「俺は、君を信じない」

「！！ ……どうして？」

「俺は、ソラはそんな事しない人だって知ってるから」


そう言って、綱吉は屋上を出て行った


「……どうして…どうして誰も信じようとしないの…？姫花は“お姫様”なのよ…？理解出来ないわ……おかしい……こんなのおかしいわよ……」


愛崎は一人、虚ろな表情でブツブツと呟き始めた

事が収まったのを見計らい、愛崎の目の前にソラが瞬身の術で戻って来る


『……分かったか？誰かを騙して自分が得しようとしたって、必ず上手くいくとは限らねぇんだよ』

「……よくも私を…嵌めてくれたわね…」

『馬鹿言ってんじゃねぇよ。先に嵌めようとしたのはそっちだろ』

「……ああ…うふふ…そうよ、その通り」


うふふ、うふふふ、と壊れた様に笑う愛崎

そしてピタッと笑いが止まったかと思うと、ソラの顔を今までに見た事も無い様な、恐ろしく歪んだ表情で鋭く睨んだ


「姫花の思い通りにならない筈なんて無いわ。貴女にも、必ず地獄を見せてあげる」


それだけ言うと、愛崎はフラリと立ち上がり、そのまま屋上から出て行った


『……地獄、ねぇ…』


一体どんな地獄を見せてくれるんだろうな

そう言ったソラの顔は、どこか楽しそうにニヤリと笑っていた

そしていかんいかんと口元を押さえた後、タンクの方を向いて言った


『お前らー、もう下りて来て良いぞー』


すると京子と花が急いで下りて来て、そのままの勢いでソラに抱きついた


『うおっ』

「凄いよソラ！あの愛崎さんに勝っちゃうなんて！！」

「流石ソラだわ！！」


二人共相当興奮しているのか、ワアワアと嬉しそうにソラを称賛した

そんな二人に苦笑いを零しつつ、ソラは言う


『分かった分かった、喜んでもらえて何よりだっての！ンな事よりお前ら、もうそろそろチャイムが鳴るんじゃねぇか？』


時計を見たら、あと5分程でチャイムが鳴ってしまうようだ


「あ、本当だ！早く教室行かなきゃ！」

「じゃあ行こう？二人とも！」

『……あー、いや、私はここに残る』

「えっ？何で？」

『ちょっと用事が出来てな』

「そう…分かったわ」

「それじゃあ、また後でね！」


明るく手を振りながら屋上を出ていく二人を、ソラは軽く片手を挙げて見送った