「ガラ空きだ」

「！！ しまっ……」

「ヘッドホンちゃん危ない！！」


カイの射線内に入ってしまったヘッドホン

ヘッドホンが振り返る前に、すぐさま引き金が引かれる

だがその瞬間、ヘッドホンを庇うようにゴーグルが前に出た


「えっ！？」

「待て！！ゴーグル！！」


復帰したメガネがリスポーン地点から叫ぶが、それも空しく


バキンッ！！


二人共、呆気なく撃ち抜かれてしまった


《続けてカイ選手の洗礼ー！またもや二枚抜きだー！！》

「「アホ──ッ！！！」」

「チャージャー相手に一列に並んだら撃ち抜かれるに決まってるだろー！？」

「あははー忘れてたー！」


復帰してきたゴーグルに怒るメガネだったが、ゴーグルはあっけらかんとした態度で笑う

そんな様子を観客席から見ていたライダーは、一つ大きな溜息を吐いた


「何やってんだあいつらは……」


そう呟いた後、頂上エリアにいるリクへと視線を移す

そして、手に持っている武器を見て眉間に皺を寄せた


「(……オレと同じ、“ダイナモローラーテスラ”…)」


確かリクの持ち武器は普通のダイナモだったはず

わざわざ持ち替えたのか？いったい何の為に？

そう考えていると、ふとリクがこちらを見ているような気がした

そしてその口角が、ニヤリと上がる


「！！ (……まさか…ッ！)」


“当てつけ”か……！！

リクの意図を読み取ったライダーは、ブチッと青筋を立てて盛大に舌打ちをした

そんな様子を眺めていたカイは、小さく溜息を吐いてリクに言う


「……あまり揶揄ってやるな」

「はっはっは！いやなに、反応が面白くてな！」

「……今のアイツは、変ったと聞いたが」

「ああ、そうらしいな。昔は大分トガっていたが…ブルーチームに敗けてからは、随分と丸くなったようだ」


“バトルは強ぇヤツが1人いれば勝てる”と言っていた頃のライダーを知っているのか、リクはイロメガネの下で目を細めた


「まあ“イカ生”何が起こるか解らないってな！昔のアイツはいけ好かなかったが、今のアイツはどうだかな」

「……だからテスラにしたのか…」

「それだけが理由じゃないぞ？テスラのスペシャルは“こいつ”だからな！」


そう言って、リクはパッドを取り出してロケットの様な物を撃ち上げた

その着弾点は、未だにリスポーン地点の手前にいるブルーチームの所


「！！ まずい！これは…！！」