1話

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『……ん…ぁ…?……さむ…』


肌を刺すような寒さを感じ、私は目を覚ました

未だ霞んだ視界に瞬きを繰り返しながら、ゆっくりと身体を起こす


『……は…?』


目の前に広がる光景を見て、私は固まった


『……どこだ…ここ…』


深い、深い森の中

雪が降り積もった道のド真ん中に、私はいた

全く見覚えの無い、知らない場所

意味が分からない


『………ってか冷たッ!!


雪が積もった道に座り込んでいる事にやっと気付き、飛び起きる様に立ち上がる

幸い服は濡れてなかったが、相変わらずの容赦ない寒さに腕を擦った

生憎今の私の服装は、薄手のブラウスにガウチョパンツ、靴はコンフォートサンダルという、この場所の気候に似つかわしくない格好をしていた

……いや、おかしいだろ

今の季節は夏だったはずだ

北海道でもこんな雪降ってねぇぞ、多分


『何なんだよ…何で私はこんな所に……』


取り敢えずここにずっといる訳にもいかないので、仕方なく歩き始める

ザクザクと雪を踏みしめるに連れ、足の指の感覚が無くなっていくように感じた

冗談じゃねぇ、私は寒いのが苦手なんだよ

歩を進める度に、寒さで歯がカタカタと鳴る

一向に人の気配すら感じない薄暗い森の中を、サッサと抜け出したいが為に段々と早歩きになる

とにかく、どこかの店にでも入らなければ

人に会う以前に、このままじゃ凍死してしまう

焦る心情の中、私は寒さに耐えきれず……


『……っは…は…ハックション゛ッ!!


盛大にクシャミをした


「ワオ、随分と大きなクシャミだな」

『んぁ、あ…!?』


その時、背後から突然声が聞こえた

私はムズムズしている鼻を擦りつつ、素っ頓狂な声を上げながらも振り返る

そこにいたのは、私よりも頭一つ分程低い身長で、青いパーカーを着た人物

………否


「お陰ですぐに分かったぜ、アンタがここにいる事がな」

『………え…?』


そこにいたのは、“骨”だった


『……は…?ほ、骨……?』

「? ……ああ、“スケルトン”を見たのは初めてか?」

『す、すけるとん…?』

「そうさ。オイラはサンズ、見ての通りスケルトンだ。それはそうと、アンタはニンゲンだろ?ははは、ウケるな」


“サンズ”と名乗ったスケルトンは、常に笑っている様な表情のまま肩を揺らした

………いや、いやいやいやいや


『ちょ、ちょっと待て…スケルトンって…いや、そんな……』

「何だ、信じられないか?」

『そ、そりゃあ…にわかには……』

「まっ、アンタがどう思おうが勝手だが。現にオイラはここに存在してるんだけどな」


どこか飄々とした態度のまま、サンズは肩を竦めて“やれやれ”といったポーズを取る

……確かにこいつの言う通り、信じられないけど目の前にいるのが現実だ

頭の中で理解が追い付いていないだけで、既に確信しているこのスケルトンの存在に、私は頭が痛くなっていた

そんな私を知ってか知らずか、サンズは変わらぬ態度のまま片手を差し出す


「そんな事より、次はそっちが名乗る番だぜ?初めて会うのに挨拶もなしなんて、ツレない事は言わないよな?」

『えっ…あ、ああ…えっと、私はソラ海堂ソラっていい…ます……』


どこか今更な敬語を使用しつつ、握手を求めているサンズの手を恐るおそる握る

厚手の手袋をしていて分からなかったが、その硬い感触は確実に“人”のものではなかった

……これは、多分、本当に“骨”だ

“骨”が、動いてるんだ

そんな考えが頭を過った、その時
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