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星を繋ぐ

 彼が自室に戻ったことを確認してから、僕は始めることにした。
 老いた彼のからだを手術に乗せる。
 そしてそのまま左手を差し込んで中を探った。ぐちぐちと音をさせるそれは、彼だったというだけの器ではない。彼は知らないけれど、僕としてはここからが本番であった。
 ぐちぐちと中を探っていると、ようやく指先に硬いものが当たった。
 それをしっかりと掴んで引き出した。
 生臭い中から血にまみれたそれは、本来のそれよりはひと回りどころか、ふた回りもさん回りも小さいものであった。しかしながら、これもまたちゃんとそれなりの役割を果たしてくれる。
 取り出したこれは小さな小さな”落とし子”のような力を宿している。
 彼が抜けた後の器からこれを取り出せることに気がついたときは、今までで一番大きな発見だと思った。本物には遠く及ばないけれど、それでもあの流星群のときのものしかないと思われていた”落とし子”が、このような形で得られるのだから。
 最初は興味本位で空っぽになったそれの中身を確認するだけのつもりであった。それがまさかこのような副産物を、いやもしかしたらこれがメインなのかもしれない、得られるとは想像もしていなかった。
 ”落とし子”についてはまだ謎が多いし、この副産物も貴重なものではあったが、これによって出来ることが増えたのは喜ばしい限りであった。
 だからこそ、彼には今後とも”支援”を惜しむことはできない。
 罪悪感、後ろめたさ、義理でもなんでも利用して、僕は彼がここから逃れられないよう”支援”していくのだ。
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