第2章 純粋な猫
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4.穢れた血
朝一でスネイプはロックハートが昨晩ユキにしたことをマクゴナガルに報告。
マクゴナガルは直ぐ私室にユキを呼び出して恋愛緊急講義。
そして大広間
『昨日はお世話になりました』
「その様子だとマクゴナガル教授にたっぷりと灸をすえてもらったようだな」
口の端をあげ満足そうに笑う顔を見る。
私はスネイプ教授が好きなのだろうか。
ミネルバの話を聞いているうちに思い出した人物。彼のことを考えると心が弾み、嫌われたと感じると心が痛み、抱きしめられるとドキドキと胸が高鳴った。
昨日のロックハート教授に抱きしめられた時は不快感しか感じなかったのに……
「我輩の顔に何かついているかね?」
ずっと見つめていたらしい。
『いえ。何となく見ていただけです』
「変な奴だ」
片眉を上げ、鼻で笑われた。
焦らずに自分の心と向き合っていきなさい―――ミネルバの言葉を思い出す。
ホグワーツに来てから色々な感情を手に入れた。
きっと恋心とやらも自然と分かるはず。
『天気がいいので散歩でもしてきます!』
だから、今はまだこのままで
大好きなホグワーツの日常を楽しもう
***
澄んだ空気が気持ち良い。
あてもなくぶらぶらと歩く。
「「わっ!!!……あれ!!??」」
『フフ。後ろだよ』
背後から私を驚かそうとしたロンとハーマイオニーに声をかける。
「わーお。いつの間に後ろに回りこまれたんだろ?」
「私たちの上を飛んだんですか?」
『正解。二人ともそのバスケットは?』
甘くて香ばしい匂いがするバスケットを指差す。
「クィディッチの練習を終えたハリーと合流して皆でハグリッドの所へ行くんだ」
「ユキ先生も一緒に行きませんか?」
トースト一枚あげるからと手を引かれて競技場へと向かう。
スタンドに着くと選手たちが競技場へと入ってくるところだった。
「まだ終わっていないのかい?」
ロンが信じられないという顔をした。
「まだ始まってもいないんだよ。あ!ユキ先生、見に来てくれたんだ」
「「おはよう、師匠」」
『おはよう』
ハリーとウィーズリーの双子に挨拶をする。
ホグワーツに入学していたらクィディッチをやってみたかったな。
空高く舞い上がっていく選手たちを見上げる。気持ちよさそうに競技場を全速力で飛び回っている。きっと朝の冷たい風が気持ちいいだろう。
「ユキ先生!おはようございます」
『おはよう、コリン。ご両親に動く写真送れた?』
「まだ送っていないけど現像はしました!見て、先生。ハリーを撮ったんだ」
隣に座ったコリンに写真を見せてもらう。ハリーの姿はなく、ロックハート教授がいつもの完璧な笑顔を振りまいていた。
「いつ見てもハリーは画面から逃げようとするんだ」
残念そうにコリンが言った。
『今撮ったら?動きのあるいい写真が撮れるわ』
「そうだね!こっち向いて、ハリー!こっちだよ!」
一生懸命ハリーの気をひこうとする横で、ハーマイオニーに貰ったマーマレード・トーストを頬張る。外で食べる食事は一段と美味しい。
「見て、ロン!スリザリンの選手が入ってくるわ」
突然声を上げたハーマイオニーが指差した方を見ると、グリーンのローブを着込み、箒を手に持った選手が競技場に入ってくるところだった。
ふと人の気配がして振り返る。スリザリン2年生のデリラ・ミュレーだ。
『おはよう、Ms.ミュレー』
睨まれて知らん顔されてしまった。彼女は可愛らしい顔が台無しになるくらい怖い顔でこちらを睨みつけてくることがある。
前年度の忍術学試験の結果が悪かったからだろうか。
「先生の挨拶を無視するなんて失礼だわ」
『いいのよ、ハーマイオニー。きっと聞こえなかっただけだから』
「そうかしら?」
「みんなグラウンドに降りてきたよ。どうしたんだろ?」
ロンの言葉で再びグラウンドに視線を移す。
突っ込み気味にグラウンドに降り立つウッドに続き、ハリー、フレッド、ジョージが続く。
「今日はグリフィンドールが競技場を予約しているはずだ。スリザリンの奴らを追い出して早く練習すればいいのに何やってるんだ?」
「見て。スリザリンのキャプテンが何か紙を見せているわ」
「どうなっているか見に行ってみよう」
ロンが苛々しながら言い立ち上がった。
「ユキ先生も来てくれませんか?」
『ホグワーツでの喧嘩は規則違反。喧嘩になったら減点しないといけない。ここにいたら喧嘩の声も聞こえないから、ここに座っているわ』
揉めないようにと言ってヒラヒラと手を振るとロン、ハーマイオニー、それにスリザリンのデリラも立ち上がり競技場へと入っていった。
赤と緑の塊。
目を細めて生徒たちの口元を見る。
読唇術
声色は分からないが話していることは分かる。
<なぜ練習しないんだ?どうして、あいつがここにいるんだよ?>
<ウィーズリー、僕は新しいスリザリンのシーカーだ>
ドラコはシーカーになったのね!おめでとう!だけど……
<グリフィンドールも資金集めして箒を買えばいい。その古い箒を慈善事業の競売にかけたら大儲けできるよ>
口が悪い。スリザリン・チームの大爆笑が聞こえてくる。グリフィンドール・チームは当然ながら怒っている。
<少なくともグリフィンドールの選手は誰一人としてお金で選ばれたりしていないわ>
ハーマイオニーのこの一言でスリザリン生にも火がついたようだ。生徒の何人かが腕まくりをしているのが見える。口喧嘩から殴り合いの喧嘩になりそうだ。
<こっちは純粋に才能で選手になったのよ!>
知らんふりはできなさそう。
ポンッと地面を蹴る。
「選手でもない奴が口を出すな!誰もおまえの意見なんか求めてないぞ」
轟々と声が上がる。
私は狭まっていく輪の中心に飛び降りた。
急に現れた私を見て驚いた生徒たちの動きがピタリと止まる。
「ユキ先生……」
『ドラコ、自分の言った事わかっているわね?ハーマイオニー、あなたもよ』
失望のこもった私の声を聞きドラコとハーマイオニーは肩を落として下を向いた。
『よし。喧嘩はおしまい!』
気まずい空気を消すためにパンと手を鳴らした。
『せっかく早起きしたんだし練習しなさい。グラウンドは広いわ。揉めずに仲良く使ってね』
「……ユキ先生が言うなら……フリント。スリザリン・チームは競技場の左側を使うといい。それでいいか?」
「あぁ」
『私たちはグラウンドから出よう』
上手く収まったと思ったが殺気を感じる。
視線を辿るとこちらを睨みつけるデリラの姿があった。
これ以上喧嘩を長引かせたくない。スタンドに戻るために足に力を入れる。
「なによ、カッコつけちゃって」
怒りに満ちた甲高い声はよく響いた。
散り散りになりつつあった生徒たちの足が止まる。ハアァ嫌な予感。
「誰のこと言っているんだよ?」
ハリーが噛み付くように言う。
「こいつのことに決まっているでしょう?スネイプ教授に色目を使う下品な女によ!」
『色目ってどういう意味?』
怒っていたハーマイオニーの顔が苦笑いに変わった。変なこと聞いた?
「ユキ先生を侮辱するなんて、許さないぞ!」
『ハリー、大丈夫だから』
いきり立つハリーを手で制す。
「デリラ。ユキ先生に謝ってさっさとスタンドに戻れ」
「何よ!!どうしてドラコはこんな奴の肩を持つの?こんな、こんな、穢れた血の女の!!」
デリラが吐き捨てるように言った途端、グリフィンドールの生徒たちが大声をあげた。穢れた血が何を意味するかは分からなかったが酷い悪態をついたことだけは分かる。
酷い罵り合いの声がグリフィンドールとスリザリンの両方から聞こえてくる。
『やめなさい!』
ユキの声は叫び声に掻き消されて届かない。
怪我人が出る前に術を使って動きを止めたほうがいいのか。しかし、生徒に使うのは躊躇われる。
「ロン、穢れた血ってどういうこと?」
「お前みたいな奴を言うんだ、グレンジャー」
「よくもそんなことを!」
「なんだ、ウィーズリー?ナイト気取りか?」
ロンがポケットから杖を出したのが目に入る。
『杖はいけない!』
頭に血が上っているのか私の声は聞こえていない。
人を避けながらロンに近づき手を伸ばす。
「黙れ、マルフォイ!思い知れ!!」
間に合った。
ロンの手を掴み、杖先を空中に向けることに成功した。
バーンと大きな音が競技場にこだまし、緑色の閃光が飛び出す。
『……ん?……うっ……』
空に放たれるはずだった閃光は真っ直ぐに私のお腹へと直撃。
ロンの杖が折れているの忘れていたよ。
うっ、何か出そう……
そう思った瞬間大きなゲップとともに口から大ナメクジが飛び出した。
片手で口を押さえるが次の吐き気が襲ってくる。
杖を振ってグラウンドに落ちたナメクジを消すと甲高い笑い声が耳をついた。
「あーー可笑しい。いいザマだわっ」
デリラが笑いながら涙を拭っていた。
グリフィンドールから再びあがる怒声にスリザリン生も反応する。
ハーマイオニーの制止の声は届かない。
『いい加減にしなさい!!』
グラウンドに鋭い私の一喝が響く。
四つん這いになってナメクジを吐く私の横で生徒を厳しい目で見つめている影分身。
『グリフィンドール、スリザリン、それぞれ五十点ずつ減点します』
『……うえっ……ゴホ、う……限界……』
やはり長く持たなかった。
影分身は減点を告げてすぐポンと音を立てて消えてしまった。
「ユキ先生、僕のせいでごめんなさい」
『……大丈夫……ぅ……あなたたちは練習、しなさい……』
次のナメクジの波が襲ってきた。
グラウンドのナメクジを消して急いで芝生を横切る。今、空中を飛んだら衝撃でナメクジが噴き出しそうだ。早歩きで競技場を出る。
心配そうに顔を曇らせるハリー、ロン、ハーマイオニーが追ってきてくれた。
「ユキ先生、ごめんなさい。治るよね?」
『治るよ。大丈夫。な、何事も経験……う……バケツない?』
手の中にナメクジが落ちる。
ハーマイオニーがアクシオして落ちていたバケツを引き寄せ手渡してくれた。
『……ゲホッ……自分で、医務室行けるから……大丈夫……うえっ』
「医務室まで遠いわ」
「ハグリッドのところへ連れて行こう」
「そうだね。医務室よりずっと近い。僕、先に行ってハグリッドに知らせてくる」
ロンが走って行ってくれた。
医務室に行くとマダム・ポンフリーに怒られてしまう。
ハグリッドの小屋に行くことになってよかった。
「ユキ先生、もうすぐ着きます……もうすぐです……」
ハーマイオニーが背中をさすってくれる。
バケツには沢山のナメクジ。薬学に使えそうな量だわ。
「大変。ロックハートがハグリッドの小屋にいたんだ!」
慌てて走ってきたロンが恐怖だという顔をして言った。
顔をバケツに向けたまま目だけ上げると小屋から藤色のローブを纏ったロックハートが出てきたところ。
「見つかったらまずい。早く、こっちに隠れて」
ハリーに腕を引っ張られて脇の茂みに隠れる。ロンは安心した顔をしたがハーマイオニーは不満顔。私たちはロックハートの姿が見えなくなるまで待って茂みの中から出ていった。
ロンが慌ただしく小屋の戸を叩くと不機嫌そうなハグリッドが出てきた。しかし来たのがロックハートでないと分かるとパッと顔が輝いた。
「いつ来るんかと待っとったぞ!さぁ、入った、入った―――おや、ユキも一緒か?」
私は肩をすくめてナメクジを吐き出しながら敷居をまたいだ。
「みんな出しちまったら楽になる。止まるまで待つこった」
「あの呪いってただでさえ難しいのよ。まして杖が折れていたら――」
「反省しているよ」
『気にしないで……逆噴射したけど……うっ……呪いは成功!……』
ロンが少しだけ微笑んだ。ハグリッドがお茶とお菓子を運んできてくれたのでさっそく糖蜜ヌガーに手を伸ばす。
「ユキ!全部出し切ってから食べんとダメだ。それで?やっこさん、誰に呪いをかけるつもりだったんかい?」
私の手が届かない所に皿を移動させながらハグリッドが聞いた。
「マルフォイのやつ、ハーマイオニーに穢れた血って言ったんだ」
「その前にデリラ・ミュレーって子もユキ先生の事をそう呼んでた。僕は意味が分からなかったけど……ものすごい酷い悪口だったと思う」
「そんなこと、本当に言うたのか!?」
ハグリッドが大憤慨して唸り声を上げた。
「言ったわよ。でも、私もユキ先生もどういう意味か分からなかった……」
「マグルから生まれた、両親が魔法使いではない者のこと指す最低な呼び方だ」
ロンが嫌悪感たっぷりに言う。
「マルフォイやミュレー家みたいに皆が純血って呼ぶもんだから、自分たちが一番偉いって勘違いする連中がおるんだ」
「そんなの関係ないじゃないか」
「そうだ、ハリー。それに、俺たちのハーマイオニーが使えねえ呪文は、今までひとっつもなかったぞ」
『……私も、そう思うわ……努力家で、センスもある、将来有望、自慢の……うっ……教え子よ』
ハーマイオニーはパーっと頬を紅潮させた。
「ユキには悪いが、ロンの杖が逆噴射したのはかえってよかったのかもしれん。マルフォイもミュレーもホグワーツの理事だ。もし呪文があたっとったら父親が学校に乗り込んでおったかもしれん」
『そうなっていたら、かなり、面倒なことになってたわね』
ナメクジが止まってきたようだ。普通に喋れるようになってきている。
洗面台で口をすすがせてもらう。
『糖蜜ヌガー貰っていい?』
ハリー達が絶句した。
「おぉ、ええぞ。元気になったようだな。そうだ、俺が育ててるモン、ちょっと見にこいや」
『残念だけど14時から職員会議なのよ』
「そうか。休日なのに大変だな」
『お邪魔しました。糖蜜ヌガーありがとう!』
ヌガーを口に入れて私は城へと走りだした。
***
クィディッチ練習の後、生徒たちが泥を落とさずに城に入ったようで廊下が汚れている。
スネイプは杖を振りながら廊下を進んでいく。
「ユキ先生に謝ってこいよ!」
「謝る必要なんかないわ」
想い人の名が聞こえ思わず廊下の角で足を止めた。
覗き見ると談話室の入口で言い争っているのはドラコとデリラ・ミュレー。
「それに先生にあんなこと言うなんて……」
「煩いわね。ドラコだってグレンジャーに言っていたじゃない」
「あいつは穢れた血だ。でも、ユキ先生は違う」
穢れた血
鮮明に思い出されるあの日の苦い記憶
この言葉によって幼馴染を傷つけ、失った
「ユキ先生は魔法族じゃなくて忍の人だ」
「それがおかしいのよ。火の国出身っていうけどそんな国どこにあるの?あんな得体のしれない女がホグワーツの教授だなんて理解できないわ」
「先生は力のある人だ。父上もそう言っていた……君の父上は何とおっしゃっている?」
「……あんな女の事、お父様と話さないから知らないわよ!気分が悪いから失礼するわ」
「待てよ、デリラ」
二人の足音が遠ざかっていく
火の国
忍
聞けば話してくれるのだろうか……
ホグワーツに来るまでの彼女のことは殆ど知らない。
聞こうとしたことはあるが聞けなかった。
闇よりも深い漆黒の瞳
感情のない瞳の中に垣間見えた彼女の心の闇
雪野、君は一体…………
「何をやっているのかね?」
職員室の入口で自分の口を両手でこじ開けようとしている雪野の姿が目にはいる
『んーんんーーーん』
「糖蜜ヌガーを食べたのか?」
『んんんーん?』
「なぜ分かったか、だと?口にヌガーがついている」
ハンカチで口についたヌガーをとってやると顔を真っ赤にさせた。
「世話の焼ける奴だ」
『……』
彼女は徐々に自分に心を開いてくれてきた
いつの日か彼女が打ち明けてくれるまで待とう
『……ん』
「いらん。しかも食べかけではないか!会議が始まる。さっさと中に入りたまえ」
だから、今はまだこのままで
大好きな彼女との日常を楽しもう
***
「最後に私の寮のポッターとロン・ウィーズリーの処罰についてですが」
『私、手伝いをお願いしたいです!』
素早く手をあげ、立ち上がった。
罰則を適当に切り上げ、ハーマイオニーも呼んでパジャマ・パーティーというのを実践してみたい。
「君の罰則は罰にならないであろう」
スネイプ教授に帯を掴まれ椅子に座らされる。
『そんなことないですよ』
「それに」
声色が変わって横を見る。
ニヤリと笑った意地の悪い顔をしていた。
「君は罰則を与える側ではなく、受ける側だ」
『えぇ!?私、何かしました?』
「あの日、大広間の前でポッターとウィーズリーに入れ知恵をしていただろう」
『聞こえてたんだ……』
車が禁じられた森に消えたのでハリーとロンが空を飛んで来た証拠はないと考えたユキはロンのお父さんに連れてきてもらったことにすればいい、と入れ知恵をしていたのだ。
「雪野教授の罰則は是非、私に」
「ごめんなさい、ギルデロイ。聞こえませんでしたわ。もう一度おっしゃって」
眼光鋭いミネルバを見てロックハート教授が青ざめた。
「え、ええと、私にハリー・ポッター君の処罰をお任せいただいてもよろしいですか?」
「そうですね。お願いします」
ミネルバは満足そうに微笑んだ。
「ロン・ウィーズリーの処罰はフィルチさんにお願いしましょう。ユキの罰則は……」
何故か職員室の教授たちがミネルバから視線を逸らした。
「……仕方ない。我輩が面倒を見よう」
「お願いしますね、セブルス」
ミネルバが言い、職員会議が終わった。
教授たちはズルズルと一人がけソファーから滑り落ちていく私の肩を笑いながら叩き、スネイプ教授には何故か激励の言葉をかけて職員室から出て行った。
二人きりの職員室。
ソファーに座り直し見上げるとお馴染みの意地の悪い笑顔に見下ろされた。
「処罰は今夜だ。我輩の研究室に来い」
『あぁぁ今学期5回目の罰則です』
「並の生徒より多いな」
『ミネルバ曰く、ウィーズリーの双子と良い勝負だそうです』
「2度と馬鹿な真似をしなくなるように厳しめの罰を与えてやろう」
『そんなー。どうか御慈悲を!』
私の心が弾んでいるからそう見えるのだろうか。
職員室を出て普段より軽快に歩く黒い背中を追いかけた。