人造人間,セル編
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さらさらと砂の落ちる音がどこからが聞こえてくる。光に目を刺されることも無い。風に頬を撫でられることも無い。真っ白で何も無い世界に2人だけ。
「いいか、お前の素早さは認めている」
「ほんとに!?」
「お前の手足は短い。だが、素早さがある分相手が身構える前に攻撃をする事が出来る。これは長所だ」
「はい!」
「しかし、だな...」
「はい!」
「お前はコントロールが出来ない、泣きたいくらいにな」
「はい?」
さっきまでの威勢の良い返事は消え、ちんぷんかんぷんな表情を浮かべる。そんな彼女の姿にピッコロはため息をついた。
「同じ場所目掛けて気を連続で撃ってみろ」
「いっぱい撃てばいいんだよね、よーし!」
キリッと目付きが変わり、何も無い空白の空間へと狙いを定める。
「はっ!」
ソラの両手から無数の気が放たれた。定めた場所目掛けて気が一直線に飛んでいく。というわけではなく、大きさ不揃いの気弾があちらこちらへと逃げていった。ちらりとピッコロを見ると、彼はまた、ため息をついていた。
「......へへ、失敗しちゃった」
彼女が恥ずかしそうに笑う。それを見てピッコロは更に呆れた表情浮かべた。
「なーにが失敗だ、お前は昔からそうなんだ。潜在能力がある癖に、肝心の気のコントロールはさっぱりだ。お前の攻撃は一か八かが多すぎる。遠距離でどう攻撃するつもりだ? 気を自由自在に扱えないのは死活問題だぞ。完全体のセルにそんな攻撃通用するものか 」
「しかつもんだい」
ピッコロは淡々と言い放つ、しかし肝心の張本人はというと、彼の口から溢れ出てくる小言に少々置いてけぼりにされていた。
「それが出来ない限り、俺と組み手は出来ないと思え」
「えぇ...これ難しい」
「阿呆」
ピッコロの手がソラの頭を荒々しく揺さぶる。うぇっと彼女の声が聞こえてきたが、お構い無しにがしがしと続けていた。
「出来ないと思うからいつまで経っても出来ないんだろ、やれ」
「あぅっ...わか...分かったよぅ!」
渋々返事をした所で、ピッコロはソラから離れていく。お互いの修行を邪魔しないように、見えなくなるくらい遠くへ。
さてどうしたものか、小さい頭で考えるも策は出てこない。やっぱり出来なかった、ではまたさっきのように頭を揺さぶられてしまうどころか、これからずっと修行をつけてくれなくなってしまうだろう。それは、何としてでも避けたい。ここに来た意味が無くなってしまう。
「なんで、言うこと、聞いてくれないのさ」
自分の両手をじっと見つめる。
気を撃つと反動に耐えきれずに動いてしまう手。
「?」
両手......両手だから......?
「あー、わかった!!」
ソラの嬉しそうな声は地平線の見えない白い世界に吸い込まれていった。
あれから何時間経っただろうか。ここに居ると体内時計は使い物にならない。ピッコロが戻るとそこに彼女の姿は見当たず。少し離れた建物の中から気を感じ、中へと向かって行った。
「あ、ピッコロさん」
「飯か」
「うん、ピッコロさんは、ご飯食べないの?」
「俺は水しか飲まん」
「あ、そういえば、そうだった」
数年前、カプセルコーポレーションに住んでいたナメック星人。彼らもピッコロと同様に水しか必要としていなかったことを思い出した。
「はい、お水」
「あぁ、すまんな」
ソラからコップを受け取ると少しずつ飲み始めた。
「ポポさん、ここに入る前にね、ごはんの作り方の、書いた紙くれたんだ。あんまり美味しくないけど、1人で初めて作れたよ」
「......」
「......」
「悟飯ちゃんは...」
「?」
「今の私より強かった?」
昔の悟飯と今のソラを比べて、だろうか。
ピッコロはすこし考えるフリをする。
「どっちもどっちだな」
「同じってこと?」
「大体はな、ただあいつはお前達と違って昔から戦いを好ましく思っていないんだ、お前の方が度胸はあるな」
お前達、が誰を示しているのか分かった気がした。悟空やベジータ、そして自分も戦う事や強くなる事が好きだ。戦ってると身体のずっとずっと奥から、わくわくした気持ちが不思議と溢れてくる。絶対に抗えない戦闘民族の血。しかし、彼は違う。勉強や読書が好きで、温厚で、優しくて、誰かが傷つくのを恐れている。それは、昔から何となく察していた。
「悟飯ちゃん、大人になったら、がくしゃさんになりたいって、言ってた」
「そうか」
ピッコロの声音が少しだけ優しいものになる。悟飯の話をする時の彼は、いつもよりずっと柔らかくなるのだ。
「でも未来では、悟飯ちゃん、がくしゃさんになれなかったんだよね」
「...」
「皆死んじゃって、おにい...トランクスはずっと1人で戦ってたんだよね」
「何が言いたい」
「私がもっと強くなって、皆の事守るよ」
「ハッ...ガキが言うようになったな」
「む、バカにしてる。気のコントロール、ちょっとは出来るようになったもん、ピッコロさん、びっくりするよ」
「そうか、ならばさっさと食って見せてみろ」
「うん!」
ピッコロは空になったコップを置くと外へと出ていった。1人残されたソラは皿の残りを必死にかきこむ。早く成果を見せて今より厳しい修行をしなければ。
スプーンと皿が擦れる音がする。
慌ただしく椅子を引く音がする。
ぱしゃりと皿が水を弾く音がする。
彼女の駆けていく音がした。
「いいか、お前の素早さは認めている」
「ほんとに!?」
「お前の手足は短い。だが、素早さがある分相手が身構える前に攻撃をする事が出来る。これは長所だ」
「はい!」
「しかし、だな...」
「はい!」
「お前はコントロールが出来ない、泣きたいくらいにな」
「はい?」
さっきまでの威勢の良い返事は消え、ちんぷんかんぷんな表情を浮かべる。そんな彼女の姿にピッコロはため息をついた。
「同じ場所目掛けて気を連続で撃ってみろ」
「いっぱい撃てばいいんだよね、よーし!」
キリッと目付きが変わり、何も無い空白の空間へと狙いを定める。
「はっ!」
ソラの両手から無数の気が放たれた。定めた場所目掛けて気が一直線に飛んでいく。というわけではなく、大きさ不揃いの気弾があちらこちらへと逃げていった。ちらりとピッコロを見ると、彼はまた、ため息をついていた。
「......へへ、失敗しちゃった」
彼女が恥ずかしそうに笑う。それを見てピッコロは更に呆れた表情浮かべた。
「なーにが失敗だ、お前は昔からそうなんだ。潜在能力がある癖に、肝心の気のコントロールはさっぱりだ。お前の攻撃は一か八かが多すぎる。遠距離でどう攻撃するつもりだ? 気を自由自在に扱えないのは死活問題だぞ。完全体のセルにそんな攻撃通用するものか 」
「しかつもんだい」
ピッコロは淡々と言い放つ、しかし肝心の張本人はというと、彼の口から溢れ出てくる小言に少々置いてけぼりにされていた。
「それが出来ない限り、俺と組み手は出来ないと思え」
「えぇ...これ難しい」
「阿呆」
ピッコロの手がソラの頭を荒々しく揺さぶる。うぇっと彼女の声が聞こえてきたが、お構い無しにがしがしと続けていた。
「出来ないと思うからいつまで経っても出来ないんだろ、やれ」
「あぅっ...わか...分かったよぅ!」
渋々返事をした所で、ピッコロはソラから離れていく。お互いの修行を邪魔しないように、見えなくなるくらい遠くへ。
さてどうしたものか、小さい頭で考えるも策は出てこない。やっぱり出来なかった、ではまたさっきのように頭を揺さぶられてしまうどころか、これからずっと修行をつけてくれなくなってしまうだろう。それは、何としてでも避けたい。ここに来た意味が無くなってしまう。
「なんで、言うこと、聞いてくれないのさ」
自分の両手をじっと見つめる。
気を撃つと反動に耐えきれずに動いてしまう手。
「?」
両手......両手だから......?
「あー、わかった!!」
ソラの嬉しそうな声は地平線の見えない白い世界に吸い込まれていった。
あれから何時間経っただろうか。ここに居ると体内時計は使い物にならない。ピッコロが戻るとそこに彼女の姿は見当たず。少し離れた建物の中から気を感じ、中へと向かって行った。
「あ、ピッコロさん」
「飯か」
「うん、ピッコロさんは、ご飯食べないの?」
「俺は水しか飲まん」
「あ、そういえば、そうだった」
数年前、カプセルコーポレーションに住んでいたナメック星人。彼らもピッコロと同様に水しか必要としていなかったことを思い出した。
「はい、お水」
「あぁ、すまんな」
ソラからコップを受け取ると少しずつ飲み始めた。
「ポポさん、ここに入る前にね、ごはんの作り方の、書いた紙くれたんだ。あんまり美味しくないけど、1人で初めて作れたよ」
「......」
「......」
「悟飯ちゃんは...」
「?」
「今の私より強かった?」
昔の悟飯と今のソラを比べて、だろうか。
ピッコロはすこし考えるフリをする。
「どっちもどっちだな」
「同じってこと?」
「大体はな、ただあいつはお前達と違って昔から戦いを好ましく思っていないんだ、お前の方が度胸はあるな」
お前達、が誰を示しているのか分かった気がした。悟空やベジータ、そして自分も戦う事や強くなる事が好きだ。戦ってると身体のずっとずっと奥から、わくわくした気持ちが不思議と溢れてくる。絶対に抗えない戦闘民族の血。しかし、彼は違う。勉強や読書が好きで、温厚で、優しくて、誰かが傷つくのを恐れている。それは、昔から何となく察していた。
「悟飯ちゃん、大人になったら、がくしゃさんになりたいって、言ってた」
「そうか」
ピッコロの声音が少しだけ優しいものになる。悟飯の話をする時の彼は、いつもよりずっと柔らかくなるのだ。
「でも未来では、悟飯ちゃん、がくしゃさんになれなかったんだよね」
「...」
「皆死んじゃって、おにい...トランクスはずっと1人で戦ってたんだよね」
「何が言いたい」
「私がもっと強くなって、皆の事守るよ」
「ハッ...ガキが言うようになったな」
「む、バカにしてる。気のコントロール、ちょっとは出来るようになったもん、ピッコロさん、びっくりするよ」
「そうか、ならばさっさと食って見せてみろ」
「うん!」
ピッコロは空になったコップを置くと外へと出ていった。1人残されたソラは皿の残りを必死にかきこむ。早く成果を見せて今より厳しい修行をしなければ。
スプーンと皿が擦れる音がする。
慌ただしく椅子を引く音がする。
ぱしゃりと皿が水を弾く音がする。
彼女の駆けていく音がした。