夢小説 短編
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
スノードーム
今日の街はいつもより華やかだ。ボルドーやモスグリーンで統一され、仕上げにキラキラと輝くゴールドの電球で装飾されていた。店の看板にはパキッとした色で「ラッピング承ります」と目立つように書かれている。
12月24日
そう、今日は誰もがときめくクリスマスイブである。ソラはカプセルコーポレーションに用事がある。ブルマから、トランクス含めた3人で一緒に昼食を食べようとのお誘いが会ったのだ。トランクスは午前中仕事が入っていた為、12時頃に来てねと言われていたのだが、遠足の前日の如くソラは楽しみで仕方なく予定より1時間前に着いてしまい、街をぶらぶらと探索していた。
ショーウィンドウ越しにかなりリアルに作られたサンタクロースの造形と目があう。外は寒いから入りなさい、と言われている気がした。ソラは店のドアを開ける。その瞬間、チリンという可愛らしいベルの音が聞こえてきた。
ソラはクリスマス仕様の店内を物色する。何かを買いに来たわけではなかったが、見てるだけで心が踊った。
暫くすると木製のテーブルの上にあった商品に目を奪われ、思わず手に取る。ずっしりとした重さ、透明な容器、中のミニチュアサイズの女の子に白い粉がちらちらと降り注いでいる。それはスノードームだった。
なんか、一人用ポッドみたい......
ソラはそう思わずにはいられなかった。
球形でとてつもなく寒い小さな世界に、女の子が閉じ込められている。その様子が昔の自分と重なるようで___。でもひとつだけ違った。手に持つそれは、ポッドなんかと比べられないくらい綺麗だった。
これ、トランクスにあげたら喜ぶかな?
ソラはスノードームをレジへ持っていく。本当は1番大きいサイズのものが良かったが、それなりの値段であり、ソラ はお金をそこまで持ち合わせていなかったので、1番小ぶりなものにした。店を出るといつの間にか時計の針は進んでおり、約束の12時近くになっていた。
ソラはカプセルコーポレーションに到着する。受付の綺麗な女性に案内され、一室に入るとそこにはブルマが待っていた。
「あ、ブルマさん、こんにちは!」
「ソラちゃん、よく来たわね」
ブルマはソラへと近づいた。
「ふぅん、また綺麗になったんじゃない?」
「え、そんな事はないと思いますよ?」
「いいえ、そんな事あるわ!!それに私が言ってるんだから本当よ?良いわねぇ、若いって」
「えへへ、ありがとうございます」
そうしてソラは辺りを見回す。そこに恋人の姿は見えなかった。
「あー、トランクスね、まだ仕事終わってないみたいなのよ。ごめんなさいね、区切りのいい所で辞めさせて、呼んでくるわ」
「別にそこまで急かさなくても......」
「大事な彼女を待たせるなんて男としてNG行為よ?」
「大丈夫ですよ。あっ、私が行ってきましょうか?渡したい物もあるので......」
「あら、その方が効率的ね。じゃあ頼もうかしら?最上階の一番奥の部屋にいるからよろしくね」
「了解です」
あえて自分の気を消してエレベーターに乗り、最上階のボタンを押した。エレベーターはとてつもない速さで上っていく。格が違う、流石世界のカプセルコーポレーションだ。最上階に到着し、長い廊下をスタスタと歩いているうちに頑丈な作りの扉が見えてきた。きっと、ここが社長室。
コンコン、とノックをする。
よし、ドアが開いたら思いっきり驚かそう。
ドキドキしながら数分待っていたが、扉は一向に開かなかった。居ない......?でも確かに扉の向こうからトランクスの気が感じられる。こういう時ってどうすればいいんだろう?うーん。ブルマさんなら多分、きっと、絶対、
ガチャリ
ソラは意を決して扉を開けた。
「えっ......」
ソラの瞳は大きく見開かれた。そこには自分の恋人が女性を押し倒している光景があった。間違って転んで押し倒していた、という訳ではなさそうで......。きっと故意でトランクスがやったのだ。ソラの手からラッピングされたチェックの袋がするりと落ちる。ガシャンと硝子が割れる音がし、トランクスとその女性は扉へと目を向けた。
「えっ、ソラ!?」
「お邪魔しました」
「あ、待っ」
そのまま彼女は扉を閉め、廊下を走り、エレベーターには乗らず階段をひたすら駆けた。ブルマが待つ部屋へ駆け込むと、
「ブルマさん、ごめんなさい、お腹の調子が悪いので帰ります」
「えっ、ちょっと、ソラちゃん!?」
ブルマの呼びかけを無視するようにソラは窓から飛び去った。
最悪な日だ。
ソラは猛スピードで飛んでいた。何も考えずにひたすら飛ぶ。そしてパオズ山にある花畑へと降り立った。
自分はなんて情けないのだろうか。
折角誘ってくれたのに、嘘をついて、嫌な事から逃げてきた。
胸が苦しい。
悔しい。
無知なままだったら、こんな感情知らずに済んだのかな。
ソラは深く深呼吸をして瞼を閉じた。
早く忘れよう、そして何事も無かった様に帰って、ごはんを食べて、好きな本を読んで、またごはんを食べて、たっぷり眠ろう。そうしていつも通りの朝を迎えるんだ。
立ち上がるとトランクスの気が近づいてくるのが分かった。はっとして、急いで自分の気を消す。が、時すでに遅し。
彼は花畑に降り立った。
ふわりと周りの花々が揺れる。
ソラは思わず反対方向へと走った。
トランクスはそうはさせるかという勢いで迫り、やっとの思いで手首を掴むとぐっと引っ張り押し倒した。
「っ離して!!」
「絶対逃がさない!!」
「嫌っ」
初めて彼女に拒絶され、トランクスは切なくなった。しかし、手首を掴む力はさらに強くなる。逃げれないと分かると抵抗を辞め、ソラはトランクスをキッと睨む。
「ごめん」
「......」
「やましい事は本当に何も無かった」
「......」
「言い訳かもしれないけど、聞いて欲しい。さっきの人は社員なんだ。彼女に今夜一緒に過ごそうって誘われた。でも、俺にはソラが居るからって、断った。そしたら、彼女がお前の事を知ったように比べて卑下するから、ついカッとなって......」
「押し倒す必要ないよ」
「ごめん、あの時怒りに任せてて何も考えて無かった」
「......」
「俺にはソラしかいないんだ。昔からお前が大切で何より大事なんだよ。でもそんなお前の事傷付けた。嫌われたよな、俺、ソラに無視されて嫌われてもずっとずっと好きでいるし愛してる。だから、だから、ごめん、ごめん、ごめ......」
トランクスはごめんと連呼しながら泣いていた。これでは自分が彼の事を泣かせたように見えるではないか。そんなの、ずるい。
「もう、いいよ」
「嫌だ。嫌だ、俺、お前の事離したくない、そんなの嫌だよ!!」
ソラは嫌嫌言っているトランクスの口を塞いだ。
「っん!?」
心の中で10秒きっかり数えて、ゆっくり離す。
「そうじゃなくて。もう謝らなくて大丈夫だよって意味。私は居なくならないから、だから、もう泣かないで、ね?」
トランクスは落ち着いたのか、手首をゆっくり離した。ソラの手首は赤くなっていた。
「目が赤くなってる。折角のイケメンが台無しだ」
「ソラだって」
「じゃあ、お揃いだね」
トランクスは彼女の言葉に何も言えなくなってしまった。
「私トランクスの事ちょっとは怒ってたけど、それ以上に自分が嫌になってたんだ。冷静になればあの場で確かめる事だって出来たのに、私感情に任せて逃げたんだよ?悔しくて、辛くて、苛立って、自分が自分じゃ無くなって、こんな醜い事考えてる私が嫌いになった」
ソラは少し辛そうな顔をして見せた。
トランクスは彼女の赤くなった目元をなぞる。
「それ、嫉妬じゃん」
「しっと?」
「あぁ、俺もたまにあるから分かる」
「トランクスもあるの?」
「だってお前こんなに可愛いんだから、妬くに決まってる」
「何それ......」
「ソラは嫉妬してる自分嫌いかもだけど、俺はどんなお前でも好きだよ。それに今回は全面的に俺が悪いから、ソラが自分の事責める必要ない」
「こんな私でも好きでいてくれるの?」
「当たり前じゃん」
彼は勢いよく立ち上がる。
彼女も立ち上がろうとしたが、トランクスがソラを抱き寄せ、いわゆる姫抱きをした。彼女は恥ずかしがっていたが、それが面白くてそのままトランクスは飛び立つ。
「あ......」
「ん?」
「スノードーム」
「あぁ、袋に入ってたやつか。もしかして、俺へのプレゼントだったりする?」
「うん、でも多分割っちゃった。ごめんなさい」
「いや、あんなとこ見たら誰だって吃驚するよな。しょうがないよ、でも俺の為にプレゼント選んでくれたっていう気持ちは凄く嬉しい」
「お金持ちの癖に安上がりなんだから」
「お前が俺の為にっていうのが重要なんだよ。ソラがくれるものなら何だって嬉しいから」
「ばか」
そうこう話しているうちに先程までいたカプセルコーポレーションへと到着した。
「やっと戻ってきたのね」
「ブルマさん......ごめんなさい」
「ソラちゃんは、1ミリも!!悪くないわ」
ブルマは強調するように言い放った。
トランクスがこそっとソラに耳打ちをする。
「お前を追う前にかなり叱られたんだ」
「ふふ、ブルマさん流石だ」
その後ブルマとトランクスにリビングへと案内された。そこにはご馳走が山ほどあった。
その中で一際目を引くのはクリスマスケーキだった。ふわふわの生地をきめ細かなミルククリームが満遍なく包み込んでいる大きなクリスマスケーキ。中央には大ぶりのいちごがこれでもかという程のっていた。えっと、ここは天国ですか?
その後3人で最近の出来事を楽しく語った。
途中ブラちゃんとベジータさんがショッピングから帰ってきてからは、5人で会話をする事になった。ベジータさんも、今日は何だか楽しそうだった。
「トランクス〜、送り狼にならないようにね!!」
「そんな事しないから、母さん!!」
「あら、どうかしら」
楽しい時間はあっという間に過ぎてしまう。
もう時計の針は夕食の時間を差している。
トランクスはソラを送る事になり、2人でふよふよと飛んでいた。
「ブルマさんからピンクのリップ貰っちゃった」
「良かったじゃん。あ、今度それ付けてデートしようぜ」
「うん!」
「それと......これは、俺からの」
「用意してくれたんだ」
「当たり前だろ、なぁ、開けてみて」
ソラは催促されるまま小さな袋の紐を緩めて、中身を取り出す。縦長の小さな箱だった。それをパカっと開けるとそこには小ぶりな宝石がついたネックレス。その宝石は、角度によって虹色に輝いて見える神秘的なものだった。トランクス曰く、プレシャスオパールというらしい。
「凄く、きれい、」
「貸して、つけてやるよ」
トランクスに渡すと後ろに回り込まれ、器用に首元に付けられた。
「似合ってる」
「へへ、ありがとう」
後ろからぎゅっと抱きしめられた。
「あったか」
「くっついてるからね」
「来年もさ、クリスマス俺と過ごしてくれる?」
「うん、でも次はドタバタしたくないかな」
ちらっと振り返ってトランクスを見る。
「ははは......。気をつけます、」
「あ、トランクス」
「?」
「メリークリスマス!」
「あぁ、メリークリスマス!」
2人はどちらともなく唇を寄せる。
クリスマスにするキスは、何だかいつもより特別で、熱くて、とろけるくらい幸せだった。
雪がちらちらと舞い始めた。
今夜は積もるかもしれない。
プレシャスオパールの石言葉
理想的な未来、恋愛の進展
今日の街はいつもより華やかだ。ボルドーやモスグリーンで統一され、仕上げにキラキラと輝くゴールドの電球で装飾されていた。店の看板にはパキッとした色で「ラッピング承ります」と目立つように書かれている。
12月24日
そう、今日は誰もがときめくクリスマスイブである。ソラはカプセルコーポレーションに用事がある。ブルマから、トランクス含めた3人で一緒に昼食を食べようとのお誘いが会ったのだ。トランクスは午前中仕事が入っていた為、12時頃に来てねと言われていたのだが、遠足の前日の如くソラは楽しみで仕方なく予定より1時間前に着いてしまい、街をぶらぶらと探索していた。
ショーウィンドウ越しにかなりリアルに作られたサンタクロースの造形と目があう。外は寒いから入りなさい、と言われている気がした。ソラは店のドアを開ける。その瞬間、チリンという可愛らしいベルの音が聞こえてきた。
ソラはクリスマス仕様の店内を物色する。何かを買いに来たわけではなかったが、見てるだけで心が踊った。
暫くすると木製のテーブルの上にあった商品に目を奪われ、思わず手に取る。ずっしりとした重さ、透明な容器、中のミニチュアサイズの女の子に白い粉がちらちらと降り注いでいる。それはスノードームだった。
なんか、一人用ポッドみたい......
ソラはそう思わずにはいられなかった。
球形でとてつもなく寒い小さな世界に、女の子が閉じ込められている。その様子が昔の自分と重なるようで___。でもひとつだけ違った。手に持つそれは、ポッドなんかと比べられないくらい綺麗だった。
これ、トランクスにあげたら喜ぶかな?
ソラはスノードームをレジへ持っていく。本当は1番大きいサイズのものが良かったが、それなりの値段であり、ソラ はお金をそこまで持ち合わせていなかったので、1番小ぶりなものにした。店を出るといつの間にか時計の針は進んでおり、約束の12時近くになっていた。
ソラはカプセルコーポレーションに到着する。受付の綺麗な女性に案内され、一室に入るとそこにはブルマが待っていた。
「あ、ブルマさん、こんにちは!」
「ソラちゃん、よく来たわね」
ブルマはソラへと近づいた。
「ふぅん、また綺麗になったんじゃない?」
「え、そんな事はないと思いますよ?」
「いいえ、そんな事あるわ!!それに私が言ってるんだから本当よ?良いわねぇ、若いって」
「えへへ、ありがとうございます」
そうしてソラは辺りを見回す。そこに恋人の姿は見えなかった。
「あー、トランクスね、まだ仕事終わってないみたいなのよ。ごめんなさいね、区切りのいい所で辞めさせて、呼んでくるわ」
「別にそこまで急かさなくても......」
「大事な彼女を待たせるなんて男としてNG行為よ?」
「大丈夫ですよ。あっ、私が行ってきましょうか?渡したい物もあるので......」
「あら、その方が効率的ね。じゃあ頼もうかしら?最上階の一番奥の部屋にいるからよろしくね」
「了解です」
あえて自分の気を消してエレベーターに乗り、最上階のボタンを押した。エレベーターはとてつもない速さで上っていく。格が違う、流石世界のカプセルコーポレーションだ。最上階に到着し、長い廊下をスタスタと歩いているうちに頑丈な作りの扉が見えてきた。きっと、ここが社長室。
コンコン、とノックをする。
よし、ドアが開いたら思いっきり驚かそう。
ドキドキしながら数分待っていたが、扉は一向に開かなかった。居ない......?でも確かに扉の向こうからトランクスの気が感じられる。こういう時ってどうすればいいんだろう?うーん。ブルマさんなら多分、きっと、絶対、
ガチャリ
ソラは意を決して扉を開けた。
「えっ......」
ソラの瞳は大きく見開かれた。そこには自分の恋人が女性を押し倒している光景があった。間違って転んで押し倒していた、という訳ではなさそうで......。きっと故意でトランクスがやったのだ。ソラの手からラッピングされたチェックの袋がするりと落ちる。ガシャンと硝子が割れる音がし、トランクスとその女性は扉へと目を向けた。
「えっ、ソラ!?」
「お邪魔しました」
「あ、待っ」
そのまま彼女は扉を閉め、廊下を走り、エレベーターには乗らず階段をひたすら駆けた。ブルマが待つ部屋へ駆け込むと、
「ブルマさん、ごめんなさい、お腹の調子が悪いので帰ります」
「えっ、ちょっと、ソラちゃん!?」
ブルマの呼びかけを無視するようにソラは窓から飛び去った。
最悪な日だ。
ソラは猛スピードで飛んでいた。何も考えずにひたすら飛ぶ。そしてパオズ山にある花畑へと降り立った。
自分はなんて情けないのだろうか。
折角誘ってくれたのに、嘘をついて、嫌な事から逃げてきた。
胸が苦しい。
悔しい。
無知なままだったら、こんな感情知らずに済んだのかな。
ソラは深く深呼吸をして瞼を閉じた。
早く忘れよう、そして何事も無かった様に帰って、ごはんを食べて、好きな本を読んで、またごはんを食べて、たっぷり眠ろう。そうしていつも通りの朝を迎えるんだ。
立ち上がるとトランクスの気が近づいてくるのが分かった。はっとして、急いで自分の気を消す。が、時すでに遅し。
彼は花畑に降り立った。
ふわりと周りの花々が揺れる。
ソラは思わず反対方向へと走った。
トランクスはそうはさせるかという勢いで迫り、やっとの思いで手首を掴むとぐっと引っ張り押し倒した。
「っ離して!!」
「絶対逃がさない!!」
「嫌っ」
初めて彼女に拒絶され、トランクスは切なくなった。しかし、手首を掴む力はさらに強くなる。逃げれないと分かると抵抗を辞め、ソラはトランクスをキッと睨む。
「ごめん」
「......」
「やましい事は本当に何も無かった」
「......」
「言い訳かもしれないけど、聞いて欲しい。さっきの人は社員なんだ。彼女に今夜一緒に過ごそうって誘われた。でも、俺にはソラが居るからって、断った。そしたら、彼女がお前の事を知ったように比べて卑下するから、ついカッとなって......」
「押し倒す必要ないよ」
「ごめん、あの時怒りに任せてて何も考えて無かった」
「......」
「俺にはソラしかいないんだ。昔からお前が大切で何より大事なんだよ。でもそんなお前の事傷付けた。嫌われたよな、俺、ソラに無視されて嫌われてもずっとずっと好きでいるし愛してる。だから、だから、ごめん、ごめん、ごめ......」
トランクスはごめんと連呼しながら泣いていた。これでは自分が彼の事を泣かせたように見えるではないか。そんなの、ずるい。
「もう、いいよ」
「嫌だ。嫌だ、俺、お前の事離したくない、そんなの嫌だよ!!」
ソラは嫌嫌言っているトランクスの口を塞いだ。
「っん!?」
心の中で10秒きっかり数えて、ゆっくり離す。
「そうじゃなくて。もう謝らなくて大丈夫だよって意味。私は居なくならないから、だから、もう泣かないで、ね?」
トランクスは落ち着いたのか、手首をゆっくり離した。ソラの手首は赤くなっていた。
「目が赤くなってる。折角のイケメンが台無しだ」
「ソラだって」
「じゃあ、お揃いだね」
トランクスは彼女の言葉に何も言えなくなってしまった。
「私トランクスの事ちょっとは怒ってたけど、それ以上に自分が嫌になってたんだ。冷静になればあの場で確かめる事だって出来たのに、私感情に任せて逃げたんだよ?悔しくて、辛くて、苛立って、自分が自分じゃ無くなって、こんな醜い事考えてる私が嫌いになった」
ソラは少し辛そうな顔をして見せた。
トランクスは彼女の赤くなった目元をなぞる。
「それ、嫉妬じゃん」
「しっと?」
「あぁ、俺もたまにあるから分かる」
「トランクスもあるの?」
「だってお前こんなに可愛いんだから、妬くに決まってる」
「何それ......」
「ソラは嫉妬してる自分嫌いかもだけど、俺はどんなお前でも好きだよ。それに今回は全面的に俺が悪いから、ソラが自分の事責める必要ない」
「こんな私でも好きでいてくれるの?」
「当たり前じゃん」
彼は勢いよく立ち上がる。
彼女も立ち上がろうとしたが、トランクスがソラを抱き寄せ、いわゆる姫抱きをした。彼女は恥ずかしがっていたが、それが面白くてそのままトランクスは飛び立つ。
「あ......」
「ん?」
「スノードーム」
「あぁ、袋に入ってたやつか。もしかして、俺へのプレゼントだったりする?」
「うん、でも多分割っちゃった。ごめんなさい」
「いや、あんなとこ見たら誰だって吃驚するよな。しょうがないよ、でも俺の為にプレゼント選んでくれたっていう気持ちは凄く嬉しい」
「お金持ちの癖に安上がりなんだから」
「お前が俺の為にっていうのが重要なんだよ。ソラがくれるものなら何だって嬉しいから」
「ばか」
そうこう話しているうちに先程までいたカプセルコーポレーションへと到着した。
「やっと戻ってきたのね」
「ブルマさん......ごめんなさい」
「ソラちゃんは、1ミリも!!悪くないわ」
ブルマは強調するように言い放った。
トランクスがこそっとソラに耳打ちをする。
「お前を追う前にかなり叱られたんだ」
「ふふ、ブルマさん流石だ」
その後ブルマとトランクスにリビングへと案内された。そこにはご馳走が山ほどあった。
その中で一際目を引くのはクリスマスケーキだった。ふわふわの生地をきめ細かなミルククリームが満遍なく包み込んでいる大きなクリスマスケーキ。中央には大ぶりのいちごがこれでもかという程のっていた。えっと、ここは天国ですか?
その後3人で最近の出来事を楽しく語った。
途中ブラちゃんとベジータさんがショッピングから帰ってきてからは、5人で会話をする事になった。ベジータさんも、今日は何だか楽しそうだった。
「トランクス〜、送り狼にならないようにね!!」
「そんな事しないから、母さん!!」
「あら、どうかしら」
楽しい時間はあっという間に過ぎてしまう。
もう時計の針は夕食の時間を差している。
トランクスはソラを送る事になり、2人でふよふよと飛んでいた。
「ブルマさんからピンクのリップ貰っちゃった」
「良かったじゃん。あ、今度それ付けてデートしようぜ」
「うん!」
「それと......これは、俺からの」
「用意してくれたんだ」
「当たり前だろ、なぁ、開けてみて」
ソラは催促されるまま小さな袋の紐を緩めて、中身を取り出す。縦長の小さな箱だった。それをパカっと開けるとそこには小ぶりな宝石がついたネックレス。その宝石は、角度によって虹色に輝いて見える神秘的なものだった。トランクス曰く、プレシャスオパールというらしい。
「凄く、きれい、」
「貸して、つけてやるよ」
トランクスに渡すと後ろに回り込まれ、器用に首元に付けられた。
「似合ってる」
「へへ、ありがとう」
後ろからぎゅっと抱きしめられた。
「あったか」
「くっついてるからね」
「来年もさ、クリスマス俺と過ごしてくれる?」
「うん、でも次はドタバタしたくないかな」
ちらっと振り返ってトランクスを見る。
「ははは......。気をつけます、」
「あ、トランクス」
「?」
「メリークリスマス!」
「あぁ、メリークリスマス!」
2人はどちらともなく唇を寄せる。
クリスマスにするキスは、何だかいつもより特別で、熱くて、とろけるくらい幸せだった。
雪がちらちらと舞い始めた。
今夜は積もるかもしれない。
プレシャスオパールの石言葉
理想的な未来、恋愛の進展