あんなの、もう
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からっぽ島に、光が戻った
シドーの神の力と私の物作りの力を合わせて、幻だったこの世界を“本物の世界”にする事が出来た
前方には、綺麗に晴れ渡る空を見上げては、両手を挙げて喜ぶからっぽ島の住人達
隣には、清々しい笑顔を湛えているシドーの姿
……ああ、終わったんだ
今度こそ、何もかも
全部、取り戻せた
「さすがっス!!やっぱりソラさんとシドーさんは最高っスよぉおお!!」
「まさか本当に一から世界を作り上げちゃうなんて…!!」
「オイラは信じてたぞ!!二人なら絶対にやり遂げるって!!」
喜びの声と共に、二人のもとへと集まる住人達
「ハッハッハ!オレとソラの手にかかれば、これぐらいどうって事ないぜ!」
「どわーーーっはっはっは!!素晴らしい!それでこそお主達だ!!」
「当ったり前よ!ソラとシドーなら出来て当然だわ!」
得意気に胸を張るシドーに、ドルトンがシドーの背中を叩きながら称賛する
そんな二人に対して、ルルがどこか誇らしげに笑った
『…………』
みんな、笑ってる
楽しそうに、嬉しそうに、笑ってる
この世界が、全て幻だと知った時から
シドーが連れ去られた、あの時から
辛くない日なんて無かった
苦しくない日なんて無かった
自分の不甲斐なさを呪わなかった日なんて、一度も無かった
私には、何も出来ないんじゃないかって
シドーが連れ去られたのも、私のせいなんじゃないかって
みんなに悲しい思いをさせたのも、全部、全部
それでもみんなは、私を責めずに居てくれた
それどころか、私の事を労い、支え、背中を押してくれた
私を、信じてくれた
そんなみんなのお陰で、私は今ここに居る
ムーンブルクの一件から、どうしても心を蝕み続けていた負の感情
いつも傍に居てくれたシドーが、私に背中を向けて離れて行ったあの日から、私の心は全く晴れなかった
何を作っていても、どんな言葉をかけられても、全然響かなかった
それが、今じゃどうだ
みんなが笑ってる、みんなが喜んでる
シドーが、傍に居る
みんなはそれを全部、私とシドーのお陰だと言ってくれてる
『…………』
誇ってもいいのか
胸を張ってもいいのか
世界を作り変えた事を、シドーを連れ戻せた事を
みんなの笑顔を、取り戻せた事を
「ソラ!何をボーッとしてるんだ?オマエもこっちに来い!」
ドルトンに連れられてみんなと一緒にワイワイと騒いでいたシドーが、こちらに振り返りニカッと歯を見せて笑った
その視線はどこか愛おしげな、とても温かみのあるものだった
それを見て、私の中を覆い尽くしていた靄が、一気に吹き飛んだ様に感じた
ああ、そうだ、私は見たかったんだ
こいつの心からの笑顔を、もう一度
私が一番見たかったんだ
そうだ、そうだよ
私は、取り戻せたんだ
小さく吐いた息が、弱々しく震える
目の前がジワジワと滲んでいく
情けなく震える肩を、抑えるのがやっとだった
「!? お、おいソラ!どうした!?どこか痛いのか!?」
「えっ?ちょっとどうしたのよシドー、急……に………」
突然大きな声を上げて、焦りながらソラのもとへと駆け寄るシドー
そんなシドーに驚いた面々は、向かった先に居たソラを見て、目を見開いた
あの、いつも優しく頼りになるソラが
今まで弱みは一切見せなかったソラが
今、目の前で、ボロボロと涙を零して泣いていた
「………俺…ソラさんが泣いてるの、初めて見たっス……」
「……ルルも…いつも笑ってるか呆れてるかだったもの……」
堰を切ったように小さく嗚咽を漏らしながら泣くソラに呆気に取られていると、そんな住人達を見たシドーはソラを背中に隠し両手を広げて立ちはだかった
「おいオマエら!あまりジロジロ見るな!!」
「は!?ちょっと何よ急に…!」
「うるさい!ソラの泣いてる姿を見ていいのはオレだけだ!!」
「えっ…シドーさん、それって……」
「ソラ!オマエも早く泣き止め!オレが傍に居てやるから!」
『よかったぁ…みんな無事で…元通りになって…よかったぁ……』
「ソラ様…そこまで私達の事を…!なんとお優しい…!!」
「……にしても聞こえちゃいねぇな、ソラの奴…」
肩を掴んで顔を覗き込みつつこちらを伺うシドーの袖を、縋る様に掴みながら尚も涙を流すソラ
うわ言の様に“よかった、よかった”と言うソラを必死に宥めているシドー
そんな二人を遠目で見ながら、住人達はシドーがさっき言ったトンデモ発言を思い返していた
「……どうやら、当の本人は気付いていないみたいじゃが…凄まじい爆弾発言じゃったのう……」
「あの様子じゃ、ソラも気付いてはいなさそうね……」
「いやはや、“仲良き事は美しきかな”だな!」
「いや、ちょっとズレてるっスよアネッサさん……」
二人の様子を微笑ましげに見ているアネッサに横からツッコミを入れたポンペは、慌てふためくシドーを一瞥しながら溜息を吐いたのだった
あんなの、もう
end
(独占欲丸出しじゃないっスか……)
(……今に始まった事じゃないわよ、“アイツら”の場合はね)
シドーの神の力と私の物作りの力を合わせて、幻だったこの世界を“本物の世界”にする事が出来た
前方には、綺麗に晴れ渡る空を見上げては、両手を挙げて喜ぶからっぽ島の住人達
隣には、清々しい笑顔を湛えているシドーの姿
……ああ、終わったんだ
今度こそ、何もかも
全部、取り戻せた
「さすがっス!!やっぱりソラさんとシドーさんは最高っスよぉおお!!」
「まさか本当に一から世界を作り上げちゃうなんて…!!」
「オイラは信じてたぞ!!二人なら絶対にやり遂げるって!!」
喜びの声と共に、二人のもとへと集まる住人達
「ハッハッハ!オレとソラの手にかかれば、これぐらいどうって事ないぜ!」
「どわーーーっはっはっは!!素晴らしい!それでこそお主達だ!!」
「当ったり前よ!ソラとシドーなら出来て当然だわ!」
得意気に胸を張るシドーに、ドルトンがシドーの背中を叩きながら称賛する
そんな二人に対して、ルルがどこか誇らしげに笑った
『…………』
みんな、笑ってる
楽しそうに、嬉しそうに、笑ってる
この世界が、全て幻だと知った時から
シドーが連れ去られた、あの時から
辛くない日なんて無かった
苦しくない日なんて無かった
自分の不甲斐なさを呪わなかった日なんて、一度も無かった
私には、何も出来ないんじゃないかって
シドーが連れ去られたのも、私のせいなんじゃないかって
みんなに悲しい思いをさせたのも、全部、全部
それでもみんなは、私を責めずに居てくれた
それどころか、私の事を労い、支え、背中を押してくれた
私を、信じてくれた
そんなみんなのお陰で、私は今ここに居る
ムーンブルクの一件から、どうしても心を蝕み続けていた負の感情
いつも傍に居てくれたシドーが、私に背中を向けて離れて行ったあの日から、私の心は全く晴れなかった
何を作っていても、どんな言葉をかけられても、全然響かなかった
それが、今じゃどうだ
みんなが笑ってる、みんなが喜んでる
シドーが、傍に居る
みんなはそれを全部、私とシドーのお陰だと言ってくれてる
『…………』
誇ってもいいのか
胸を張ってもいいのか
世界を作り変えた事を、シドーを連れ戻せた事を
みんなの笑顔を、取り戻せた事を
「ソラ!何をボーッとしてるんだ?オマエもこっちに来い!」
ドルトンに連れられてみんなと一緒にワイワイと騒いでいたシドーが、こちらに振り返りニカッと歯を見せて笑った
その視線はどこか愛おしげな、とても温かみのあるものだった
それを見て、私の中を覆い尽くしていた靄が、一気に吹き飛んだ様に感じた
ああ、そうだ、私は見たかったんだ
こいつの心からの笑顔を、もう一度
私が一番見たかったんだ
そうだ、そうだよ
私は、取り戻せたんだ
小さく吐いた息が、弱々しく震える
目の前がジワジワと滲んでいく
情けなく震える肩を、抑えるのがやっとだった
「!? お、おいソラ!どうした!?どこか痛いのか!?」
「えっ?ちょっとどうしたのよシドー、急……に………」
突然大きな声を上げて、焦りながらソラのもとへと駆け寄るシドー
そんなシドーに驚いた面々は、向かった先に居たソラを見て、目を見開いた
あの、いつも優しく頼りになるソラが
今まで弱みは一切見せなかったソラが
今、目の前で、ボロボロと涙を零して泣いていた
「………俺…ソラさんが泣いてるの、初めて見たっス……」
「……ルルも…いつも笑ってるか呆れてるかだったもの……」
堰を切ったように小さく嗚咽を漏らしながら泣くソラに呆気に取られていると、そんな住人達を見たシドーはソラを背中に隠し両手を広げて立ちはだかった
「おいオマエら!あまりジロジロ見るな!!」
「は!?ちょっと何よ急に…!」
「うるさい!ソラの泣いてる姿を見ていいのはオレだけだ!!」
「えっ…シドーさん、それって……」
「ソラ!オマエも早く泣き止め!オレが傍に居てやるから!」
『よかったぁ…みんな無事で…元通りになって…よかったぁ……』
「ソラ様…そこまで私達の事を…!なんとお優しい…!!」
「……にしても聞こえちゃいねぇな、ソラの奴…」
肩を掴んで顔を覗き込みつつこちらを伺うシドーの袖を、縋る様に掴みながら尚も涙を流すソラ
うわ言の様に“よかった、よかった”と言うソラを必死に宥めているシドー
そんな二人を遠目で見ながら、住人達はシドーがさっき言ったトンデモ発言を思い返していた
「……どうやら、当の本人は気付いていないみたいじゃが…凄まじい爆弾発言じゃったのう……」
「あの様子じゃ、ソラも気付いてはいなさそうね……」
「いやはや、“仲良き事は美しきかな”だな!」
「いや、ちょっとズレてるっスよアネッサさん……」
二人の様子を微笑ましげに見ているアネッサに横からツッコミを入れたポンペは、慌てふためくシドーを一瞥しながら溜息を吐いたのだった
あんなの、もう
end
(独占欲丸出しじゃないっスか……)
(……今に始まった事じゃないわよ、“アイツら”の場合はね)