもう一方のブランコに座り、地面を軽く蹴った。
前へ 後ろへ
徐々にスピードを上げていく。
「ブランコって言うんだ」
『ぶらんこ。ブランコかぁ』
俺のことを目で追っていたユキはニコッと笑ってブランコに座った。
前へ 後ろへ
『風が気持ちいい』
「そうだな」
ユキが思い切り足を蹴り上げながら笑った。
ずっと見たかったこの笑顔。
「なぁ、ユキ。ここの場所は俺たちだけの秘密にしようぜ」
夜空を見上げ、恥ずかしい気持ちを堪えながら言ってみる。
『秘密!フフ、なんかワクワクするね』
夜空には黄金色の月
でも、ユキの瞳は空に浮かぶ月よりもキラキラと輝いて見えた。