夢小説 短編
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冬真っ盛り。辺り一面は銀世界だ。
ソラは冷たく澄んだ空気を全身で浴びる。そして、思いっきり叫んだ。
「ゆーきーぃ!!!」
ゆーきーぃぃぃぃぃぃ
遠くの山に反響して自分の声が聞こえてくる。結構楽しい、かも。
「お前、何してんだ......」
「え?やまびこ」
「あはは、ソラお姉ちゃんおもしろーい!」
パチパチと悟天が手を鳴らして笑っていた。トランクスはというと、かなり呆れているように見える。
トランクス、悟天、ソラの3人は雪山に遊びに来ていた。今年の冬は積雪量が少ないため、満足に雪で遊ぶ事が出来なかったのである。3人はそれぞれ、カプセルコーポのマークが着いたスノーウエア、各自持ってきた帽子、手袋を着用し防寒対策はばっちりだ。
「雪がいっぱい、大きなアイスクリームみたい!」
「これなら、いくら遊んでも無くならないね。トランクス君、ソラお姉ちゃん!!」
「まぁ、そうだな」
「僕ね、大きい雪だるま作りたい!」
「あっ、それ私もやりたい!!」
悟天がやりたい事を提案すると、ソラが案の定のってきた。
「雪だるまとか子供かよ、」
「トランクス君だって子供だよう!!」
「そうだ、そうだー!!」
「俺はお前達より大人なんだよ」
最近のトランクスは子供扱いされる事が嫌らしい。思春期なのだろうか。
「私より年下の癖に」
ソラはボソッと呟いた。すると、トランクスはムッとした顔になる。
「そんな事言ってられるのも今だけだぞ」
「それどういう意味?」
「教えなーい」
ソラは問い詰めようとしたが、チラッと横を見ると悟天がもう雪玉を作り始めており、急いで自分も雪玉作りに取り掛かった。
トランクスは、2人が雪玉を作っている間に顔のパーツになりそうな石や枝を探しに行く。何やかんやあっても、結局3人で雪だるまをつくるのであった。
「これ、いつまで転がせばいいんだろ?」
夢中になって転がしていたソラであったが、ふと自分の手元を見てみると、とてつもなく大きな雪玉へ変身していた。
「悟天ちゃんー、そろそろ良さそうだよ!」
振り返り、悟天の雪玉を見るとぎょっとした。自分の雪玉より更に大きかったのだ。
「んー?あ、そうだね、ソラお姉ちゃんのこっちまで持ってきて!!」
悟天に言われたとおりもう1つの大きな雪玉へと向かっていく。悟天が作ったそれの方が大きいので必然的にソラのは上になる。
崩さないように、慎重に___。
ソラは雪玉を上に乗せた。
「うん、いい感じ。あとはトランクスが持ってくる顔のパーツを付けたら完成だよ悟天ちゃん!」
「たのしみだねー! あ、トランクス君遅いよ。あとは顔だけだよ?」
トランクスはいい感じに丸くてつやつやした石と、太くてしっかりした枝を持ってきたのだが......。
「お前ら馬鹿じゃねぇの!」
来てそうそうトランクスは2人を怒鳴る。
「な、なんでよ!ちゃんと雪だるまの形に出来てるもん」
ソラはトランクスに反論した。
「あのなぁ」
トランクスは目の前の完成間近の雪だるまを見る。全長およそ10メートルのそれ。自分の手に収まる大きさの石と枝。明らかにバランスがおかしい。これでは顔を付けても遠目からでは見えないではないか。雪玉が大き過ぎたのだ。
ソラと悟天はその事に気付くと、へへっと苦笑いをして誤魔化す。
まぁ、こんな時もある。
トランクスは拾って来たそれを顔の位置へと取付ける。これで雪だるまは完成した。
スキーをしにこの山にきた何も知らない人々がこの雪だるまを見たら......
きっと腰を抜かしてしまうだろう。
ふと、悟天は少し離れた所に何かを発見した。
「うさぎさんだ!」
ぱあっと目を輝かせると悟天は一目散に兎の元へかけていく。勿論、そんな悟天に兎は驚き逃げるわけで、追いかけっこをする形となっていた。
「あーあ、悟天ちゃん行っちゃった」
ぽすんっ。
冷っとした丸い玉が首筋に当たって砕けた。
「ひぇっ」
「スキあり、」
トランクスが勝ち誇った顔でこちらを見てくる。やったな、こいつ。ソラは振り返って、1歩足を踏み出す。すると、ズコっと何かに躓き前屈みに転んでしまった。雪の下に氷の塊があったのだ。
「へっ、転んでやんの」
トランクスはその無防備な背中に向かって再度雪玉を投げた。
しかしソラは反撃してこない。
ずっとその場にうずくまったまま、ふるふると震えている。あ、れ......もしかして、泣いている?
トランクスは慌ててソラへと駆け寄った。
「おい、しっかりしろよ。さっきの痛くなかっただろ?俺だって本気で投げたわけでもないし、別にちょっとだけからかっただけじゃん。なぁ、起きろよ。ご、ごめん、やり過ぎた。俺、お前のこと泣かせたくねぇよ。もうやらないから、だから泣くなって。なぁ、ごめん...」
ソラへの想いがなんなのかトランクスはとっくに自覚していた。だから尚更嫌われたくない、そんな思いで必死になって話しかけた。すると、うずくまった少女がもぞもぞと動き出す。
「うわっ!!!」
トランクスは何が起きたか一瞬分からなかった。目の前の少女はにししと悪い顔で笑っている。
「反撃大成功!」
先程までうずくまっていた彼女は泣いていなかったのだ、彼に反撃するべく地面の雪を必死に集めていただけだったのだ。
そして思惑通りトランクスは思いっきり雪を被ってしまった。
「泣いてないのか......?」
「へ?」
「はあぁ......」
トランクスは顔に手を当てて溜息をつく。やられた、でも泣いてなかった、良かった。心の中で安堵していた。
「ねぇ、トランクス」
ソラがトランクスの肩に体重を預けてきた。それだけで彼の心臓はどきんと跳ねる。
「心配したの?」
「な、なわけないだろ!!」
「トランクスってばちょっと意地悪だけど、でもそれで私が泣くことはないからね。大丈夫だよ」
「っ、」
心臓がまた飛び跳ねた。彼は耳まで真っ赤であった。
適わない。
いつだってそうだ。
自分がどきどきさせられるばかりで。
つい意地悪をしてしまう。
本当は優しくしたいのに。
早くこいつより大きくなりたい。
今はまだ身長も歳も負けてるけど。
いつかは......。
「2人でくっついて何してるのー?」
いい感じだったのに。いつのまにか帰ってきていた悟天の言葉によって2人はまた離れてしまう。
「ううん、なんでもないよ。それより悟天ちゃん、うさぎはー?」
「お家に帰っちゃった、でもね、仲良くなってね、触らせてくれたんだよ」
「そっかぁ、良かったね!」
こうやってすぐに動物達と仲良くなれる所は悟天の長所だと思うし、なにより悟飯にそっくりだ。
その後3人で本気の雪合戦をした。
奇数だったが途中途中でチームを変えて、誰かだけがひとりぼっちのチームにならないように工夫して遊ぶ。雪玉に人間レベルでは無い加速がつくと、かなりの狂玉となる。彼等の遊びには彼等しかついていけないものだった。
「ふぅーっ、疲れたぁ」
「トランクス君ソラお姉ちゃんにはちょっと手加減して、僕にだけ本気で投げてくるんだ、ずるいよぉ」
「そんな事する訳ないなろ、多分......」
3人はふかふかの雪の上で寝転がっていた。
「そろそろ、帰るか」
「そうだね」
「ソラ?」
返事がない。
横を見ると彼女は疲れ果てたのか、いつの間にかすやすやと眠っていた。
「ソラお姉ちゃん、寝ちゃった。ねぇねぇ、起きてよ、そろそろ帰るよー!」
「いいよ、悟天。起こさなくて」
トランクスは彼女を抱えた。
「トランクス君、それやりたかっただけでしょ」
じとりと悟天が顔を覗いてきた。
「別に......」
そうして2人は雪山に別れを告げる。
最初につくった雪だるまが笑っているように見えた。
「楽しかったね、」
「あぁ、そうだな」
「また来年も来ようね、3人で」
「あぁ」
「約束だよ、ぜーったいだよ?」
「分かってるよ、3人でまた来よう」
チビたちが約束をしている時にはソラはもう目が覚めていた。でも、彼の腕の中が気持ち良くて、あと少しだけ寝たふりを続けることにする。
来年も一緒にいようね、約束だよ。
冬真っ盛り。辺り一面は銀世界だ。
ソラは冷たく澄んだ空気を全身で浴びる。そして、思いっきり叫んだ。
「ゆーきーぃ!!!」
ゆーきーぃぃぃぃぃぃ
遠くの山に反響して自分の声が聞こえてくる。結構楽しい、かも。
「お前、何してんだ......」
「え?やまびこ」
「あはは、ソラお姉ちゃんおもしろーい!」
パチパチと悟天が手を鳴らして笑っていた。トランクスはというと、かなり呆れているように見える。
トランクス、悟天、ソラの3人は雪山に遊びに来ていた。今年の冬は積雪量が少ないため、満足に雪で遊ぶ事が出来なかったのである。3人はそれぞれ、カプセルコーポのマークが着いたスノーウエア、各自持ってきた帽子、手袋を着用し防寒対策はばっちりだ。
「雪がいっぱい、大きなアイスクリームみたい!」
「これなら、いくら遊んでも無くならないね。トランクス君、ソラお姉ちゃん!!」
「まぁ、そうだな」
「僕ね、大きい雪だるま作りたい!」
「あっ、それ私もやりたい!!」
悟天がやりたい事を提案すると、ソラが案の定のってきた。
「雪だるまとか子供かよ、」
「トランクス君だって子供だよう!!」
「そうだ、そうだー!!」
「俺はお前達より大人なんだよ」
最近のトランクスは子供扱いされる事が嫌らしい。思春期なのだろうか。
「私より年下の癖に」
ソラはボソッと呟いた。すると、トランクスはムッとした顔になる。
「そんな事言ってられるのも今だけだぞ」
「それどういう意味?」
「教えなーい」
ソラは問い詰めようとしたが、チラッと横を見ると悟天がもう雪玉を作り始めており、急いで自分も雪玉作りに取り掛かった。
トランクスは、2人が雪玉を作っている間に顔のパーツになりそうな石や枝を探しに行く。何やかんやあっても、結局3人で雪だるまをつくるのであった。
「これ、いつまで転がせばいいんだろ?」
夢中になって転がしていたソラであったが、ふと自分の手元を見てみると、とてつもなく大きな雪玉へ変身していた。
「悟天ちゃんー、そろそろ良さそうだよ!」
振り返り、悟天の雪玉を見るとぎょっとした。自分の雪玉より更に大きかったのだ。
「んー?あ、そうだね、ソラお姉ちゃんのこっちまで持ってきて!!」
悟天に言われたとおりもう1つの大きな雪玉へと向かっていく。悟天が作ったそれの方が大きいので必然的にソラのは上になる。
崩さないように、慎重に___。
ソラは雪玉を上に乗せた。
「うん、いい感じ。あとはトランクスが持ってくる顔のパーツを付けたら完成だよ悟天ちゃん!」
「たのしみだねー! あ、トランクス君遅いよ。あとは顔だけだよ?」
トランクスはいい感じに丸くてつやつやした石と、太くてしっかりした枝を持ってきたのだが......。
「お前ら馬鹿じゃねぇの!」
来てそうそうトランクスは2人を怒鳴る。
「な、なんでよ!ちゃんと雪だるまの形に出来てるもん」
ソラはトランクスに反論した。
「あのなぁ」
トランクスは目の前の完成間近の雪だるまを見る。全長およそ10メートルのそれ。自分の手に収まる大きさの石と枝。明らかにバランスがおかしい。これでは顔を付けても遠目からでは見えないではないか。雪玉が大き過ぎたのだ。
ソラと悟天はその事に気付くと、へへっと苦笑いをして誤魔化す。
まぁ、こんな時もある。
トランクスは拾って来たそれを顔の位置へと取付ける。これで雪だるまは完成した。
スキーをしにこの山にきた何も知らない人々がこの雪だるまを見たら......
きっと腰を抜かしてしまうだろう。
ふと、悟天は少し離れた所に何かを発見した。
「うさぎさんだ!」
ぱあっと目を輝かせると悟天は一目散に兎の元へかけていく。勿論、そんな悟天に兎は驚き逃げるわけで、追いかけっこをする形となっていた。
「あーあ、悟天ちゃん行っちゃった」
ぽすんっ。
冷っとした丸い玉が首筋に当たって砕けた。
「ひぇっ」
「スキあり、」
トランクスが勝ち誇った顔でこちらを見てくる。やったな、こいつ。ソラは振り返って、1歩足を踏み出す。すると、ズコっと何かに躓き前屈みに転んでしまった。雪の下に氷の塊があったのだ。
「へっ、転んでやんの」
トランクスはその無防備な背中に向かって再度雪玉を投げた。
しかしソラは反撃してこない。
ずっとその場にうずくまったまま、ふるふると震えている。あ、れ......もしかして、泣いている?
トランクスは慌ててソラへと駆け寄った。
「おい、しっかりしろよ。さっきの痛くなかっただろ?俺だって本気で投げたわけでもないし、別にちょっとだけからかっただけじゃん。なぁ、起きろよ。ご、ごめん、やり過ぎた。俺、お前のこと泣かせたくねぇよ。もうやらないから、だから泣くなって。なぁ、ごめん...」
ソラへの想いがなんなのかトランクスはとっくに自覚していた。だから尚更嫌われたくない、そんな思いで必死になって話しかけた。すると、うずくまった少女がもぞもぞと動き出す。
「うわっ!!!」
トランクスは何が起きたか一瞬分からなかった。目の前の少女はにししと悪い顔で笑っている。
「反撃大成功!」
先程までうずくまっていた彼女は泣いていなかったのだ、彼に反撃するべく地面の雪を必死に集めていただけだったのだ。
そして思惑通りトランクスは思いっきり雪を被ってしまった。
「泣いてないのか......?」
「へ?」
「はあぁ......」
トランクスは顔に手を当てて溜息をつく。やられた、でも泣いてなかった、良かった。心の中で安堵していた。
「ねぇ、トランクス」
ソラがトランクスの肩に体重を預けてきた。それだけで彼の心臓はどきんと跳ねる。
「心配したの?」
「な、なわけないだろ!!」
「トランクスってばちょっと意地悪だけど、でもそれで私が泣くことはないからね。大丈夫だよ」
「っ、」
心臓がまた飛び跳ねた。彼は耳まで真っ赤であった。
適わない。
いつだってそうだ。
自分がどきどきさせられるばかりで。
つい意地悪をしてしまう。
本当は優しくしたいのに。
早くこいつより大きくなりたい。
今はまだ身長も歳も負けてるけど。
いつかは......。
「2人でくっついて何してるのー?」
いい感じだったのに。いつのまにか帰ってきていた悟天の言葉によって2人はまた離れてしまう。
「ううん、なんでもないよ。それより悟天ちゃん、うさぎはー?」
「お家に帰っちゃった、でもね、仲良くなってね、触らせてくれたんだよ」
「そっかぁ、良かったね!」
こうやってすぐに動物達と仲良くなれる所は悟天の長所だと思うし、なにより悟飯にそっくりだ。
その後3人で本気の雪合戦をした。
奇数だったが途中途中でチームを変えて、誰かだけがひとりぼっちのチームにならないように工夫して遊ぶ。雪玉に人間レベルでは無い加速がつくと、かなりの狂玉となる。彼等の遊びには彼等しかついていけないものだった。
「ふぅーっ、疲れたぁ」
「トランクス君ソラお姉ちゃんにはちょっと手加減して、僕にだけ本気で投げてくるんだ、ずるいよぉ」
「そんな事する訳ないなろ、多分......」
3人はふかふかの雪の上で寝転がっていた。
「そろそろ、帰るか」
「そうだね」
「ソラ?」
返事がない。
横を見ると彼女は疲れ果てたのか、いつの間にかすやすやと眠っていた。
「ソラお姉ちゃん、寝ちゃった。ねぇねぇ、起きてよ、そろそろ帰るよー!」
「いいよ、悟天。起こさなくて」
トランクスは彼女を抱えた。
「トランクス君、それやりたかっただけでしょ」
じとりと悟天が顔を覗いてきた。
「別に......」
そうして2人は雪山に別れを告げる。
最初につくった雪だるまが笑っているように見えた。
「楽しかったね、」
「あぁ、そうだな」
「また来年も来ようね、3人で」
「あぁ」
「約束だよ、ぜーったいだよ?」
「分かってるよ、3人でまた来よう」
チビたちが約束をしている時にはソラはもう目が覚めていた。でも、彼の腕の中が気持ち良くて、あと少しだけ寝たふりを続けることにする。
来年も一緒にいようね、約束だよ。