第1章番外編

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秘密の花園












寒く厳しい冬が過ぎ去り、ホグワーツに春がやって来た。

イギリスの春は美しい。色とりどりの花が咲き乱れ、辺りは甘く優しい香りで満たされている。

ホグワーツ城敷地内の丘の上。
そこに忍術学教師、ユキ雪野の姿があった。

分厚い本を片手に熱心に花を見ているユキを通りがかった魔法薬学教授が見つけて丘を上ってくる。

「何をしている?」

『スネイプ教授。植物の観察をしているところなんです』

「図鑑を持って植物観察か。ずいぶん熱心なことだな」

『私がいた世界にはなかった植物が多いんです。魔法薬に使えるもの、食べられるものがないかも調べたくて』

「ふっ。食べられる植物か。それは力になれんが魔法薬に使えそうな植物なら知識がある。よければ協力するが?」

『ありがとうございます!よろしくお願いします』

スネイプはユキの隣に腰を掛けた。地面に生えていた花がふわりと香り、スネイプの鼻をくすぐる。

「これはレンギョウ、解熱や消炎の効果がある」

『綺麗な花ですね』

「そうだな」

スネイプの知識は豊富でユキは色々なイギリス固有の植物の知識を得ることが出来た。

温かな日差しのもと二人の青空勉強会は続く。





「これで大体済んだな」

辺りの草花を見てスネイプが言う。

『ありがとうございます。とても勉強になりました』

ユキは膝に載せていた図鑑をパタリと閉じて、ん~と伸びをする。

雪野、この後まだ時間はあるか?」

『はい。今日は予定はありませんから』

「では、見せたい場所がある」

『見せたい場所?何があるんですか?』

「着いて来い」

スネイプは自分がこれからすることに少々照れたのかややぶっきらぼうにそう言って立ち上がった。

『あっ。待ってくださいよ~』

大股で歩いていくスネイプをユキが慌てて追いかけていく。



禁じられた森に入った二人は先ほどとは打って変わって陰鬱な雰囲気の森を歩いていた。

ユキは隣を歩くスネイプを気づかれないようにチラと見上げる。
人に見せるような素敵な場所がこの先にあるとは思えない。

あ……もしかしたら凄く貴重な薬草が生えている場所があるのかも。

きっとそうだ。

そう、ユキが思っていた時だった。


突然、目の前が開けた。

キラキラと降り注ぐ黄金色の陽射しが世界を輝かせる。

ユキは息をするのも忘れて立ち尽くしていた。


なんて美しいの……!


ユキの目の前に広がっていたのは野生の薔薇の群生だった。

赤、白、ピンク、黄色。色とりどりの腰ほどの高さの薔薇の茂みが広い広場に咲き乱れ、樫の大木には蔓薔薇が巻きつき小さな可愛らしい花を咲かせている。

『なんと言えばいいのか……こんな美しい景色を見たのは初めてだわ』

スネイプを見上げながら言ったユキの目からは自然と涙が一粒零れていた。

「気に入ったようでなにより」

スネイプはユキの涙を見て顔を綻ばせながら、ゆったりとした動作でユキの頬に伝った涙を拭き取った。

「薬草を採集していた折りに偶然見つけた場所なのだ」

『私なんかにこの場所教えちゃって良かったんですか?』

「別に隠していたわけではない」

『美しく、神聖ささえ感じられる場所です。秘密にしておく価値ありますよ、この場所』

「よほどこの場所を気に入ってくれたのだな」

『はい』

ユキは頷いて、改めて辺りを見渡した。

美しく、薔薇の芳しい空気に満たされたこの場所。
ユキはまるで天の国にでも来たような心地になっていた。


『広場に下りてみても?』

「もちろんだ。行ってみよう」

薔薇の広場よりも少し小高い場所にいたユキたち。

ユキはスネイプにさっと差し出された腕を頬を赤くしながら取って、緩やかな丘を下りていった。

『薔薇にもたくさんの種類があるんですね。赤色にもこんなにバリエーションがある』

「そうだな。微妙な色の違いによって、花言葉も違ってくる」

『あっ!この色素敵!スネイプ教授、この色の花言葉って分かります?』

ユキが指差したのは真紅の薔薇。

「意味は恥ずかしさや内気だな」

『なるほど。ではこちらは?』

次にユキが指差したのはダークピンクの薔薇。

「意味は感謝だ」

『感謝!もし手折れるならこの花をスネイプ教授に贈りたいです』

ユキはニコリとスネイプに微笑みながらそう言って、くるりと背を向けて薔薇の観賞に戻った。

ユキの後ろ姿を少々寂しい思いをしながら見つめるスネイプ。


薔薇の花言葉にはロマンチックで愛を伝えるものが多いのに自分に向けられる言葉は"感謝"か……

ユキとは只の同僚同士だから仕方ないとは分かっているが……



『痛っ』

スネイプが心の中で溜め息を吐いているとユキから短い悲鳴が上がった。

「どうした?」

『薔薇の刺に指を刺してしまって』

見ればユキの人差し指からは血がプクリと出てしまっていた。

『えっあの……』

突然とられた手首。

『あ……』

スネイプの長い指がユキの人差し指に絡み、ユキの指はスネイプの口許に運ばれていく。


チュッ


指の怪我をスネイプが優しく吸い上げる。
ユキはその官能的な感覚に一気に顔を上気させる。

スネイプもまた同じ。ユキの血が体を駆け巡って脳を蕩けさせる。

「気をつけろ」

『は、はいっ』

くるりとユキに背中を向けたスネイプは杖を取り出す。

空中で描く円

『わあっ!』

「お前にこれをやろう」

『ありがとう!』

紅色の花冠がユキの頭を彩った。


薔薇の香りよりも惹き付けられる、君の香りに惑う―――








┈┈┈┈┈後書き┈┈┈┈┈┈┈
紅色の薔薇の花言葉は死ぬほど愛しています、です。
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