ナイトメア




 いつの間に、眠っていたのだろうか。薄っすらとした視界で窓を見れば、塗りつぶした黒の上に星々が見えた。
 某しかいない部屋は、静まり返っていた。

 涙を流し続けたせいで、頭が痛い。目頭が燃えるように熱く、何をするのも億劫だった。
 一度、起き上がった身体を倒し音を立てて倒れ込む。

「……寝てるのかい?」

 太宰さんの声が聞こえたような気がして、ぼんやりと瞼を開ける。隣には太宰さんが立っていて、某を見つめている。

 ああ、これは夢だ。


「すまない。あの時の私には、ああすることしかできなかった」

 太宰さんは、眉間に皺を寄せて縋るように某の手に指を絡める。夢でまでそんな顔をしないで欲しい。思ったことが伝わったのか、そうだねと云って太宰さんは微笑んだ。

 そう、それでいい。
 沈んで行く意識の中で、某も笑う。


「いつか、その時まで」

 幼子をあやすように頭を撫で付けれる其の温もりに、それがしは、心地良く其の中に落ちた。
 不思議と、あの恐怖心は襲ってこない。


「お休み、雲雀君」



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