『んーそっか、この世界は僕がいた世界とは違う世界なんだね？』

「ああ、その可能性が高いな」

『なーんだ、それなら納得だよ』


女ヶ島だのアマゾン・リリーだの、知らなくて当然だ

だってここは、僕が知らない世界なんだもの


「納得だとは言うが…お前さん、どうやって元の世界に帰るつもりじゃ？」

『そうだなぁ……どうしよっか？』

「……薄々気付いてはいたが、随分と軽いものじゃな…」

『まあ分からないものは分からないからね！きっとどうにかなるよ！』


笑って言うソラに、お前さんがそれでいいならいいのじゃが……と、若干呆れ気味に溜息を吐くジンベエ

そんな中、ルフィが名案だと言わんばかりに声を上げる


「帰り方なんて、おれの船に乗ってたらいずれ見つかるだろ！心配すんなって！！」

『そうそう！大丈夫大丈夫！』

「……これは、わしがおかしいんか…？」

「いいや、キミの心配は尤もだろう。ただ二人共、楽観的なだけさ」


二人で楽しげにしているのを眺めながら、頭を抱えるジンベエ

そんなジンベエに、レイリーは余裕そうな笑みを浮かべていた

すると突然、誰かの大声が耳に届いた


「ん！！？レイリーか！！？そなたレイリーではニョいか！？」

「！ おお…グロリオーサか！懐かしいな」

「レイさん！！？」

「レイリー！！？」

「おお、お前達も！！」


森の方から続々と現れる人達を見て、レイリーは笑顔で応えた

そんな中、レイリーには見向きもしない女性が一人


「ルフィ！！！」

「ちょっと姉様！！恩人を前に何て態度！？」


その女性は綺麗な長い黒髪にスタイルの良い身体と、まさに絶世の美女と言っても過言では無い程美しかった

そんな女性が、ルフィの名前を呼び顔を赤らめている

だがルフィはそれに返事をする訳でもなく、立ったままソラを後ろから抱きつつ言った


「お前らレイリーのおっさん知ってんのかー！！」

「ルフィ…目を覚ましたのじゃなっ！わらわ心配で夜も眠れず……！！は…腹がすいておるじゃろう、食事を持ってきた。さァ遠慮せず…！！」

「目も合わせられずに…よう結婚などと仰せなかったニョう……」


大量に持ってきた食材の中にあるスイカに、指で照れながら“のの字”を書いている女性を見て、グロリオーサと呼ばれた老婆は呆れた様に呟いた

そんな中、不意にジンベエの腹の虫が鳴く

それに気付いた女性は血相を変えて、ジンベエを鋭く睨みつけた


「ジンベエ…！！お前の為の食事ではない…！！！……ほん～の少しじゃぞ…！！」

「！」


あまりの形相にビクッと肩を震わせたジンベエだったが、お言葉に甘えてリンゴを手に取り食べ始めた


「ルフィ君……食うておけ！！」

「………！！」

「食う事は…生きる事じゃ！！！」

「…………！！！」


その言葉に、ルフィは置いてあった肉を手に取り豪快にかぶりついた

それをジッと見ていたソラは、近くに置いてあった梨をおそるおそる手に取り、しげしげと眺め始める

そんなソラに、ルフィは肉を食べながらも言った


「ソラ、お前も食っとけ……！！」

『！ ……食べる……これを？』

「おう！沢山あるからな！好きな物を食え！！」

「そうじゃ、腹拵えは大事じゃぞ」

『…………』


ルフィとジンベエを暫く見た後、手に持った梨に視線を落とす

するとソラの存在に今気が付いたのか、女性がギラリと瞳を光らせて言った


「なっ…！！誰じゃそなたは！！どこから来おったのじゃ！！」

『！』

「わらわのルフィと親しげにしおって…！！……ハッ！！ま、ま、まさか……！！！」


突然怒鳴られてビクリと身体を震わせたソラは、手に持っていた梨を放ってルフィの背後へと隠れた

そんなソラを見て段々表情を険しくしていく女性は、震えた声で叫ぶ様に言った