人造人間,セル編
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『うあぁぁぁぁ』
『1人やられたぞ』
『おい、誰かその餓鬼を止めろ!!』
『落ち着くんだ、皆お前の敵ではない!』
『アタシも一緒だから、ねぇ、大丈夫だから、頼むからこれ以上暴れるんじゃないよ!』
『ベジータ王!! ここは危険です、一旦安全な場所に』
『五月蝿い、黙れ。まさか、あの餓鬼は___』
「.......っ!?」
ばっと起き上がると見たことの無い場所に居た。
「ここ、どこ?」
真っ白い壁、ふかふかのベッド、よく分からない置物の数々、大きな時計、目の前には茶色い扉。
「気分はどうだ?」
「うわっ!」
声が聞こえてきた方を見ると、真っ黒の人物が立っていて思わず驚く。
「大丈夫そうだな」
「誰? ここどこなの? 皆は?」
「名前ミスター・ポポ、ここは神殿、神様住んでる場所。神様はもう居ないけど」
「神様.......あっ、ピッコロさんと、合体した人!」
神様という単語を聞いて、カメハウスでピッコロが話していた事を思い出す。彼女の発言に横にいた人物がこっくり頷いた。
「話が早くて助かる、それに全員無事だ、生きてる。お前、動けるか? 皆の場所に案内する」
「へっちゃら!」
「でもその前に、お前の服なんとかした方が良さそうだ」
もぞもぞと自分の服を見てみる。真っ白なワンピースは自分の血や土埃で汚れている、見ていて気味が悪い。また、下に履いているレギンスは所々破けていて、とてもじゃないがみすぼらしい。
「ミスター・ポポさん」
「ミスター・ポポで良い」
「年上の人には、さんを付けろって、悟飯ちゃん言ってた。じゃあ、ポポさんね。私、着替えの服、今持ってない」
「とっておきのがある」
そう言うとミスター・ポポはベッドの傍の引き出しからソラサイズの洋服のようなものを取り出した。
「どんな大きさの神様が現れてもいいようにって、神殿に服いっぱいある。これ、清めの糸でつくったから汚れにくい、しかも衝撃にも強い。これ上に着て、下に青いの履け。あとこれもか、」
ミスター・ポポから渡されたのはスリットが入った膝丈のトップス。足首がキュッとしてる青色のカンフーパンツ。そして、腰を縛る太い帯のようなもの。どれも手触りは滑らかで着心地の良いものだった。
「わぁ、この服軽い、しかも動きやすい!!ポポさん、ありがとう」
「よし、皆のところに案内する、着いてこい」
ベッドから起きあがり、ミスター・ポポの後ろをてくてく歩いていく。少し歩くとアーチ状の門が見える。それは金色にきらきら輝いていて幻想的だった。その門をくぐると自分が外に出たという事が分かった。頬に爽やかな風を感じる。いつもより太陽が近い、そして空気が澄んでいる。心地のいい場所だった。
「ほら、皆いる」
ミスターポポが指さす方向には悟空や悟飯、天津飯、そして死んでしまったと思っていたピッコロが別の扉の方を見て立っていた。見知った顔を見て落ち着いたのか、ソラの表情がふわっと和らぐ。その時、山吹色の人物がぱっと振り返り目が合った。
「おっ、目が覚めたみたいだな」
その声に他の皆が振り返り、一斉に視線が彼女に集まる。何だか少し気恥しい気分になった。
「ソラっ!!」
紫色の道着の彼が走ってこちらに向かってきた。
「悟飯ちゃん、久しぶ......」
言い終わる前にぎゅっと両手を掴まれる。彼の手は汗をかいているようで、すこし冷たかった。
「もう大丈夫なの?」
「うん」
彼女の返事に張り詰めていた表情がスっと緩む。しかし、緩んだと思ったら直ぐに先程のような表情に戻ってしまった。
「なんで、」
「?」
「僕が、ブルマさんと一緒に居てねって言ったのに、なんで、なんであの時、あの場に居たのさ! 彼奴らは君が頑張っても敵う相手じゃなかった!! 」
「だ、だって」
「だってじゃない、これは遊びじゃないんだ!どうして、あんな危険な事したんだ、あと少しで死ぬところだったんだよ! 」
悟飯の声が神殿に響いた。
「おい、悟飯。 そこまで言わなくていいだろ、生きて、無事に帰ってこれ...」
「悟飯ちゃんが、仲間はずれにするからじゃん!!」
悟空が宥めようと悟飯に話しかけようとしたとき、今までおろおろしながら叱られていたソラが声を荒らげた。
「なんで、私だけ、仲間はずれにするの? 悟飯ちゃん、私の事、いつも守ろうとする。でも、悟飯ちゃんの、後ろにいなくたって、自分でちゃんと歩けるよ。本当だよ。だってサイヤ人だもん。私、そんなに弱くない。悟飯ちゃんと同じだよ、戦えるよ、だから、私が弱いって、決めつけないでよ。私だって、皆と戦いたい、もっと、もっと強くなりたいよぅ......」
「ソラ......」
「はは......悟飯は心配し過ぎなんだよ、」
悟空が悟飯にそっと寄り添う。
「こいつは十分強ぇぞ。さっきだって、ソラがセルに二発お見舞したところ、悟飯だって見ただろ。悟飯より小せぇかもしんねぇけど、すげぇ度胸のあるヤツだと思うぞ」
「お父さん、でも」
「大丈夫」
ソラが先程とは違う、優しいトーンで悟飯に話しかける。悟飯を包み込むように、落ち着かせるように。
「大丈夫、悟飯ちゃん残して、死なないよ、約束するよ」
だって、
「1番の、お友達だからね」
「ソラ......」
ごめんね、、
「うん、私も、いっぱい怒っちゃって、ごめんなさい」
「ソラは謝らなくていいよ、責めたのは僕だから」
「でも、、私だって、大きな声出して、怒っちゃった」
「はは、これじゃあ終わらないや」
「うーん、それは嫌だよ」
これではキリがない、と2人は微笑み合う。
「随分短い喧嘩だったな」
今まで黙っていたピッコロが口を開いた。
「ピッコロさん、大丈夫なの?」
「まぁな」
「良かったぁ」
一段落着いたところで目の前の重厚な扉がゆっくり開いていく。中から出てきたのは、
「どうもすみません、お待たせしました」
「......フン」
「随分待ったぞ〜~!!」
そう、中から出てきたのはトランクスとベジータだった。ベジータは1年の時を経ても、何も変わっているように見えなかった。どうやら、純粋のサイヤ人は姿が不気味に変化しないようになっているらしい。これも、長く戦う為なのだろうか。
一方、トランクスの方は前より背が伸びた様に見える。髪は肩につく位に伸びてしまい、邪魔にならないようゴムで後ろに結っていた。どちらにせよ、2人とも服は所々破け、ボロボロになっているが。
ベジータは2ヶ月程でスーパーサイヤ人の限界を超えたようだったが、納得がいかず時間がかかってしまったらしい。それ故に彼は自信に満ち溢れていた。
「お兄ちゃん?」
「お久しぶりです、ソラさん」
トランクスはソラに声をかけられると、彼女と目線を合わせる為にその場に膝を立てた。
「立ったままで、良かったよ?」
「あっ、ごめんなさい、、」
「でも、目合わせてお話出来るから、嬉しい。お兄ちゃん、久しぶり!!」
「そう...ですね、あなたが元気そうで良かった」
トランクスが安堵の表情を見せると彼女の胸はきゅうぅと音を立てて鳴る。自分だけに聞こえてくるそれ。確か、前にもこんな事があったような。身体が震えるような不思議な感覚に少し怖くなる。
「...」
「ソラさん?」
彼女は黙ってしまった。やっぱり、目線をわざわざ合わせた事が気に障ったか。いや、返事の仕方を間違えたか。それとも、自分に何処かおかしいところがあるのだろうか。トランクスは不思議そうに彼女を見る。彼女の表情は少し戸惑っているようにも見えた。
「ちょっとー!! 皆ここにいる?」
一際甲高い声が神殿に響いた。
「ブルマさんの声だ!!」
「あ、待ってよ悟飯ちゃん」
ブルマの声の方向に悟飯とソラが走り出した。その後ろを、ぞろぞろと大人達がついて行く。ジェット機とブルマ、そして赤ん坊のトランクスが待ち構えているのが見えた。
「皆やっほー、って、えぇ! あんたトランクス!?」
ブルマは彼の変わり様に目をぱちくりさせた。一通り説明し終わった後、ブルマは皆に青の戦闘服を渡し始めた。元々ベジータが新しい戦闘服をブルマに頼んでいたのだが、戦闘服の防御力の高さに驚き、沢山作らせたのである。
ベジータとトランクス、そして悟空と悟飯はその戦闘服に着替え始めた。一見、硬そうに見えるそれは伸縮性に優れていて、どんな体型にでもしっかりフィットする構造になっている。
「ソラちゃんは着ないの?」
「ポポさんから、新しい服貰ったから、私は大丈夫かな」
「へぇ、何だか武道の達人って感じがするわね、なかなか似合ってるじゃない」
「たつじん?」
「とっても強い人って事よ」
「あぶぁ...ぅ.....」
「トランクスもそう言ってるわ」
「えへへ、嬉しい」
ブルマと話しているうちに男連中は着替えが終わったようでストレッチを始めていた。
そして、
「ムリはするな。やばくなったら逃げろ、いいな」
「はい、いろいろありがとうございます。悟空さんも、修行頑張って下さい」
「絶対死んじゃ駄目よ2人とも、分かったわね!」
悟空とブルマがトランクスに念を押す。
彼は片手を上げてそれに応えると、先に行ってしまったベジータを追いかけるように下界へと降りていった。
大丈夫だよね、だって沢山、修行したんだもん、セルなんかに、負けないよね、死んじゃ駄目だよ。
トランクス、、