オマエが隣に居ないだけで
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
シドーに嫌われた
「散々閉じ込めておいて、困った時だけ頼るなんて…ムシのいい話だ」
ハーゴン軍のスパイであったリックの陰謀により、シドーを牢屋に長い間閉じ込める事になってしまった挙句、悪霊の神と恐れられたアトラスを倒す為に牢屋から出す様な形になってしまった事が主な原因なんだろう
「牢屋を作った事も、都合のいい時だけオレを呼んだのも…もう、何もかもイケすかない」
王様からの命令で、そろそろこの城にも不届き者を入れる牢屋が必要だと言うリックの頼みを聞き、私は確かに自分の手で牢屋を作り上げた
リックはこの話を私に持ち掛ける前に、ハーゴン軍のスパイはアネッサかもしれないと話していた
そのせいもあって、正直に言うと私は、リックが牢屋に入れようとしているのはアネッサなのではないかと思った
この国の仲間であるアネッサを牢屋に入れるというのも如何なものかと思ったが、スパイの実害は出ていたし、兵士が数人死んでしまった事もあった為、仕方の無い事なのかもしれないと内心アネッサに謝りながら作ったのだ
「やっぱり、物を壊すだけが取り柄のオレとビルダーのオマエが合うわけがなかったんだ」
だが、まさか、シドーが牢屋に入れられてしまうなんて
“自分で作った牢屋”に、“大切な相棒”を閉じ込める事になるなんて
「ソラ。オマエとは、これで終わりだ」
シドーの言ったその言葉が、ただただ私の心に深く突き刺さる
背中を向けて歩いて行くシドーに、私は何も言えなかった
シドーが牢屋に閉じ込められている最中も、私は何度もシドーを助けようと奮闘した
牢屋の鍵が無いなら壁を壊せばいい、私のハンマーがあればこんな壁すぐに壊せるのだから
そう思い立って地下に行くも、牢屋の前ですかさず兵士に呼び止められ、シドーと話す事すら出来なくなった
それならばと城の住人達にシドーを牢屋から出してくれと何度も訴え掛けたが、全く取り入ってはくれなかった
為す術無しというのはこの事かと、私は酷く絶望していた
それでも、私は諦めなかった
このムーンブルクの地に平和が戻れば、シドーを出してくれるかもしれない
それならば早くアトラスを倒してしまおうと、私は必死に魔法兵器を作り上げた
私はビルダーで物作りの能力だけはあったから、アトラスに対抗出来る様な兵器を作るしかなかった
私は弱いから
シドーが居なきゃ、何にも勝てないから
そうこうしている内に、魔法兵器であるミナデイン砲が完成した
だが私はもう、そんな事はどうでもよかった
ミナデイン砲やアトラスなんか既に眼中に無く、早くシドーを牢屋から出してくれと王様に言った
そしてやっとの思いでシドーを牢屋から出せた、それなのに
あいつは私の言う事なんか聞く耳も持たず、視線すら合わせずに
“言い訳は聞きたくない”と、そう吐き捨てる様に言った
確かに、シドーが怒るのも無理はない
ずっと牢屋に居て私の奮闘を見ていなかったシドーからしてみれば、私が都合良く掌を返している様に見えてしまったのかもしれない
それでも、あまりにも、そんな言い方って
こんな、仕打ち、なんて
『………馬鹿かよ、私は……』
無事にアトラスを倒し、ムーンブルクに平和が戻っても尚、私の頭の中はシドーの事でいっぱいで
勝利を祝う盛大な宴と共に城壁から打ち上げられた綺麗な花火が、キラキラと美しく夜空に咲き誇っていても、私の心はドス黒く澱んでいて
本当は、この花火も
シドーの隣で、一緒に、見たかった
『(……駄目だ、泣くな、泣くなよ)』
何でアネッサの言葉には、耳を貸すんだよ
何でアネッサに対しては、自分にも非があったと認めて謝るんだよ
何で、私の言葉は、聞いてくれねぇんだよ
………違う、そんな事を言いたいんじゃない
辛かったのはシドーの方だろ
苦しかったのはシドーの方だろ
私の事を信じてくれていたのに、私の事を護ってくれていたのに
私はそれを、踏みにじるような真似をしてしまった
私が泣いていい資格なんて、無いんだ
『………泣くなって…!!』
もちろん裏切ったつもりなんて微塵も無い
今でもシドーは私にとって大切な存在で、大切な相棒だ
それでもこの気持ちは、この想いは、もうシドーに届く事はないのだろう
次々と流れ落ちる涙で袖を濡らしながら、私は誰もいない部屋の隅で蹲った
計り知れない後悔が、私の心を押し潰していく
こんなに悲しく、苦しい気持ちになったのは生まれて初めてだ
外から聞こえる花火の打ち上がる音や、人々の喜びの声に対して
私はもう何も聞きたくないと、強く両耳を塞いでいた
───────
─────
───
「散々閉じ込めておいて、困った時だけ頼るなんて…ムシのいい話だ」
ハーゴン軍のスパイであったリックの陰謀により、シドーを牢屋に長い間閉じ込める事になってしまった挙句、悪霊の神と恐れられたアトラスを倒す為に牢屋から出す様な形になってしまった事が主な原因なんだろう
「牢屋を作った事も、都合のいい時だけオレを呼んだのも…もう、何もかもイケすかない」
王様からの命令で、そろそろこの城にも不届き者を入れる牢屋が必要だと言うリックの頼みを聞き、私は確かに自分の手で牢屋を作り上げた
リックはこの話を私に持ち掛ける前に、ハーゴン軍のスパイはアネッサかもしれないと話していた
そのせいもあって、正直に言うと私は、リックが牢屋に入れようとしているのはアネッサなのではないかと思った
この国の仲間であるアネッサを牢屋に入れるというのも如何なものかと思ったが、スパイの実害は出ていたし、兵士が数人死んでしまった事もあった為、仕方の無い事なのかもしれないと内心アネッサに謝りながら作ったのだ
「やっぱり、物を壊すだけが取り柄のオレとビルダーのオマエが合うわけがなかったんだ」
だが、まさか、シドーが牢屋に入れられてしまうなんて
“自分で作った牢屋”に、“大切な相棒”を閉じ込める事になるなんて
「ソラ。オマエとは、これで終わりだ」
シドーの言ったその言葉が、ただただ私の心に深く突き刺さる
背中を向けて歩いて行くシドーに、私は何も言えなかった
シドーが牢屋に閉じ込められている最中も、私は何度もシドーを助けようと奮闘した
牢屋の鍵が無いなら壁を壊せばいい、私のハンマーがあればこんな壁すぐに壊せるのだから
そう思い立って地下に行くも、牢屋の前ですかさず兵士に呼び止められ、シドーと話す事すら出来なくなった
それならばと城の住人達にシドーを牢屋から出してくれと何度も訴え掛けたが、全く取り入ってはくれなかった
為す術無しというのはこの事かと、私は酷く絶望していた
それでも、私は諦めなかった
このムーンブルクの地に平和が戻れば、シドーを出してくれるかもしれない
それならば早くアトラスを倒してしまおうと、私は必死に魔法兵器を作り上げた
私はビルダーで物作りの能力だけはあったから、アトラスに対抗出来る様な兵器を作るしかなかった
私は弱いから
シドーが居なきゃ、何にも勝てないから
そうこうしている内に、魔法兵器であるミナデイン砲が完成した
だが私はもう、そんな事はどうでもよかった
ミナデイン砲やアトラスなんか既に眼中に無く、早くシドーを牢屋から出してくれと王様に言った
そしてやっとの思いでシドーを牢屋から出せた、それなのに
あいつは私の言う事なんか聞く耳も持たず、視線すら合わせずに
“言い訳は聞きたくない”と、そう吐き捨てる様に言った
確かに、シドーが怒るのも無理はない
ずっと牢屋に居て私の奮闘を見ていなかったシドーからしてみれば、私が都合良く掌を返している様に見えてしまったのかもしれない
それでも、あまりにも、そんな言い方って
こんな、仕打ち、なんて
『………馬鹿かよ、私は……』
無事にアトラスを倒し、ムーンブルクに平和が戻っても尚、私の頭の中はシドーの事でいっぱいで
勝利を祝う盛大な宴と共に城壁から打ち上げられた綺麗な花火が、キラキラと美しく夜空に咲き誇っていても、私の心はドス黒く澱んでいて
本当は、この花火も
シドーの隣で、一緒に、見たかった
『(……駄目だ、泣くな、泣くなよ)』
何でアネッサの言葉には、耳を貸すんだよ
何でアネッサに対しては、自分にも非があったと認めて謝るんだよ
何で、私の言葉は、聞いてくれねぇんだよ
………違う、そんな事を言いたいんじゃない
辛かったのはシドーの方だろ
苦しかったのはシドーの方だろ
私の事を信じてくれていたのに、私の事を護ってくれていたのに
私はそれを、踏みにじるような真似をしてしまった
私が泣いていい資格なんて、無いんだ
『………泣くなって…!!』
もちろん裏切ったつもりなんて微塵も無い
今でもシドーは私にとって大切な存在で、大切な相棒だ
それでもこの気持ちは、この想いは、もうシドーに届く事はないのだろう
次々と流れ落ちる涙で袖を濡らしながら、私は誰もいない部屋の隅で蹲った
計り知れない後悔が、私の心を押し潰していく
こんなに悲しく、苦しい気持ちになったのは生まれて初めてだ
外から聞こえる花火の打ち上がる音や、人々の喜びの声に対して
私はもう何も聞きたくないと、強く両耳を塞いでいた
───────
─────
───