第2章 純粋な猫
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9.アルヴァニアの森
夕日が地平線に沈みきった午後4時半。
鬱蒼と茂るアルヴァニアの森を動く二つの影があった。
周囲に溶け込むよう目くらまし術をかけたマントをフードまですっぽりかぶっている為、間近まで近づかなければ存在に気づかないだろう。
ポリジュース改良薬でマグルの男女に変身しているユキとクィレルは周囲に警戒しながら森の中を進んでいく。
「ここです」
クィレルは茂みの後ろから目の前の
「やはり昨夜はここにいたようです」
土の上に残された灰。
クィレルは予想通りヴォルデモート一行と思われる者たちがいた痕跡を見つけ、このルートで間違いなかったと頷いた。
『そのようね。こっちにテントを立てた跡もある。ここからどこへ行ったかのかしら』
小さな杖の光で周囲の草を探る。
ほどなくしてクィレルがユキに合図をした。
その箇所から踏み潰された草が道を作っている。二人は顔を見合わせたあと光を消しその道を音も立てずに進んでいった。
途中、足あとを見失いそうになりながらも二人の追跡は進む。
二時間に一度、短い休憩を取りながら森を駆け抜ける。
『満月か……』
厚い雲に隠れていく月を見上げながらユキが呟く。
幸い今日は雨を降らしそうな暗い雲が空を覆っており月明かりは雲の切れ間から時々差すだけだ。
風もあるのでユキたちが僅かに立てる足音も敵に気づかれにくい。
時間は進み日付が変わった頃
『これで最後の休憩になりそうね』
「あと一時間も進めば彼らに追いつくでしょう」
『Mr.クィレル……平気?』
ユキは隣に座るクィレルの顔を覗き込んだ。
クィレルは不死鳥の騎士団に入ってからヴォルデモートの行方を密かに追っていた。
森を探し続け、ようやくヴォルデモートの手がかりを見つけることができた。
そして今日、彼はダンブルドアの命によりヴォルデモートの今の状態を確認するためユキと共にやってきたのだ。
かつての主君であり、体に憑依されていた彼はヴォルデモートに対し恐怖心を抱いている。
しかし、ユキの問いには「大丈夫ですよ」と落ち着いた声で答えた。
「闇の帝王は死喰い人を何人か連れているはずです。今回の任務は帝王の状態を確認するだけですから一戦交えるのは避けたいものです」
『重々気をつけるよ』
「では、行きましょう」
敵は近い
二人はポリジュース薬を飲み直し、フードを深くかぶって先を急いだ。
しばらくして二人が出たのは細い川。
土が砂利に変わる境目まで行って立ち止まる。
「足跡が消えましたね」
『この川を越えたのかしら?』
砂利が大きな音を立てないように気をつけながら手がかりを捜すが何も見つからない。
空にかかる雲は黒々と不気味な色で低く垂れ込んできている。
今にも雨が降り出しそうで空気も一層冷たくなってきた。風が落ち葉を巻き上げながら木立の間を吹き抜けていく。
その空気の中にある匂いを嗅ぎとったユキは上流の方に向かって手がかりを探していたクィレルの所へと向かった。
『風の中におかしな匂いがするわ』
と言いながら川の向こうを指差す。
「どんな匂いです?」
『煙。あと泥と汗の混ざった匂い。それから、微かに血の匂いもする』
ユキは不快な匂いに鼻に皺を寄せて言った。
他に手がかりはない。
二人は匂いのする方向へと川を越えて進むことにした。
「ユキ、もう一度言っておきますが……」
『今日は様子を見るだけ』
「そうです。闇の帝王の様子を確認できたら、すぐに姿くらましで帰ります。私から離れないで下さいね」
『了解。お世話になります』
一人で姿くらましできないユキは付き添い姿くらましで連れて帰ってもらうしかない。
クィレルにぺこりと頭を下げた。
川を渡って森を進むとクィレルにも煙の匂いを嗅ぎ取ることができた。
そして、その臭いの元はほどなくして見つかった。
数十メートル先に火が見える。
クィレルは杖を、ユキは苦無を手に持ちお互い顔を見合わせ、一つ頷いてから慎重に歩を進める。
そして、敵から数メートルの茂みの影に身を潜めた。
見えるのは灰色がかったテント。
その前で焚き火を数人の男が囲んでボソボソと小さな声で話をしていた。
「先程よりも風が冷たくなってまいりました」
「我が君、中へお入りになられた方がよろしいかと……」
ユキとクィレルは死喰人が言った“我が君”の言葉に男たちを見る。
どの男もフードを深くかぶっているため顔を見ることはできない。
二人は顔を確認するため右斜めにある茂みにゆっくりと移動する。
その時、月を覆っていた雲が流れて月光が降り注いだ。
男たちの動きを観察していたユキとクィレルは小さく息を飲む。
一人の男が動いたとき、腕に大事そうに抱いていた包みの布がズレ落ち、中にあるものが顕になった。
抱えられていたのは人間の赤ん坊のように見えたが、皮膚は赤むけのどす黒いもので顔はのっぺりと蛇のようで赤い目がギラギラとしていた。
『まさか、あれがヴォルデモート?』
ユキは賢者の石が隠された部屋でクィレルに憑依していた時と抜け出た時のヴォルデモートにしか会ったことはない。
しかし、あの印象的なギラギラ光る赤い目は確かにヴォルデモートのものだと分かった。
「そのようです。あんな姿になっているとは……。私が初めて会った時よりも弱っているように見えます」
クィレルも元の主人の変わり果てた姿に戸惑っていた。
テントの中にはまだ人が居るかもしれないが焚き火の周りにいるのはヴォルデモートを含めて六人。
ユキは暗部の任務で何人もの相手と一人で戦ってきた。
ここから見えるヴォルデモートは手足も細く、弱々しく力があるようには見えない。
不意をつき攻撃すれば勝算は十分あるように思える。
『勝算は十分あると思うけど、どうする?』
「彼らは今油断しきっていて闇の帝王は弱っています。ダンブルドアの命に背くことになりますが私も攻撃したほうが良いと思います」
『そう言ってくれてよかった』
二人はそれぞれ杖と苦無を構え直す。
「それでは、1・2・3で同時に攻撃しましょう――1・2『待って!』
ユキはクィレルを手で制し、パッと後ろを振り向いた。バキバキと枝の折れる音が聞こえ、川辺で感じた不快な匂いが急速にこちらへと近づいてくる。
ぞわりと全身の毛が逆立つ。
『避けろ!!』
暗い茂みの中から飛び出してきたのは巨大な狼だった。
お互い離れるように飛び退いたユキとクィレルの間を飛びかかってきた狼が通り過ぎる。
「狼人間です!」
『左に気をつけて。奴らにも気づかれたわ』
勢い余ってテントのある広場へと突っ込んだ狼が体勢を立て直してこちらへ向かってくる。
<始末しろ!>
背筋が凍るような不気味な声が響く。
その声を合図に一斉に呪文が放たれ閃光が飛んでくる。
ヴォルデモートは死喰人と姿くらましをして姿を消してしまった。
ユキは逃げて行く姿を横目で見て心の中で舌打ちをしながら呪文の閃光をかわし、真っ直ぐこちらへ向かってきた狼人間に苦無を投げつける。
しかし、苦無は大きな爪で弾き飛ばされて飛んでいった。
飛び交う閃光
クィレルとの距離は遠い
『っ――私は自分でどうにか逃げる。先に戻って!』
クィレル一人なら直ぐに逃げることができる。
狼人間の攻撃を避けて、木の枝に飛び乗りながらユキが叫んだ。
「馬鹿言わないで下さい。あなたを置いていけるわけがないでしょう!」
クィレルも死喰人に呪文を放ちながら叫び返す。
呪文は命中しドサっと音を立てて死喰人の一人が倒れた。
敵は残った死喰人三人に人狼。
ヴォルデモートを守っていただけあって腕が立つ者ばかり。
「早くその女を仕留めろ、グレイバック」
薄茶色をした髪の男の呼びかけにウオォォォンと低い唸り声を上げながら狼人間は鋭い爪を伸ばし、 ユキが乗っていた枝をへし折った。
枝から飛び降りたユキの体に、グレイバックに声をかけた男が放った閃光が命中する。
「っ消えた!?」
ポンと煙に包まれたユキの体は木の板に変わっていた。
目を白黒させて叫んだ男は背後に感じた人の気配に慌てて振り向く。
しかし、振り向いた時には杖を上げる暇もなく移動していたユキに鳩尾を殴られ気絶させられてしまった。
その時、急に人狼が頭を抱えて叫び始めた。
厚い雲が再び月を覆ったせいで狼人間グレイバックの体が人間へと変化し始めたのだ。
「早くこちらへ!」
死喰人二人を相手にしながらクィレルが叫ぶ。
ユキは苦痛の唸り声をあげるグレイバックの横を駆け抜ける際に縄縛りの術をかけて縛り上げながら、クィレルのもとへと走った。
『風遁・空気砲』
「スピューティファイ」
ユキとクィレルがそれぞれが放った呪文は命中し死喰人二人は地面に倒れた。
後方ではグレイバックが怒りの声を上げながら縄を解こうともがいている。
周囲の至る所からバチンッバチンッと音がして増援の死喰人が姿を現し始めた。
「帰ります。掴まってください」
差し伸べられた手を取るためにユキも手を伸ばす。
頭上では雲が流れ、雲の切れ間から月がゆっくりと顔を出す。
背後に聞こえるブチブチと切れる縄の音。
しっかり繋がれた二人の手―――
「ップロテゴ!!ステューピファイ!」
強く手を引かれたユキはクィレルに守られるように胸に抱かれる。
耳元で叫ばれる防御呪文。
顔だけ振り返る。
ユキの歪んでいく視界に、薄茶色髪の男が失神呪文で倒れる姿が目に入った。
「ユキ、怪我は!?」
無事に自宅のある山の麓に到着した。
それと同時にポリジュース薬の効き目が切れて二人の体は元に戻っていく。
クィレルは抱きしめていたユキの両肩を掴んで体から引き離し無事を確かめようと顔を見る。
漆黒の瞳の中に満月が映る。
『大丈夫よ』
しっかりと頷くユキを見てクィレルは肩の力を抜く。
「無事で良かった」
『あの男の意識が戻った事、気付かなかったわ。ええと……』
ユキは答えて一歩下がりクィレルを心配そうに見上げた。
「私も大丈夫ですよ」
『よかった』
お互いの無事を喜び、顔を見合わせて微笑んだ。見つめ合う二人の間に甘い空気が漂う。
足元に生える低い草が山から降りてきた冷たい風に揺られて、微かな音をたてている。
暗い雲から落ちてきた小さな雨粒が二人の頬を濡らした。
『あ、雨』
意識がクィレルから雨雲に移ったユキは空を見上げながら、頬を伝う雫を手の甲で拭う。
「降ってきましたね」
『酷くなる前に帰りましょう。ずぶ濡れになるのはゴメンだわ』
「そうですね……」
クィレルはサッと自分から離れ、颯爽と山の斜面を上りだすユキの背中を名残惜しそうに見つめ、天を仰いだ。
先程心が通いあったと感じたのは幻想だったのだろうか。
ユキとの関係は縮まったと感じることもあれば、自分など眼中にないと感じられることもある。
寒さが身にしみる。
『何してるの?』
既に数メートル先を歩いていたユキは立ち止まって動かないクィレルに不思議そうに声をかけた。
「雨にあたっていたい気分なのですよ」
『ん?なぜ?』
いっそう首を傾げてユキが問う。
「あなたにだけは意地でも言いません」
『意地悪』
「何とでも言いなさい」
クィレルは目を瞑り、息を吐いた。
口から出たため息が白い。
ポツリポツリと冷たい雨が顔を打つ。
『今日はあなたのおかげでダンブルドアとの約束を守ることができたわ』
「約束?」
いつの間にか自分の隣に戻って来ていたユキが言った。
『無傷で戻るように約束させられたの』
「そうでしたか」
『助けてくれてありがとう』
差し出された手。
反射的に差し出された手を取り握手する。
瞬間、体の奥が熱く震えた。
自分に真っ直ぐに向けられた漆黒の瞳の中に感じられる尊敬と信頼。
『これからもよろしく、クィリナス。さ、帰ろう!お腹減った!』
先程まで虚しく、傷んでいた心が満たされていく。
「こちらこそ、ユキ」
足取り軽く駆けていくユキの背中をクィリナスは愛しそうに見つめる。
クィリナスの心は先ほどの虚しさが嘘のように消え温かくなった。
《報告》
アルヴァニアの森でヴォルデモートを発見。
姿は赤子のようで、手足は細く、かなり衰弱しているように見える。
今回、ヴォルデモートの護衛をしていた死喰人は六名。
顔を確認できた死喰人はフェンリール・グレイバック、バーテミウス・クラウチJr.
以上
***
ホグワーツに戻ったユキは事件の起こった廊下に来ていた。
薄暗い廊下の壁には「秘密の部屋は開かれたり」と書かれたままになっている。
先日のヴォルデモートの様子から彼本人が事件を起こしたとは思えない。
今のヴォルデモートには石化させるだけの力はなさそうだ。
それでは一体何者の仕業か―――
ユキは微かな足音でも聞き取ることができる自信があった。
もしかすると、犯人は人ではないかもしれない……
「あ、ユキ先生だ!」
『ロン、こんにちは。それに、ハリーにハーマイオニーも』
「ユキ先生、どうしてこんなところにいるの?」
ハリーがユキにギュッと抱きつきながら言った。
『何か手がかりがないかと思ってね。何度も探しているんだけど、見つかったのは床の焼け焦げくらい』
「ほんとだ――あっちにも――こっちにもある」
ロンが言った。
「来てみて!変だわ……」
ハーマイオニーに呼ばれて壁の文字すぐ脇にある窓に近づく。
指さされた一番上の窓ガラスを見ると二十匹あまりの蜘蛛が小さな割れ目から先を争うように外へと這い出していっていた。
「蜘蛛がこんなふうに行動するの見たことある?」
と不思議そうに言うハーマイオニー。
「ううん」
ハリーが気味悪そうに蜘蛛を見ながら首を横に振った。
『確かに奇妙ね。引越しかしら?』
一つ声が聞こえない。
振り返るとかなり遠くに青ざめた顔でロンが立っていた。
逃げ出したいのを必死にこらえている感じだ。
『大丈夫?』
「僕、蜘蛛が好きじゃないんです」
引きつった声でロンが答えた。
「知らなかったわ。蜘蛛なんて魔法薬で何度も使ってるじゃない」
「死んでるやつなら構わないんだ。あいつらの動きが嫌なんだよ。三つの時、僕が抱いてたテディ・ベアをフレッドが大蜘蛛に変えちゃったんだ。考えてもみろよ、急に足がニョキニョキ生えてきて……」
ロンが身震いして言葉を途切れさせるのを見て、ハーマイオニーがクスクス笑った。
「そういえば、あの日は廊下水浸しだったよね。誰かが拭き取ったのかな」
空気が悪くなるのを感じたハリーが気をきかせて話題を変えた。
『フィルチさんが掃除してくれたよ。とは言ってもいつまた水浸しになるか分からないけど』
「どういうこと?」
と気を取り直したロン。
「あら、ここ嘆きのマートルのトイレだわ」
「マートルに聞いたら何かわかるかも!」
「ハリー、入れないよ。だってここ女子トイレだぜ?」
『ここはいつも故障中なの。誰も入って来やしないわ。誰かきたら、皆で個室に隠れましょう』
故障中の張り紙を横目にユキは扉を開ける。
男子生徒を女子トイレに誘う教師はいかがなものか……
ここはホグワーツ内で一番陰気で憂鬱なトイレだ。
ひび割れた鏡に、あちこち欠けた手洗い台、トイレの小部屋の扉は塗装がはげ落ちている。
『マートルいるー?』
ユキの呼びかけにマートルは一番奥のトイレからヒューっと出てきた。
そしてロンとハリーの顔を見たとたん、胡散臭そうに顔をしかめた。
「なんで男がいるのよ」
『誰も来ないから問題ないかなって。ダメだった?』
「ダメにきまってるでしょっ!教師のくせに何言ってるのよ!」
プンプン怒るマートルを見てユキは乾いた笑いを出して誤魔化した。
「ねぇ、マートル。ハロウィーンの日に何かおかしなものを見なかった?あなたの玄関の外で事件が起きたから私たち何か知っていると思って聞きに来たの」
「あの夜、誰か見かけなかった?」
「そんなこと気にしていられなかったわ」
ハーマイオニーとハリーの質問にマートルはユキへのお説教をやめて答えた。
「ピーブズったらパーティー会場からずっと私にピーナッツをぶつけながら追いかけてきたの。だから私ここに入って自殺しようとしたの。でも、わたしって、わたしって―――死んでたのよ!」
マートルは悲劇的なすすり泣きをあげて便器の中に飛び込んでしまった。
くぐもった泣き声がどこからか聞こえてくる。
『残念ながら収穫なしね』
「今日のマートルは機嫌がいいほうなのよ。さぁ、出ましょう」
ハーマイオニーが呆気にとられているハリーとロンに言った。
マートルのすすり泣きを背に出口に一番近かったロンが扉を開ける。
ハリー、ハーマイオニーと続いて出た瞬間に廊下から大きな声が聞こえた。
これは、まずいと思ったユキは反射的にトイレの奥へと引っ込んだ。
「じょ、女子トイレで君たち男子が一体何を!?」
グリフィンドール監督生パーシー・ウィーズリー。
見つかればミネルバに告げ口されてしまう。
ユキは薄情にも出て行かないことに決めた。
「ジニーは君たちが退校処分になるのを心配して泣きはらしているんだぞ!少しはジニーの事も考えてやれ」
「兄さんが心配しているのはジニーじゃなくて主席になるチャンスを僕が台無しにしないか、だろう?」
ロンが興奮気味に言った。
「グリフィンドール10点減点!!」
パーシーは顔を真っ赤にして怒り、去って行った。
パーシーは真面目な生徒だ。
ユキの忍術学の授業もいつも真剣聞いている。
少々融通がきかないところがあるのが残念だが――――
パーシーが階段を上がって行ったのを確認してユキも廊下に出た。
『兄弟喧嘩のきっかけを作ってしまってごめんなさいね』
「先生のせいじゃないよ。パーシーは図星を刺されて怒ったんだ」
『そう言わないであげて。真面目で一生懸命な性格だから曲がったことが許せないのよ』
「わかりました」とは言ったがロンは不服そうに肩をすくめた。
『残念だけど何も手がかりは得られなかったわね。でも、事件を解決したいという皆の優しい気持ちに対して私からグリフィンドールに10点あげるわ』
パーシーからの減点が帳消しになって三人は笑顔になる。
『ダンブルドア校長をはじめ、私たち教師みんなこの事件について調べているわ。だから、後は私たちに任せて事件について調べるのは今日でおしまいにしてね』
お互い顔を見合わせたあと、コクリと頷く生徒たち。
ユキは素直すぎる生徒たちに不安を感じながら3人の頭をクシャクシャっと撫でた。