星と命と限りあるもの
私の仕事は日雇いの派遣ばかりであった。
やりたいこともなければ、やりたくないことも特になかった。だから日雇いという不安定な仕事であったとしても、それ自体に不安や不便さを感じることはなかった。
それ以上に人間関係の構築というのがひどく面倒で、その日限りというのを好んだから。日雇いの仕事を選んだ理由なんて、ただそれだけであった。
今日はゴルフ場で、ひたすら出店の手伝いをしていた。作るということはしなかったけれど、お客さんの対応は任されていた。
注文を受け付け、お代を受け取り商品を提供する。その正確さとスピードさえあれば誰がやっても良い仕事で、誰がやっても同じで、私から購入したということなんてお客さんの誰だった気にも留めないだろう。
そうやって希薄な存在の中で生きることを選択しているのだ。
しかしながら日雇いとはいえ、同じ派遣会社を利用していればいつも見る顔ぶれというのも少なくはなかった。
この日もよく見る青年がいた。
彼はとても礼儀正しくて、幼く見える私にも最初から敬語を使って、年上だとわかればなお変わらず敬語を使ったのだ。
一言で言えば”いい人”で、もう少し付け加えればきっと”いい人”止まりなのだろうと感じた。
彼は決して私ほどのスピードで仕事をする人ではなかったが、丁寧な仕事ぶりと人当たりの良さは絶大であった。なぜこのような人が日雇い派遣にいるのだろうと私でさえ不思議に思うほどであった。
天候が芳しくないのは、前日の夜の天気予報から知ってはいたけれど、強く吹き始めた風に露店のテントが揺さぶられ始めたのがわかった。
空が曇天に覆われて、素人目にみても雨が降ると予感させた。
雷がごろごろと呻りだした。ゴルフの大会は一時中断され、派遣の人間は何かあってはいけないからと、より大きなテントへと避難するように指示をされた。
避難している間の時給はどうなるのだろうかとか考えながらも、私もその青年も指示されるがままに避難する他なかった。
大きなテントでも揺さぶられているのがわかるほどの強風で、ここでは避難にはならないのではないかというのが正直なところであった。
それでもここは飲食・休憩スペースも兼ねているところで、私たち以外にも普通にお客さんや他所のスタッフたちが大勢いたのだ。
雷が本格的に光だした。
あの日の流星群より威圧的な光だった。
やりたいこともなければ、やりたくないことも特になかった。だから日雇いという不安定な仕事であったとしても、それ自体に不安や不便さを感じることはなかった。
それ以上に人間関係の構築というのがひどく面倒で、その日限りというのを好んだから。日雇いの仕事を選んだ理由なんて、ただそれだけであった。
今日はゴルフ場で、ひたすら出店の手伝いをしていた。作るということはしなかったけれど、お客さんの対応は任されていた。
注文を受け付け、お代を受け取り商品を提供する。その正確さとスピードさえあれば誰がやっても良い仕事で、誰がやっても同じで、私から購入したということなんてお客さんの誰だった気にも留めないだろう。
そうやって希薄な存在の中で生きることを選択しているのだ。
しかしながら日雇いとはいえ、同じ派遣会社を利用していればいつも見る顔ぶれというのも少なくはなかった。
この日もよく見る青年がいた。
彼はとても礼儀正しくて、幼く見える私にも最初から敬語を使って、年上だとわかればなお変わらず敬語を使ったのだ。
一言で言えば”いい人”で、もう少し付け加えればきっと”いい人”止まりなのだろうと感じた。
彼は決して私ほどのスピードで仕事をする人ではなかったが、丁寧な仕事ぶりと人当たりの良さは絶大であった。なぜこのような人が日雇い派遣にいるのだろうと私でさえ不思議に思うほどであった。
天候が芳しくないのは、前日の夜の天気予報から知ってはいたけれど、強く吹き始めた風に露店のテントが揺さぶられ始めたのがわかった。
空が曇天に覆われて、素人目にみても雨が降ると予感させた。
雷がごろごろと呻りだした。ゴルフの大会は一時中断され、派遣の人間は何かあってはいけないからと、より大きなテントへと避難するように指示をされた。
避難している間の時給はどうなるのだろうかとか考えながらも、私もその青年も指示されるがままに避難する他なかった。
大きなテントでも揺さぶられているのがわかるほどの強風で、ここでは避難にはならないのではないかというのが正直なところであった。
それでもここは飲食・休憩スペースも兼ねているところで、私たち以外にも普通にお客さんや他所のスタッフたちが大勢いたのだ。
雷が本格的に光だした。
あの日の流星群より威圧的な光だった。