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そして熊はゆく。

 まだ一歳にも満たない女の子の遺体が見つかったのは、新緑の柔らかな光が水面にゆれる川の底だった。

 父親と思われる男性は浮気相手と二人、ホテルで刺殺された状態で発見された。

 二人を殺したのも、我が子を川底に沈めたのも”私”だと、すべてベビーベッドの上に置かれていた手紙に書かれていたけれど、真相はもう明らかにはならない。


 何故なら、その手紙を書いた張本人である女の子の母親は、数年後、女の子の遺体が見つかった川のある山中で遺体で発見されたからだ。
 大量の睡眠薬の瓶が周囲に転がっていたことと、あの手紙から警察は自殺ではないかとみて捜査をしているらしい。
 彼女の腕には、片目が取れてぼろぼろのウサギのぬいぐるみがあったとだけ、ぽつりと報道されてからは、マスコミもちっとも取り上げなくなってしまった。
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