オマエが隣に居ないだけで
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ソラに嫌われた
『……シドー…?……ちょ、ちょっと待ってって…!なあ…!!』
脳裏を過るのは、呆然と目を見開くソラの姿
こうなってしまった理由を聞けば、誰もが自業自得だと言うだろう
他でもない、オレ自身が、アイツを突き放したのだから
「……あんなこと…アイツに言うつもりじゃ……クソッ!オレはどうしてこんな…!」
ソラが作った牢屋に入れられた時、オレの中で何かが崩れるのを感じた
オレの全身が、オレの中身が、何とも言い表せない黒いものに染まっていくような気がした
……でも、分かっているんだ
アイツの事だから、どうせあの牢屋もオレを入れる為に作った訳じゃないって
いつもヘラヘラしてる奴だから、いい様に使われただけなんだって
現にアイツは、何度もオレが居る牢屋に来ては、抵抗も虚しく兵士に引き戻されていた
それでも尚めげずに何度も来るアイツに背中を向けながらも、頭のどこかでは、ちゃんと分かっていたんだ
だが、それでも、許せなかった
だって、アイツも
ソラも
「………オレと同じ“キモチ”だと…思ってたんだがな……」
今までずっと、一緒に戦ってきた
色々な島に行き、二人で頑張ってきた
そうしている内に、次第にオレはソラに対して特別なキモチを抱くようになった
このキモチが何なのか、俺にはイマイチよく分からない
だが、少なからずの見当はついている
前にオッカムルという島に行った時、ゴルドンや島の連中は石化したペロを助ける為に、一丸となってメドーサボールに立ち向かった
自分を犠牲にしてまで、誰かを助ける
それを、ソラは“アイ”だと言った
その“アイ”というものが、オレがソラに対して抱いているものに酷似していた
ソラの為なら、オレは戦える
ソラの為なら、オレは強くなれる
ずっと、そう思ってきた
「(……そう思っていたのは、オレだけだったのかもな)」
ソラはビルダーだから、オレよりも弱いから
オレがソラを護ってやらないと、アイツは目を離したらすぐに魔物から攻撃されるから、しょっちゅう怪我するから
オレが、護ってやらないと
「……オレはもう、必要ないんだろうな」
城の後方で高く聳える、巨大な砲台
ミナデイン砲だとかいう魔法兵器を見上げては、眉間に皺を寄せながら目を細めた
オレが牢屋に入っている間に、この大砲をソラは作り上げた
それが、答えなんだろう
実際にアトラスを倒す時、ミナデイン砲は凄まじい威力を発揮した
アトラスを倒せた大半は、ミナデイン砲のお陰だと言っても過言ではないだろう
こんな兵器まで作り上げる事が出来るソラを、わざわざオレが護る必要はあるのだろうか
前まではソラが物を作り、オレが魔物を倒していた
そういう役割分担が、自然と出来上がっていた
それでもアイツは、オレを差し置いて、次々と兵器を作り上げた
魔物を倒すのは、オレの役目だったのにも関わらず
「………クソッ…!!」
今では、ソラを見るだけでムシャクシャするようになってしまった
アイツの声を聞くだけで、耳を塞ぎたくなる
アイツの水色の髪が視界にチラつくだけで、心臓が押し潰される
アイツの青い瞳がオレを捉えるだけで、苦しくて堪らなくなる
アイツがオレ以外の奴と一緒に居て、話をしているだけで
どうしようもなく、虫唾が走るんだ
「……どうしたってんだよ、オレは…!!」
前からどうにも妙だ
オレの中で、何かがずっと蠢いている
言いたくもないような事を言ってしまう
やりたくもないような事をやってしまう
オレはただ、アイツと、ソラと一緒に
一緒に居られたら、それで
それで
「………何言ってんだ……」
突き放したのは、オレの方だろ?
今更、何眠たい事言ってんだよ
もうソラは、オレの事なんかどうとも思ってはいないだろう
そりゃあそうだ、オレが言ったんだからな
“絶交”だって
「……ハッハッハ…」
嘲笑にも似た笑い声が、弱々しく口から零れ落ちる
その声は盛大に打ち上げられているハナビというものの音に掻き消され、誰の耳にも届く事はなかった
モンゾーラでも、オッカムルでも、島の連中が一度は味わったであろうこのキモチ
今のオレの心臓を、容赦無く締め付けてくるもの
こんなキモチになったのは、生まれて初めてだ
なあ、ソラ、教えてくれよ
コレが
“コウカイ”ってやつなんだろ?
「……こんなに、苦しいものなんだな」
城の住人達から離れた場所にある城壁の上で一人、夜空に輝くハナビを見詰める
このハナビってやつも、オマエが作ったものなんだろ?
今はただ、壊したくて堪らなくなるだけだが
それでも、オレは、このハナビを
「……オマエと一緒に、見たかった」
オマエが隣に居れば、これも綺麗だと思えるのだろう
オマエが隣に居れば、この靄がかかった様な感情も無くなるのだろう
ああ、そうだ、やっと気付いた
オレにとって、ソラ、オマエという存在は
あまりにも、デカかったんだな
オマエが隣に居ないだけで
end
(こんなにも、世界は濁って見える)
『……シドー…?……ちょ、ちょっと待ってって…!なあ…!!』
脳裏を過るのは、呆然と目を見開くソラの姿
こうなってしまった理由を聞けば、誰もが自業自得だと言うだろう
他でもない、オレ自身が、アイツを突き放したのだから
「……あんなこと…アイツに言うつもりじゃ……クソッ!オレはどうしてこんな…!」
ソラが作った牢屋に入れられた時、オレの中で何かが崩れるのを感じた
オレの全身が、オレの中身が、何とも言い表せない黒いものに染まっていくような気がした
……でも、分かっているんだ
アイツの事だから、どうせあの牢屋もオレを入れる為に作った訳じゃないって
いつもヘラヘラしてる奴だから、いい様に使われただけなんだって
現にアイツは、何度もオレが居る牢屋に来ては、抵抗も虚しく兵士に引き戻されていた
それでも尚めげずに何度も来るアイツに背中を向けながらも、頭のどこかでは、ちゃんと分かっていたんだ
だが、それでも、許せなかった
だって、アイツも
ソラも
「………オレと同じ“キモチ”だと…思ってたんだがな……」
今までずっと、一緒に戦ってきた
色々な島に行き、二人で頑張ってきた
そうしている内に、次第にオレはソラに対して特別なキモチを抱くようになった
このキモチが何なのか、俺にはイマイチよく分からない
だが、少なからずの見当はついている
前にオッカムルという島に行った時、ゴルドンや島の連中は石化したペロを助ける為に、一丸となってメドーサボールに立ち向かった
自分を犠牲にしてまで、誰かを助ける
それを、ソラは“アイ”だと言った
その“アイ”というものが、オレがソラに対して抱いているものに酷似していた
ソラの為なら、オレは戦える
ソラの為なら、オレは強くなれる
ずっと、そう思ってきた
「(……そう思っていたのは、オレだけだったのかもな)」
ソラはビルダーだから、オレよりも弱いから
オレがソラを護ってやらないと、アイツは目を離したらすぐに魔物から攻撃されるから、しょっちゅう怪我するから
オレが、護ってやらないと
「……オレはもう、必要ないんだろうな」
城の後方で高く聳える、巨大な砲台
ミナデイン砲だとかいう魔法兵器を見上げては、眉間に皺を寄せながら目を細めた
オレが牢屋に入っている間に、この大砲をソラは作り上げた
それが、答えなんだろう
実際にアトラスを倒す時、ミナデイン砲は凄まじい威力を発揮した
アトラスを倒せた大半は、ミナデイン砲のお陰だと言っても過言ではないだろう
こんな兵器まで作り上げる事が出来るソラを、わざわざオレが護る必要はあるのだろうか
前まではソラが物を作り、オレが魔物を倒していた
そういう役割分担が、自然と出来上がっていた
それでもアイツは、オレを差し置いて、次々と兵器を作り上げた
魔物を倒すのは、オレの役目だったのにも関わらず
「………クソッ…!!」
今では、ソラを見るだけでムシャクシャするようになってしまった
アイツの声を聞くだけで、耳を塞ぎたくなる
アイツの水色の髪が視界にチラつくだけで、心臓が押し潰される
アイツの青い瞳がオレを捉えるだけで、苦しくて堪らなくなる
アイツがオレ以外の奴と一緒に居て、話をしているだけで
どうしようもなく、虫唾が走るんだ
「……どうしたってんだよ、オレは…!!」
前からどうにも妙だ
オレの中で、何かがずっと蠢いている
言いたくもないような事を言ってしまう
やりたくもないような事をやってしまう
オレはただ、アイツと、ソラと一緒に
一緒に居られたら、それで
それで
「………何言ってんだ……」
突き放したのは、オレの方だろ?
今更、何眠たい事言ってんだよ
もうソラは、オレの事なんかどうとも思ってはいないだろう
そりゃあそうだ、オレが言ったんだからな
“絶交”だって
「……ハッハッハ…」
嘲笑にも似た笑い声が、弱々しく口から零れ落ちる
その声は盛大に打ち上げられているハナビというものの音に掻き消され、誰の耳にも届く事はなかった
モンゾーラでも、オッカムルでも、島の連中が一度は味わったであろうこのキモチ
今のオレの心臓を、容赦無く締め付けてくるもの
こんなキモチになったのは、生まれて初めてだ
なあ、ソラ、教えてくれよ
コレが
“コウカイ”ってやつなんだろ?
「……こんなに、苦しいものなんだな」
城の住人達から離れた場所にある城壁の上で一人、夜空に輝くハナビを見詰める
このハナビってやつも、オマエが作ったものなんだろ?
今はただ、壊したくて堪らなくなるだけだが
それでも、オレは、このハナビを
「……オマエと一緒に、見たかった」
オマエが隣に居れば、これも綺麗だと思えるのだろう
オマエが隣に居れば、この靄がかかった様な感情も無くなるのだろう
ああ、そうだ、やっと気付いた
オレにとって、ソラ、オマエという存在は
あまりにも、デカかったんだな
オマエが隣に居ないだけで
end
(こんなにも、世界は濁って見える)