もう何でもいいから
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からっぽ島でハーゴン軍の襲撃を受け、シドーに連れられ命からがら船で必死に逃げたが運悪く魔物に捕まってしまい、今は監獄島という所で更生という名の破壊をさせられている
破壊と言っても雑草を刈り取ったり、見張り台を修理したり等、殆ど雑用みたいなものなんだが
そもそも見張り台の修理は破壊活動ではなく、むしろ物作りに入るのでは……
シドーも言っていたが、ハーゴンの教えというのは割とテキトーなものなのかもしれない
でもキャベツを作らされた後、そのキャベツを松明で燃やさせられた時は、さすがの私もなんて無意味な事をと思ったものだ
“無くなったのならまた作ればいい”と言う私に、看守長は“強がりを”と嘲笑ったが、大してダメージを受けなかったのはビルダーである性なのか
それはさて置き、そんな更生を続けて早五日目
未だ行方知れずの船長を探し出し、早くみんなが待つからっぽ島に帰らなければ
私を逃がす為に、身体を張ってハーゴン軍に立ち向かった住人達の為にも
そして何より、私を護る為に一緒に魔物と戦い、ずっと傍にいてくれたシドーの為にも
早くここから、脱獄しなければ
そう考えていた矢先の出来事だった
「ありがとうニンゲンさん。ぷるぷる、ぼく悪いスライムじゃないよ。……なんて言うと思ったか!オレサマの名はスライハルトってんだ。勝手に変な名前つけてんじゃねえ!」
『お、おお……』
倉庫の前にあるフライパンで貰ったキャベツを料理しながら、倉庫番をしているモンばあというおばあさんと色々話していると、倉庫の奥から一匹のスライムがこちらへとやって来た
それを見たモンばあが私に“魔物使いの指輪”と“魔物のエサ”を渡し、仲間にしてみろと言う
走り寄ってきた可愛いスライムを蔑ろにするのも忍びないので、取り敢えず言われた通り魔物のエサを与えると、スライムは嬉しそうに飛び跳ね懐いてくれたのが見て取れた
色が綺麗な青色をしていた為、ある日ジメジメ島で見掛けた紫陽花を思い出し、私はスライムを“アジサイ”と名付けた訳だが
「……だが、ま、アジサイってのも悪い名前じゃねえ。アンタのスキに呼びゃいいさ」
『そ、そりゃよかった……』
じゃあ何でさっき怒鳴られたんだ私は……
まあ元々名前があるのに急に知らねぇ奴から名付けられたら、そりゃ魔物でも怒るか…と、少し苦笑い気味に笑う
アジサイの話によると、私とシドーの脱獄を手助けしてくれるらしい
“ビルダーとオレサマなら絶対に出来る!”と断言するアジサイに、シドーは“スライム風情が偉そうに”と呆れた様に溜息を吐いた
だがそんなシドーに対しても“オレサマがアンタも逃がしてやるぜ”と、大分自信があるようだ
脱獄というのは太陽の下でやるものではないというアジサイの言葉に、確かに一理あると頷く
真昼間からコソコソ脱獄しようなんざ、自ら見つけて下さいと言っているようなものだ
そんな訳もあり、今日の夜から作戦開始といく事にした
「じゃあそれまで暇だな…ソラ、特にやる事もねぇし、そこのベンチにでも座って時間を潰すか?」
『ああ…そうするか』
私達は今、囚人という立場の筈なんだが、何故かここの監獄は暇な時間も多い
ゆとりを持たせる事で自然と己の事を考え始めてしまう人間の心理を突いた、ハーゴン軍のいつものやり方だとモンばあは言っていたが、こうも暇な時間が多いと逆に意味無いのでは…と思ってしまう
まあそのお陰で、こうして脱獄の計画を進められる訳だが
取り敢えずシドーに言われた通りベンチに座って待とうとした時、アジサイが私に向かって言った
「さて…オレサマがウロチョロしてると看守どもにあやしまれちまう。夜になるまでアンタの服の中にかくれさせてもらうぜ」
『えっ』
そう言うやいなや、アジサイは瞬時に私へと飛びつき服の中へスルリと入った
もう一度言うが、私達は今囚人という立場にいる
もちろん自分が持っていた物は全て没収され、私は身ぐるみも剥がされボロの服に着替えさせられた──何故かシドーの服はそのままだったが
そういった事もあり今着ているボロの服の下は、下着は付けているもののインナー等は着ていない訳で
『!? ちょっ…!待っ…アジサイ…!ひっ…!!』
アジサイのひんやりプルプルとした感触が、私の腹回りを襲う
な、何だこれ、すげぇ擽ったい……!!
これを夜まで耐えなきゃいけねぇのかと少し涙目になりながら身体を強ばらせていたら、それを見たシドーが目を見開きながら焦り出した
「おいソラ!どうした!?アジサイに何かされてるのか!!」
『え、あ、いや、違……』
「待ってろ!今すぐ引き剥がしてやる!!」
『は』
そう言いながら私の目の前まで近づいたシドーは、あろう事か私の襟元から自らの手を服の中に突っ込んだ
その流れる様な動作と勢いに、私の身体は完全に固まり、思考も停止した
「クソッ逃げんじゃねぇ!サッサと出て来やがれ!!」
「なっ、何だってんだよ急に!!危ねぇだろシドー!!」
「キッシッシ…随分と大胆な小僧じゃのう……」
『……~~~ッ…!!!』
近くで傍観していたモンばあの笑い声が限りなく遠くから聴こえてくる様な感覚に陥りながら、私はまるで魚の様にパクパクと口を開け閉めさせる
極度の至近距離のせいというか、シドーの顔は数センチ先にあるし、シドーの腕は容赦無く私の服を弄ってるし、シドーの体温も、息遣いも、匂いも、全部、全部
頭が爆発しそうなくらい顔を真っ赤にさせていると、シドーの燃えるような赤い瞳と私の青い瞳がバチリと合った
あ、駄目だこれ
限界だ
「ソラ!大丈夫か!?」
『……も…!!も……!!』
もう何でもいいから
end
(早く手ぇ抜けぇええッ!!!)
(キッシッシ…若いってのはいいもんだねえ)
破壊と言っても雑草を刈り取ったり、見張り台を修理したり等、殆ど雑用みたいなものなんだが
そもそも見張り台の修理は破壊活動ではなく、むしろ物作りに入るのでは……
シドーも言っていたが、ハーゴンの教えというのは割とテキトーなものなのかもしれない
でもキャベツを作らされた後、そのキャベツを松明で燃やさせられた時は、さすがの私もなんて無意味な事をと思ったものだ
“無くなったのならまた作ればいい”と言う私に、看守長は“強がりを”と嘲笑ったが、大してダメージを受けなかったのはビルダーである性なのか
それはさて置き、そんな更生を続けて早五日目
未だ行方知れずの船長を探し出し、早くみんなが待つからっぽ島に帰らなければ
私を逃がす為に、身体を張ってハーゴン軍に立ち向かった住人達の為にも
そして何より、私を護る為に一緒に魔物と戦い、ずっと傍にいてくれたシドーの為にも
早くここから、脱獄しなければ
そう考えていた矢先の出来事だった
「ありがとうニンゲンさん。ぷるぷる、ぼく悪いスライムじゃないよ。……なんて言うと思ったか!オレサマの名はスライハルトってんだ。勝手に変な名前つけてんじゃねえ!」
『お、おお……』
倉庫の前にあるフライパンで貰ったキャベツを料理しながら、倉庫番をしているモンばあというおばあさんと色々話していると、倉庫の奥から一匹のスライムがこちらへとやって来た
それを見たモンばあが私に“魔物使いの指輪”と“魔物のエサ”を渡し、仲間にしてみろと言う
走り寄ってきた可愛いスライムを蔑ろにするのも忍びないので、取り敢えず言われた通り魔物のエサを与えると、スライムは嬉しそうに飛び跳ね懐いてくれたのが見て取れた
色が綺麗な青色をしていた為、ある日ジメジメ島で見掛けた紫陽花を思い出し、私はスライムを“アジサイ”と名付けた訳だが
「……だが、ま、アジサイってのも悪い名前じゃねえ。アンタのスキに呼びゃいいさ」
『そ、そりゃよかった……』
じゃあ何でさっき怒鳴られたんだ私は……
まあ元々名前があるのに急に知らねぇ奴から名付けられたら、そりゃ魔物でも怒るか…と、少し苦笑い気味に笑う
アジサイの話によると、私とシドーの脱獄を手助けしてくれるらしい
“ビルダーとオレサマなら絶対に出来る!”と断言するアジサイに、シドーは“スライム風情が偉そうに”と呆れた様に溜息を吐いた
だがそんなシドーに対しても“オレサマがアンタも逃がしてやるぜ”と、大分自信があるようだ
脱獄というのは太陽の下でやるものではないというアジサイの言葉に、確かに一理あると頷く
真昼間からコソコソ脱獄しようなんざ、自ら見つけて下さいと言っているようなものだ
そんな訳もあり、今日の夜から作戦開始といく事にした
「じゃあそれまで暇だな…ソラ、特にやる事もねぇし、そこのベンチにでも座って時間を潰すか?」
『ああ…そうするか』
私達は今、囚人という立場の筈なんだが、何故かここの監獄は暇な時間も多い
ゆとりを持たせる事で自然と己の事を考え始めてしまう人間の心理を突いた、ハーゴン軍のいつものやり方だとモンばあは言っていたが、こうも暇な時間が多いと逆に意味無いのでは…と思ってしまう
まあそのお陰で、こうして脱獄の計画を進められる訳だが
取り敢えずシドーに言われた通りベンチに座って待とうとした時、アジサイが私に向かって言った
「さて…オレサマがウロチョロしてると看守どもにあやしまれちまう。夜になるまでアンタの服の中にかくれさせてもらうぜ」
『えっ』
そう言うやいなや、アジサイは瞬時に私へと飛びつき服の中へスルリと入った
もう一度言うが、私達は今囚人という立場にいる
もちろん自分が持っていた物は全て没収され、私は身ぐるみも剥がされボロの服に着替えさせられた──何故かシドーの服はそのままだったが
そういった事もあり今着ているボロの服の下は、下着は付けているもののインナー等は着ていない訳で
『!? ちょっ…!待っ…アジサイ…!ひっ…!!』
アジサイのひんやりプルプルとした感触が、私の腹回りを襲う
な、何だこれ、すげぇ擽ったい……!!
これを夜まで耐えなきゃいけねぇのかと少し涙目になりながら身体を強ばらせていたら、それを見たシドーが目を見開きながら焦り出した
「おいソラ!どうした!?アジサイに何かされてるのか!!」
『え、あ、いや、違……』
「待ってろ!今すぐ引き剥がしてやる!!」
『は』
そう言いながら私の目の前まで近づいたシドーは、あろう事か私の襟元から自らの手を服の中に突っ込んだ
その流れる様な動作と勢いに、私の身体は完全に固まり、思考も停止した
「クソッ逃げんじゃねぇ!サッサと出て来やがれ!!」
「なっ、何だってんだよ急に!!危ねぇだろシドー!!」
「キッシッシ…随分と大胆な小僧じゃのう……」
『……~~~ッ…!!!』
近くで傍観していたモンばあの笑い声が限りなく遠くから聴こえてくる様な感覚に陥りながら、私はまるで魚の様にパクパクと口を開け閉めさせる
極度の至近距離のせいというか、シドーの顔は数センチ先にあるし、シドーの腕は容赦無く私の服を弄ってるし、シドーの体温も、息遣いも、匂いも、全部、全部
頭が爆発しそうなくらい顔を真っ赤にさせていると、シドーの燃えるような赤い瞳と私の青い瞳がバチリと合った
あ、駄目だこれ
限界だ
「ソラ!大丈夫か!?」
『……も…!!も……!!』
もう何でもいいから
end
(早く手ぇ抜けぇええッ!!!)
(キッシッシ…若いってのはいいもんだねえ)