オマエは、オレの
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どれ程の時間が経ったのだろう
あれから気を失う様に眠りに就いていたソラは、再び意識を取り戻しつつあった
我ながら随分しぶといなとも思ったが、流石にもう瞼を開ける気力は残っていなかった
ただ真っ暗な視界の中、聴覚だけはやけに鮮明にしっかりと機能していた
そういえば何処かで聞いた事があるが、人間が意識を取り戻す時はまず初めに聴覚が復活するらしい
今がその状態か…なんて心の中で嘲笑っていると、不意にバタバタとした足音が聞こえてきた
多分、きっとシドーだろう
「おい!ソラ!薬草だ!」
案の定聞こえてきたのはシドーの声で、再び私はシドーに抱えられたようだった
「ホラ!口を開けろよ!早くしねぇとオマエが…!!」
焦りながら私の口元に薬草を押し付けるシドー
……ああ、シドー
お前、薬草作ってくれたんだな
やったな、やっと作れたな、お前物作りしたがってたもんな
おめでとう、ありがとう
……でも、ごめんな
もう私は、目を開ける力も、口を開く力も残ってねぇんだ
お前の声は、ちゃんと届いてるってのに
ごめん、ごめんな
せっかく薬草作ってくれたのに
すんなり助からなくて、ごめんな
ソラの意識はまた、徐々に遠のいて行った
「……クソッ…!こうなったら…!」
意を決した様にそう呟いたシドーは、何を思ったのか急に薬草を数枚口に含んだ
そして何回か咀嚼した後、そのまま何の迷いも無くソラの口に自身の口を重ねた
舌で無理矢理ソラの口をこじ開け、細かくなった薬草を押し込む
リップ音を鳴らしつつ顔を離し、ソラが薬草を飲み込んだ事を確認すると、シドーは再び同じ事を繰り返した
死ぬな、頼む、どうか
早く、目を開けてくれ
そしてまた、オレの名前を呼んでくれ
オレに、笑顔を見せてくれ
その一心で、シドーはソラに何度も口付けた
やがて薬草も無くなり、シドーは縋る様にソラの身体を揺すった
「ソラ…起きろ、ソラ…!」
悲痛な叫びにも似た声が、ソラの鼓膜を揺らす
そしてソラはそれに応える様に、微かに身動ぎをした
『………っん……』
「!! ソラ…!!」
ゆっくりと目を開けて身体を起こし、まるで何事も無かったかの様に伸びをするソラ
そんなソラを見て、シドーは安堵の溜息を零して額に滲んでいた汗を手の甲で拭った
「ハッハッハ!呑気に伸びなんかしやがって…!」
『! ……シ、ドー…』
「久しぶりだな!元気だったか?」
目の前で、私のすぐ傍で、晴れやかに笑うシドー
そんなシドーを見て、様々な感情が一気に込み上げてきた
会いたかった、やっと会えた
ムーンブルクではごめんな、またちゃんと謝りたかったんだ
ハーゴンに連れ去られた時は、心臓が止まるかと思った
あんなに他人が憎いと思ったのは生まれて初めてだ
色々一人で抱え込んでたんだよな、もっと私を頼ってくれればよかったのに
お前はカッコつけだし、弱音は吐かないし、普段も兄貴ぶる事あったもんな
素直に言えなかったんだよな、私もそういう時あるからよく分かるんだ
気付けなくてごめんな、一人にしてごめんな、すぐに助けられなくてごめんな
遅くなって、ごめんな
心の中で次々と、言いたい事が溢れてくる
だが、そんな言葉よりも先に、ソラの身体は動いていた
「!! んあ……!?」
まるで飛び付くように、シドーを抱き締めるソラ
突然の事に驚きキョトンとするシドーを他所に、ソラは情けなく震えた声で言った
『……よかった…無事で……よかったぁ…!!』
「……!!」
ボロボロと泣きながら告げられた、心からのその言葉
初めて見るソラの泣いている姿に、シドーは胸の奥がきゅうっと締め付けられる様な感覚に陥った
……ああ、ソラ、オマエって奴は
さっきまで死にそうになってたのは、オマエの方だってのに
今まで何が起きても、全然泣かなかったくせに
オマエはオレの事で、オレの為に、泣いてくれるのか
ソラの震えた身体を力強く、それでいて優しく抱き返す
「……ああ、オマエのおかげだ。心配かけて悪かった…ありがとな」
自分でも分からない感情が、身体中に広がっていく様な感覚を感じていたシドーは、とても温かく、穏やかな表情を浮かべた
暫く二人で抱き合った後、我に返ったソラは慌ててシドーから離れる
『わ、悪い!!そのっ…つ、つい…!!』
気恥ずかしさで赤面しつつも“何をやってんだ私は…!!”と自分を責めていると、シドーは自身の両手を暫く見詰め、さっきのソラの感触を確かめる様に掌をグーパーした後、どこか期待の眼差しでソラを見た
「なあ、今のもう一回やってくれ!」
『は!?今のって…な、何で…!?』
「よく分からないが、何か満たされたというか…嬉しいキモチになったんだ。だからもう一回するぞ!」
何の躊躇いも無しに両腕を広げながらそう言うシドーに、そうだこいつはそういう奴だったと若干痛くなる頭を押さえる
『……なあ、お前さ』
「ん?」
『あんま他の奴らに言うなよ、そういうこと……』
「? 当たり前だろ。それにソラにしか、こういうキモチにはならないからな」
『えっ…それって、どういう……』
疑問符を浮かべるソラに、シドーはまるで自慢気に、ニッと口角を上げて言うのだった
オマエは、オレの
end
(“トクベツ”だからな!)
(屈託の無い笑顔でそう言うシドーに)
(目頭がまた、熱くなった)
あれから気を失う様に眠りに就いていたソラは、再び意識を取り戻しつつあった
我ながら随分しぶといなとも思ったが、流石にもう瞼を開ける気力は残っていなかった
ただ真っ暗な視界の中、聴覚だけはやけに鮮明にしっかりと機能していた
そういえば何処かで聞いた事があるが、人間が意識を取り戻す時はまず初めに聴覚が復活するらしい
今がその状態か…なんて心の中で嘲笑っていると、不意にバタバタとした足音が聞こえてきた
多分、きっとシドーだろう
「おい!ソラ!薬草だ!」
案の定聞こえてきたのはシドーの声で、再び私はシドーに抱えられたようだった
「ホラ!口を開けろよ!早くしねぇとオマエが…!!」
焦りながら私の口元に薬草を押し付けるシドー
……ああ、シドー
お前、薬草作ってくれたんだな
やったな、やっと作れたな、お前物作りしたがってたもんな
おめでとう、ありがとう
……でも、ごめんな
もう私は、目を開ける力も、口を開く力も残ってねぇんだ
お前の声は、ちゃんと届いてるってのに
ごめん、ごめんな
せっかく薬草作ってくれたのに
すんなり助からなくて、ごめんな
ソラの意識はまた、徐々に遠のいて行った
「……クソッ…!こうなったら…!」
意を決した様にそう呟いたシドーは、何を思ったのか急に薬草を数枚口に含んだ
そして何回か咀嚼した後、そのまま何の迷いも無くソラの口に自身の口を重ねた
舌で無理矢理ソラの口をこじ開け、細かくなった薬草を押し込む
リップ音を鳴らしつつ顔を離し、ソラが薬草を飲み込んだ事を確認すると、シドーは再び同じ事を繰り返した
死ぬな、頼む、どうか
早く、目を開けてくれ
そしてまた、オレの名前を呼んでくれ
オレに、笑顔を見せてくれ
その一心で、シドーはソラに何度も口付けた
やがて薬草も無くなり、シドーは縋る様にソラの身体を揺すった
「ソラ…起きろ、ソラ…!」
悲痛な叫びにも似た声が、ソラの鼓膜を揺らす
そしてソラはそれに応える様に、微かに身動ぎをした
『………っん……』
「!! ソラ…!!」
ゆっくりと目を開けて身体を起こし、まるで何事も無かったかの様に伸びをするソラ
そんなソラを見て、シドーは安堵の溜息を零して額に滲んでいた汗を手の甲で拭った
「ハッハッハ!呑気に伸びなんかしやがって…!」
『! ……シ、ドー…』
「久しぶりだな!元気だったか?」
目の前で、私のすぐ傍で、晴れやかに笑うシドー
そんなシドーを見て、様々な感情が一気に込み上げてきた
会いたかった、やっと会えた
ムーンブルクではごめんな、またちゃんと謝りたかったんだ
ハーゴンに連れ去られた時は、心臓が止まるかと思った
あんなに他人が憎いと思ったのは生まれて初めてだ
色々一人で抱え込んでたんだよな、もっと私を頼ってくれればよかったのに
お前はカッコつけだし、弱音は吐かないし、普段も兄貴ぶる事あったもんな
素直に言えなかったんだよな、私もそういう時あるからよく分かるんだ
気付けなくてごめんな、一人にしてごめんな、すぐに助けられなくてごめんな
遅くなって、ごめんな
心の中で次々と、言いたい事が溢れてくる
だが、そんな言葉よりも先に、ソラの身体は動いていた
「!! んあ……!?」
まるで飛び付くように、シドーを抱き締めるソラ
突然の事に驚きキョトンとするシドーを他所に、ソラは情けなく震えた声で言った
『……よかった…無事で……よかったぁ…!!』
「……!!」
ボロボロと泣きながら告げられた、心からのその言葉
初めて見るソラの泣いている姿に、シドーは胸の奥がきゅうっと締め付けられる様な感覚に陥った
……ああ、ソラ、オマエって奴は
さっきまで死にそうになってたのは、オマエの方だってのに
今まで何が起きても、全然泣かなかったくせに
オマエはオレの事で、オレの為に、泣いてくれるのか
ソラの震えた身体を力強く、それでいて優しく抱き返す
「……ああ、オマエのおかげだ。心配かけて悪かった…ありがとな」
自分でも分からない感情が、身体中に広がっていく様な感覚を感じていたシドーは、とても温かく、穏やかな表情を浮かべた
暫く二人で抱き合った後、我に返ったソラは慌ててシドーから離れる
『わ、悪い!!そのっ…つ、つい…!!』
気恥ずかしさで赤面しつつも“何をやってんだ私は…!!”と自分を責めていると、シドーは自身の両手を暫く見詰め、さっきのソラの感触を確かめる様に掌をグーパーした後、どこか期待の眼差しでソラを見た
「なあ、今のもう一回やってくれ!」
『は!?今のって…な、何で…!?』
「よく分からないが、何か満たされたというか…嬉しいキモチになったんだ。だからもう一回するぞ!」
何の躊躇いも無しに両腕を広げながらそう言うシドーに、そうだこいつはそういう奴だったと若干痛くなる頭を押さえる
『……なあ、お前さ』
「ん?」
『あんま他の奴らに言うなよ、そういうこと……』
「? 当たり前だろ。それにソラにしか、こういうキモチにはならないからな」
『えっ…それって、どういう……』
疑問符を浮かべるソラに、シドーはまるで自慢気に、ニッと口角を上げて言うのだった
オマエは、オレの
end
(“トクベツ”だからな!)
(屈託の無い笑顔でそう言うシドーに)
(目頭がまた、熱くなった)