『ボンゴレ……？何だそれ』

「マフィアだぞ」


いや、マフィアだぞって言われても

それが何なのか知らねぇんだが？


『……マフィアが何なのかはよく分かんねぇけど……私はもうとある組織に入ってんだ。だから他を当たってくれ』

「！ ……ソラ…まさかお前、マフィアなのか？」

『いや、だからマフィアなんて知らねぇっての。私は暁のメンバーなんだよ』

「暁……？」

『……何だお前、暁を知らねぇのか？』


ああ、と小さく頷くリボーン

通りで、私のこの服装を見ても気付かねぇ訳か

黒いコートに赤い浮雲模様のそれは、暁を象徴とする忍服

誰しも一度は耳にする、極悪非道なＳ級犯罪者集団

それを知らないなんて、大分世間知らずなのか？

まあまだ子供な訳だし、知らなくても無理ないか

こいつ、全然子供っぽくねぇけど

………いや、違う

そうじゃねぇだろ

自分でも薄々気付いてんだろ

突き付けられた、見た事も無い黒い何か

“マフィア”という、聞いた事も無い単語

挙句の果てには、窓の外に広がる知らない景色

………全く、面倒事は嫌いだってのに


「オイ、聞いてんのか？何なんだ、その暁ってのは」

『(……あまり自分らの事を他人に言いたくはねぇけど…背に腹は変えられねぇか) ……これから言う事を信じてくれるってんなら、教えてやるよ』

「………場合によるな」

『はは、賢明な答えだ』


ソラはリボーンにこれまでの経緯と、自分で導き出した答えを話した

それを聞いたリボーンは、先程よりも分かりやすく目を見開き、有り得ないとでも言いたげな表情をした

だが暫く長考した後、何かに納得したかの様に一つ頷き、ソラに顔を向ける


「じゃあお前は、どうしてこんな所にいるのかも分からねぇし、帰り方も知らねぇって事だな？」

『ああ…まあ、そうだな』


私の答え、それは

今いるこの世界は、私のいた世界とは異なるということ

さっき上げた事も含め、更に言ってしまえばリボーンのチャクラすら感じられない

この現状が、全てを物語っている

……何か、頭痛くなってきた

前途多難なこの状況に溜息を吐いていると、何故かリボーンの瞳がキラリと光った気がした


『(……嫌な予感しかしないんだが)』


こういった時の嫌な予感というのは、よく当たるもので


「よし、ソラ。お前ここに住め」

『(…………ほらな)』