人造人間,セル編
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もしもあの時
俺が貴方より強かったら
幸福な未来があったかもしれない
エイジ780
「悟飯ちゃ〜ん、トランクス~!! お弁当貰ってきたよ!」
「おっ、サンキュー」
悟飯は下から聞こえてきた声軽く返事をすると空中での修行を一旦辞め、地上へと降りてくる。先程まで厳しくしごかれていたトランクスも息を整えながら降りてきた。
「はい、悟飯ちゃんの分」
「おう」
「で、こっちがトランクスの分」
「ありがとうございます」
「そしてこれは私の分!」
一際元気な少女の声が響く。
トランクスは思わず微笑した。
3人で元気よくいただきますをし、少女が届けに来た冷たいお弁当を食べ始める。
ソラは箸を割ると手付かずの弁当の中からハンバーグを取り出し、トランクスの弁当の中へと器用に入れた。
「えっ、そんな、悪いですよ。ソラさんだってお腹空いてますよね?」
「んー私は大丈夫。トランクスはさっきまで修行頑張ってたでしょ?だからいいの。あ、悟飯ちゃんにはナイショだよ?」
そう言うとソラは人差し指を唇に当て「しーっ」というジェスチャーをする。小悪魔的な表情と少し開いた唇から見える白い歯にトランクスは思わずドキッとさせられた。
「内緒話が聞こえる位近くに本人がいるんだけどな」
「へへっ、ごめんね悟飯ちゃん」
分かっていたようにソラは笑った。
「今日も街に異常は無かったよ」
「そうか、良かった」
悟飯はソラの報告に安堵する。
ここ数日の間、人造人間が破壊行為を行ったという連絡は無い。地球に住む生物達は一時の平穏を味わっていた。
お弁当を食べ終わると悟飯は用事があると言って街の方へと飛んでいった。
「またあの女の子に会いに行ったのかな」
「たぶん......」
悟飯は週に一度それも決まった時間に特定の人物に会いに行っていた。
ビーデル
人造人間との戦い中、瓦礫に埋もれていた彼女を悟飯が助けたのが2人の出会いだった。それからというもの、悟飯とビーデルは週に一度会う関係へと進んでいたのであった。ソラ は1度恋人かと問いただした事があった。しかし悟飯はきっぱりと断ったのである。彼は真面目だ。世界の危機であるのに恋愛にうつつを抜かしているとでも思っているのであろうか。素直になればいいのに。貴方を責める人間なんていないのだから。ソラはそう思っていた。
「トランクスは気になる女の子とかいるの?」
「えっ、俺はそんな......」
トランクスは顔を赤くし俯いた。
「もしいるんだったら、その子の所に行ってもいいからね。無理に私と一緒にいようとか気を遣わなくても大丈夫だから」
「お、俺は、その、大丈夫です、無理なんて、してないです。」
「本当? なら良かった」
ソラは横になり仮眠の体制をとった。あと30分もすれば今度は3人での修行となる。人造人間に勝つ為に、少女もまた戦闘員として生きているのであった。
トランクスはソラの寝顔をちらっと覗いた。トランクスにとって彼女は原動力の大きな歯車だ。そう、トランクスは彼女を好いている。ずっと昔から。彼女に思いを馳せている。
5年。トランクスは自分と彼女の消して埋まることのない年齢差を自覚している。ソラは自分を弟の様に思っているかもしれない。それでも、どうしようもないほど彼女が好きで大切なのだ。だから、自分が大人になった時。そして彼女よりも強くなった時に、自分の思いを伝えようと心に決めている。
だから、まさかあんな事になるなんて思ってもみなかった。
久しぶりに人造人間が破壊活動を行っている情報が入った。すぐさま向かうと2人はまるでゲームをしているかの様にビルや、車、そして人にまでビームを撃っていた。
「やめろ!!」
悟飯を筆頭に3人で人造人間に襲いかかった。悟飯は17号、トランクスとソラは18号の相手をする。あれだけ過酷な修行をしたのにも関わらず、自分達の攻撃は相手のダメージを引き出せるものでは無かった。
ソラは18号との戦い中に自分達以外の一つの気を発見した。逃げ遅れた人間が瓦礫の後ろに隠れている。ここにいてはこの戦いに巻き込まれてしまう。そう思っていた瞬間。トランクスが弾いた18号の気弾がその人間がいる場所へと飛んでいった。まずい。
「ごめん、トランクス、少し離れる」
彼女の体は勝手に動いていた。
ソラは気弾に向かって飛ぶ。
「試合放棄かい? 妬けるねぇ」
「18号! お前は行かせないっ」
「ガキの癖に指図するんじゃないよ」
ソラは瓦礫の前まで行くと片手ではじき飛ばした。
「大丈夫ですか? ここは危険です、早く逃げ......っ」
あぁ、皆、ごめん
ソラは地面に倒れた。
後ろで戦っていたはずの18号は自分の元へと来ていた。トランクスは18号を止める事ができなかったのだ。
「バァイ」
「き、貴様ァァ!!」
悟飯は17号を蹴飛ばし、ソラが倒れている方へ向かって行く。そして指が砕ける勢いで力一杯18号の右肩を思い切り殴りかかった。
「うぐぁ......!!」
「18号っ!」
17号が叫ぶ。
「チッ、今日はここまでだ。戦士を1人殺せたんだ、ゲームは終わりだ」
17号は18号を抱えて飛び去っていった。
「ソラさん!!」
「ソラ!!」
トランクスと悟飯がソラに駆け寄る。
ソラの腹は18号の鋭い手によって通貫させられていた。どくどくと大量の血が地面を汚した。
「ごほっ......ごめ......殺られちゃ......た」
「待ってろ、直ぐ病棟にっ」
焦る悟飯を遮るようにソラは口を開いた。
「もう......無理かも.....意識が飛びそ......」
「そんなっ、諦めないで下さいよ、嫌だ、ソラさん、嫌だ嫌だ嫌だ、逝かないで!!」
トランクスは悲痛に叫んだ。
「トランクス......おいで....ね......笑っ...て....そう.....その.....顔が大好きなん.....だ....だから.....絶望に飲み込まれては.....だめ.....」
トランクスは上手く笑えなかった。笑おうとしても涙がそれを許さなかった。ぐちゃぐちゃな顔のままソラの手を握る。
「俺は.....貴女の事が....ずっと....だから生きてて欲しいんです」
ソラは幸せそうに笑った。
悟飯は2人の様子をただ見ていた。
「ごは...ちゃ....その子...と.....トラ....を.....よろし」
ソラは最後まで言えずに息を引き取った。
「うわああああああああああ!!!!!!」
「っ、ソラ」
悟飯は泣かなかった。
自分が今ここで冷静にならなければ。
ソラが倒れた先の瓦礫の裏を見ると驚愕した。瓦礫の裏では膝を抱えて泣いている女性。悟飯が恋焦がれて止まないビーデルだった。
自分が愛した女性を親友は命をかけて守った。泣いている弟子がその親友に思いを馳せていたことは知っていた。
この世界はあまりにも残酷すぎる。
数ヶ月後悟飯も人造人間の手によって命を落とす。トランクスは悲しみと怒りから超戦士となる。
あれから数年。
トランクスは立派な青年となった。
「トランクス! ついにタイムマシンが出来たの!!」
「本当ですか母さん!? 」
「えぇ! これでもう過去にいけるわ」
過去
戦士達が全員生きている時代。
孫悟空の心臓病、人造人間の事を伝えるという目的を果たす為。トランクスは旅立つ。
今から貴方達に会いに行きますよ。
孫悟空さん
悟飯さん
そして
ソラさん