夢小説 短編
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もう少しだけ
「あっ、トランクス君」
「悟天......」
トランクスは名前を呼ばれて振り向くとそこには親友の姿があった。
「珍しいね、1人で街歩いてるなんて」
「まぁな」
最近外に出る際は車での移動だったり、秘書が付き添ったりする事が多く1人で街を歩いたのは久しぶりであった。
「悟天は誰かと待ち合わせか?」
「うん、これからデート」
親友の声音はいつもより浮かれている。
大人になった悟天は女遊びが激しかった。
彼女が出来ても瞬く間に振られ、また新しい彼女を作る繰り返しなのである。
「お前もそろそろ落ち着けばいいのに」
「僕はまだいいの、ちぇっ、トランクス君にはソラ姉ちゃんがいるからね、僕みたいな奴の事は分からないだろうね」
悟天は痛いところを突かれたようで、僻むようにトランクスに言った。
「お前なぁ程々に......」
悟天さんっ!!
トランクスの言葉がどこからが聞こえてきた甲高く甘ったるい声によって掻き消されてしまった。
「あっ、モニカちゃん♡」
どうやら新しい彼女が来たようだ。よし、邪魔者は退散するとするか。
「お前程々にしとけよ、」
「あー聞こえない、聞こえない」
この女ったらしの親友は1度痛い目を見た方がいいと思う。神様どうか、あ、神様はデンデさんなんだった。デンデさん、悟天やつに1回痛い目見せた方がいいと思います。
トランクスは悟天達を背にまた歩き始めた。
彼らに無駄に構っているほど暇ではない。
自分にはそれより大切な用事がある。
先週、彼女から電話で頼み事をされたのだ。
「もしもし、トランクス?あっ、良かった。実はお願いがあってね、買い物に付き合って欲しいんだけど、来週忙しいかな.....?」
先月大事な取り引き相手との商談が終わり今月は余裕があった為、快くそれを引き受けた。というか、彼女の頼みならたとえ自分が忙しくてもそれを断るという選択は無い。
待ち合わせ場所はトランクスの目先にある、あの大きな街路樹の前。ソラの姿は見えなかった。少し早く来すぎたか、腕時計を確認すると丁度きっかり指定の時間だった。
彼女を待ってる時間は嫌いではない。むしろ、楽しみがどんどん膨らんでいく。最近は2人でどこかに出かけることはなかった。あぁ、ソラになんて声をかけよう。元気だったか?久しぶり?街中だけど抱きしめたら怒るかな?なんだか無限に考えられる気がする。
考え事をしているとふわっと視界を誰かに遮られた。
「だーれだ」
耳元で視界を塞いでる主は囁いた。その手からはほのかに石鹸の香りがする。トランクスは自分の視界を遮る手に自分の手を重ねた。
「目が見えなくても気でわかるよ、ソラ」
へへっ、と彼女特有の笑い声がしたと共に視界に光が戻ってくる、ひょこっと後ろからソラが顔を覗かせてきた。こいつ、こんなに可愛かったっけ?
「久しぶり、トランクス!」
「あぁ、久しぶり」
トランクスはソラの手首を掴むと自分の胸の中に彼女ごと引っ張り、ぎゅっと抱きしめた。
「わぷっ、ちょっとトランクス!!」
「へへ、いいじゃん、それとも怒った?」
「......怒れない」
「そっかぁ、なら良かった」
ソラの返事に気を良くしたトランクスはぎゅうぎゅうと締め付けてくる。しかし、今の彼らは通行人の的だった。
「でもこのままじゃ歩けないから嫌」
「だよな、他の目もあるし」
トランクスは抱きしめる腕をゆるゆると下げ、自分より身長の低いソラの顔を覗き込んだ。
「で、買い物って何を買う予定なんだ?」
「ビーデルさんへの誕生日プレゼント」
「へぇ、ビーデルさんってこの時期なんだ」
「最近悟飯ちゃんから聞いたんだ。ビーデルさんにはいつも良くしてもらってるからさ、何かプレゼントしたいんだけど、どういうのがいいかよく分からなくて.......」
「それで俺の出番ってわけか」
「うん。だってトランクス、悔しいけど私よりセンスいいもん」
「ソラからなら何だって喜ぶと思うけど......」
「そんなの分からないよ」
「うーん」
「ほら!行くよ!!」
ソラはトランクスの腕をかなり強く引っ張る。そこら辺にいる女の子より何百倍も強いその力にトランクスは躓きそうになったが、何とか体勢を整えて一緒に歩き始めた。
それから二人は何軒もの雑貨屋を見て回った。可愛らしい置物、ぬいぐるみ、鏡、化粧品、アクセサリー......。しかし、中々これというものが見つからず、一旦昼食を取る事にした。トランクスとソラはあまり混んでないカフェへと入った。天気が良く、折角なのでテラス席を選ぶ。
「ひぇんひぇんひまひゃひゃいな(全然決まらないな)」
トランクスはローストビーフとレタスが入ったサンドを口にくわえていたので、上手く喋れていなかった。
「そうだけど、せめて飲み込んでから喋りなよ」
ソラがそう言うとトランクスは口の中のものをしっかりと飲み込んでから口を開けた。
「んあ」
「えらい、えらい」
「ってガキか俺は」
「ガキじゃないの?」
「違いますー」
「ガキでも好きだよ」
「っ、お前なぁ」
穏やかな空気が流れる。
「でも、このままだと決まらないよね」
「そうだなぁ、何かひとつに絞ってみるのは?」
「ひとつに?」
「そう、その方が決まりやすいんじゃね?」
「それもそれで難しいよ......」
そうこう話しているうちに2人は完食していた。ちなみにソラはオムライス大盛りを2人前食べたらしく、サイヤ人の胃袋は計り知れない。
お腹がいっぱいになった所で先程とは違うビルに入りまた雑貨屋巡りをする。
「あ」
「ん?いいのあったか?」
「ふふ、見てこれ」
トランクスはソラが手に取っていたものをまじまじと見つめた。これは......
「?? あっ、俺お前の言いたいこと分かった」
ソラの手の中にはマグカップが2つ。
深緑色にオレンジと黒のラインが入ったものと、淡い緑色にピンクと白が入ったものだった。
そう、これは
「えっと、ぐれーとさいやまん?だっけか?」
「そうそう、それ」
サタンシティに突然現れた、
街の平和の為に悪と闘う正義のヒーローとそのパートナー!!
という設定で10年くらい前に悟飯とビーデルが着ていたコスチュームに配色が似ているコップだった。
「これにする、セットで買う」
「即決だな」
「これしかない」
「まぁ、俺もそれいいと思う」
そうしてトランクスとソラはレジへと向かう。本当はソラ1人で買う予定だったが、トランクスが2人からにしようと提案し、割り勘で買うことになった。
「ふぅ、良い買い物したね」
「そうだな、悟飯さんとビーデルさん喜んでくれるといいな」
「うん!」
夕暮れの中微笑んでいる彼女の横顔はとても綺麗だった。オレンジ色に染まった街でトランクスとソラは手を繋いで歩く。2人の伸びる影はぴったりとくっついている。
「トランクス、今日はありがとうね」
「いや、俺の方こそ」
「私何もしてないよ?」
「俺の事頼ってくれて嬉しかったよ」
「そっか、なら良かった」
トランクスは繋いでいた手をトンと離し指を絡めて繋ぎ直した。
「まだ帰したくないな......」
彼がソラの手をぎゅっと握る。
「んっ......私も、帰りたくない、な」
ソラは頬を赤くし、うつむく。
そんな彼女をトランクスは愛おしく思った。
彼女にこんな顔をさせているのは自分なのだ。トランクスは胸が高鳴った。
言葉は途切れ沈黙の風が吹き抜けてゆく。
先に口を開いたのはトランクスの方だった。
「あの、さ。キスしていい?」
「うん」
彼女の返事は街のざわめきに掻き消されるくらい小さなものだっが、トランクスの耳にはしっかりと聞こえていた。
トランクスはグイッと曲がり、ビルとビルの隙間へと入った。ここなら...........。
「好きだよ」
トランクスはソラの顔をそっと撫で、引き寄せられるように深く口付ける。
とろけるようなキスだった。自分がその熱で溶けていつかトランクスに食べられてしまうのではないか。ソラはふわふわと思考を巡らせる。
私も、大好き、だよ
「うん、知ってる」
もっとあなたを感じていたい。
願わくは永遠に。
後日ソラがビーデルに渡したマグカップは夫婦仲良く使っているということを、パンちゃんがそっとおしえてくれた。
「あっ、トランクス君」
「悟天......」
トランクスは名前を呼ばれて振り向くとそこには親友の姿があった。
「珍しいね、1人で街歩いてるなんて」
「まぁな」
最近外に出る際は車での移動だったり、秘書が付き添ったりする事が多く1人で街を歩いたのは久しぶりであった。
「悟天は誰かと待ち合わせか?」
「うん、これからデート」
親友の声音はいつもより浮かれている。
大人になった悟天は女遊びが激しかった。
彼女が出来ても瞬く間に振られ、また新しい彼女を作る繰り返しなのである。
「お前もそろそろ落ち着けばいいのに」
「僕はまだいいの、ちぇっ、トランクス君にはソラ姉ちゃんがいるからね、僕みたいな奴の事は分からないだろうね」
悟天は痛いところを突かれたようで、僻むようにトランクスに言った。
「お前なぁ程々に......」
悟天さんっ!!
トランクスの言葉がどこからが聞こえてきた甲高く甘ったるい声によって掻き消されてしまった。
「あっ、モニカちゃん♡」
どうやら新しい彼女が来たようだ。よし、邪魔者は退散するとするか。
「お前程々にしとけよ、」
「あー聞こえない、聞こえない」
この女ったらしの親友は1度痛い目を見た方がいいと思う。神様どうか、あ、神様はデンデさんなんだった。デンデさん、悟天やつに1回痛い目見せた方がいいと思います。
トランクスは悟天達を背にまた歩き始めた。
彼らに無駄に構っているほど暇ではない。
自分にはそれより大切な用事がある。
先週、彼女から電話で頼み事をされたのだ。
「もしもし、トランクス?あっ、良かった。実はお願いがあってね、買い物に付き合って欲しいんだけど、来週忙しいかな.....?」
先月大事な取り引き相手との商談が終わり今月は余裕があった為、快くそれを引き受けた。というか、彼女の頼みならたとえ自分が忙しくてもそれを断るという選択は無い。
待ち合わせ場所はトランクスの目先にある、あの大きな街路樹の前。ソラの姿は見えなかった。少し早く来すぎたか、腕時計を確認すると丁度きっかり指定の時間だった。
彼女を待ってる時間は嫌いではない。むしろ、楽しみがどんどん膨らんでいく。最近は2人でどこかに出かけることはなかった。あぁ、ソラになんて声をかけよう。元気だったか?久しぶり?街中だけど抱きしめたら怒るかな?なんだか無限に考えられる気がする。
考え事をしているとふわっと視界を誰かに遮られた。
「だーれだ」
耳元で視界を塞いでる主は囁いた。その手からはほのかに石鹸の香りがする。トランクスは自分の視界を遮る手に自分の手を重ねた。
「目が見えなくても気でわかるよ、ソラ」
へへっ、と彼女特有の笑い声がしたと共に視界に光が戻ってくる、ひょこっと後ろからソラが顔を覗かせてきた。こいつ、こんなに可愛かったっけ?
「久しぶり、トランクス!」
「あぁ、久しぶり」
トランクスはソラの手首を掴むと自分の胸の中に彼女ごと引っ張り、ぎゅっと抱きしめた。
「わぷっ、ちょっとトランクス!!」
「へへ、いいじゃん、それとも怒った?」
「......怒れない」
「そっかぁ、なら良かった」
ソラの返事に気を良くしたトランクスはぎゅうぎゅうと締め付けてくる。しかし、今の彼らは通行人の的だった。
「でもこのままじゃ歩けないから嫌」
「だよな、他の目もあるし」
トランクスは抱きしめる腕をゆるゆると下げ、自分より身長の低いソラの顔を覗き込んだ。
「で、買い物って何を買う予定なんだ?」
「ビーデルさんへの誕生日プレゼント」
「へぇ、ビーデルさんってこの時期なんだ」
「最近悟飯ちゃんから聞いたんだ。ビーデルさんにはいつも良くしてもらってるからさ、何かプレゼントしたいんだけど、どういうのがいいかよく分からなくて.......」
「それで俺の出番ってわけか」
「うん。だってトランクス、悔しいけど私よりセンスいいもん」
「ソラからなら何だって喜ぶと思うけど......」
「そんなの分からないよ」
「うーん」
「ほら!行くよ!!」
ソラはトランクスの腕をかなり強く引っ張る。そこら辺にいる女の子より何百倍も強いその力にトランクスは躓きそうになったが、何とか体勢を整えて一緒に歩き始めた。
それから二人は何軒もの雑貨屋を見て回った。可愛らしい置物、ぬいぐるみ、鏡、化粧品、アクセサリー......。しかし、中々これというものが見つからず、一旦昼食を取る事にした。トランクスとソラはあまり混んでないカフェへと入った。天気が良く、折角なのでテラス席を選ぶ。
「ひぇんひぇんひまひゃひゃいな(全然決まらないな)」
トランクスはローストビーフとレタスが入ったサンドを口にくわえていたので、上手く喋れていなかった。
「そうだけど、せめて飲み込んでから喋りなよ」
ソラがそう言うとトランクスは口の中のものをしっかりと飲み込んでから口を開けた。
「んあ」
「えらい、えらい」
「ってガキか俺は」
「ガキじゃないの?」
「違いますー」
「ガキでも好きだよ」
「っ、お前なぁ」
穏やかな空気が流れる。
「でも、このままだと決まらないよね」
「そうだなぁ、何かひとつに絞ってみるのは?」
「ひとつに?」
「そう、その方が決まりやすいんじゃね?」
「それもそれで難しいよ......」
そうこう話しているうちに2人は完食していた。ちなみにソラはオムライス大盛りを2人前食べたらしく、サイヤ人の胃袋は計り知れない。
お腹がいっぱいになった所で先程とは違うビルに入りまた雑貨屋巡りをする。
「あ」
「ん?いいのあったか?」
「ふふ、見てこれ」
トランクスはソラが手に取っていたものをまじまじと見つめた。これは......
「?? あっ、俺お前の言いたいこと分かった」
ソラの手の中にはマグカップが2つ。
深緑色にオレンジと黒のラインが入ったものと、淡い緑色にピンクと白が入ったものだった。
そう、これは
「えっと、ぐれーとさいやまん?だっけか?」
「そうそう、それ」
サタンシティに突然現れた、
街の平和の為に悪と闘う正義のヒーローとそのパートナー!!
という設定で10年くらい前に悟飯とビーデルが着ていたコスチュームに配色が似ているコップだった。
「これにする、セットで買う」
「即決だな」
「これしかない」
「まぁ、俺もそれいいと思う」
そうしてトランクスとソラはレジへと向かう。本当はソラ1人で買う予定だったが、トランクスが2人からにしようと提案し、割り勘で買うことになった。
「ふぅ、良い買い物したね」
「そうだな、悟飯さんとビーデルさん喜んでくれるといいな」
「うん!」
夕暮れの中微笑んでいる彼女の横顔はとても綺麗だった。オレンジ色に染まった街でトランクスとソラは手を繋いで歩く。2人の伸びる影はぴったりとくっついている。
「トランクス、今日はありがとうね」
「いや、俺の方こそ」
「私何もしてないよ?」
「俺の事頼ってくれて嬉しかったよ」
「そっか、なら良かった」
トランクスは繋いでいた手をトンと離し指を絡めて繋ぎ直した。
「まだ帰したくないな......」
彼がソラの手をぎゅっと握る。
「んっ......私も、帰りたくない、な」
ソラは頬を赤くし、うつむく。
そんな彼女をトランクスは愛おしく思った。
彼女にこんな顔をさせているのは自分なのだ。トランクスは胸が高鳴った。
言葉は途切れ沈黙の風が吹き抜けてゆく。
先に口を開いたのはトランクスの方だった。
「あの、さ。キスしていい?」
「うん」
彼女の返事は街のざわめきに掻き消されるくらい小さなものだっが、トランクスの耳にはしっかりと聞こえていた。
トランクスはグイッと曲がり、ビルとビルの隙間へと入った。ここなら...........。
「好きだよ」
トランクスはソラの顔をそっと撫で、引き寄せられるように深く口付ける。
とろけるようなキスだった。自分がその熱で溶けていつかトランクスに食べられてしまうのではないか。ソラはふわふわと思考を巡らせる。
私も、大好き、だよ
「うん、知ってる」
もっとあなたを感じていたい。
願わくは永遠に。
後日ソラがビーデルに渡したマグカップは夫婦仲良く使っているということを、パンちゃんがそっとおしえてくれた。