人造人間,セル編
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ドゥオッッッ!!
彼等の勝負はピッコロの先手の一撃から始まった。17号の顔面に彼の右腕が思いきり入り、体制を崩してしまう。前戦った時とは比べ物にならない彼の気迫と力。予想していなかったそれに思わず後ずさりをするものの、攻撃は自分を逃がさないと言わんばかりに次々繰り出される。17号は避ける事しか出来なかった。しかし、それが仇となる。
「貴様にはもう逃げ道が無くなってしまった、くたばれ!」
「!!」
避けることに集中していた彼の周りには無数の気弾が待ち構えていた。ピッコロの口角が上がった瞬間、一斉に17号へと当たっていった。
ギュアオオオオ......
砂煙が舞い上がる。
「やった......の?」
島ひとつ無くなってしまうその攻撃を直に受けた17号は煙の中にいるため、どうなったか分からなかった。
ソラの耳に何かがパチパチと弾ける音が聞こえてきた。
「ちがう、17号、まだ生きてる」
「っ何!? 」
煙の中から現れたのは丸い防壁のようなものを張った17号の姿。彼の顔は笑っているように見える。
「バリヤーだと?」
「残念、惜しかったな! しかし、誰かさんが島を消してしまったからな、場所を移そう。自然は大切にな、」
「フン......」
同時刻
「ピッコロさんが誰かと戦ってる、それにソラの気も同じ場所から感じる...」
「相手の気が感じられねぇ、多分人造人間だ」
「どうしよう、2人とも殺されちゃう。そんなの嫌だよっ!」
地上の気を探っていた悟飯が神殿から身を乗り出す。
「行っても無駄だ悟飯!!」
隣にいた悟空がそれを止めるかのように大声を出した。
分かってるよお父さん、今の自分にはレベルが違いすぎる。でも、2人が死んでしまったら自分はきっと耐えられない。ピッコロさんは強いけど、相手は3人だ。一斉に戦うような事になったら、いくらパワーアップしたピッコロさんでも、きっと。それにソラだって.....。君が敵うような相手じゃない。なんで、なんでよ、なんでそこにいるの?
「大丈夫だ。きっと、もうすぐベジータ達がパワーアップしてでてくる! 」
「......はい」
「はぁ...はぁ...」
2人の戦いは互角だった。しかし、ピッコロは息を切らしている。17号の方は息を切らしていなかった。服は先程よりさらにボロボロになってしまっているが、余裕そうに見えた。
「パワーは互角でも、スナミナに差がついてきたようだな。オレのエネルギーは永遠に減らない」
「チッ、はぁ...はぁ...」
「ピッコロさん...」
ソラは白熱した2人の戦闘を食い入るように見ていた。ふと、自分の手元に目線を下げると知らずのうちにぎゅっと手を握り締めていたようで、じんわり汗をかいているのが分かった。
「盛り上がっているようだな、お嬢ちゃん」
誰も居ないはずの真後ろから声が聞こえてきた。初めて聞く声。ぞわりと悪寒がし、ばっと振り返るとそこにいたのは、
「っセル!!」
自分が声を出すよりも先にピッコロが反応した。ピッコロの叫びと共にソラは距離を取る。
「なんだ、あの変なやつは?」
「とうとう記念すべき日がやってきたのだ。この私が、お前達と合体し、完全体となる日がな!!」
この状況は非常にまずい。
セルはスタスタと17号の近くまで歩いていく。ピッコロは固まったままだった。
「逃げて、17号!!!」
ソラが先程いた場所から17号の傍へ移動してきた。
「はぁ、何を言っているんだお前」
「セルは、17号と18号を殺して、吸収するんだって。だから、早く逃げて!!」
「何!?」
「五月蝿いお嬢ちゃんだな」
セルの尻尾が17号の前に立ちはだかるように立っていた彼女の脇腹に猛スピードで向かってきた。
「おい、ばか!!」
「うわっ」
17号はソラの手を掴むと横に放り投げた。彼女を仕留めようとしていた尻尾は止まることを知らず、今度は17号目掛けて向かってくる。それを間一髪のところで彼は避けた。
「どういう事だ、オレをこの化け物が吸収する?」
何も知らない人造人間達にセルは自分の一部となり究極の戦士となることを説明した。話を聞いて反発しようとする17号に、今まで黙って見ていた16号が逃げろと叫ぶ。それが癇に障ったようで、聞く耳を持たずに17号はセルへと向かっていった。
「クソっ!!」
「駄目だよ、17号......!!」
それまで固まっていたピッコロと投げ飛ばされたソラも17号に加勢する。
「お前ら、オレの邪魔をするな!」
「お前達が吸収されてしまったら、地球は終わるんだぞ!!」
「17号、守る!」
しかし、彼等の力はセルに届かなかった。全力で立ち向かっていっても、セルはほとんどダメージを受けていないようだった。
「小賢しい」
セルがピッコロの首を掴む。
ピッコロは身動きが取れない、しかし、それでも叫ぶ。
「逃げろ17号!!!」
同時に彼の首から骨が折れる音がした。
「どうやら私は強くなってしまったようだ、必要以上に人間からエネルギーを頂いたからな」
全身の神経がピクピクと反応した後、彼は白目を向いて地に沈んでいく。
ピッコロの気が消えた。
「やりやがった......」
「あ...ぁ...ピッコロさん!!」
ソラの左目が歪んだ。
ぐにゃぐにゃとした波にのまれそうになる。しかし、その後ふつふつと湧いてきた感情によって阻止される。一瞬にして彼女の目の色が変わった。
ソラは一セルの目の前に飛び出すと身体を思い切り捻って蹴りを食らわせた。
「うぐぁっ」
蹴りが入ったセルの肩はメリメリと音を立てている。セルが反撃をする前に、今度は逆の肩に彼女は攻撃を入れる。セルはガードするために腕を出すものの、攻撃のスピードに間に合わず後ろの崖へと蹴り飛ばされた。
「うっ...へぇ、お嬢ちゃんにそんな力があったなんてねぇ。でも...」
もう一度攻撃しようとセルに立ち向かっていくが、同じ攻撃は二度と喰らわないと言わんばかりに奴の尻尾で地面に打ち付けられてしまった。
「調子に乗るんじゃない」
「うあぁ...!!」
ソラが倒れたことにより、セルの視野が広くなるなる。17号を視界に入れたセルがニヤリと笑った。ついに人造人間とセルの戦闘が始まったのだ。
(17号、18号逃げて......)
彼女の声は届かない。
セルの力は圧倒的なものだった。端で黙って見ていた16号も加勢したものの、全く太刀打ち出来なかった。
そして恐れていた事がついに訪れたのだ。
「ふっふっふ......スピードもパワーも随分上がったようだ。さぁ、今度はお前の番だ。共に完全体を造り上げよう」
セルは17号を吸収した。
ソラはそこで視界がシャットアウトし始める。真っ白になっていく世界で悟空の声が聞こえた気がした。