「巨大な滝だ！！！！」


ソラ達の目の前に聳えるのは

海深くまで続く、まさに滝の様な下降流だった


「ず～～～っと下まで海が落ちてく！！！ものスゲースピードだぞ！！？」

「すごい…！！なんて壮大な流れ…！！！直径何百ｍあるかしら……！！」

「面白ェ～～～！！！」

「話を聞くのと見るのとじゃあ、丸っきり違いますね～～！！ヨホホ～～！！！」


そのあまりの凄まじさに感嘆するロビンやブルックを他所に、ウソップは下降流の下を覗き込みながら叫んだ


「底が見えねェ！！下は真っ暗闇だァ～～！！！終わりだ～～！！！あんな速度じゃ海底に叩きつけられて死ぬーーーっ！！！」

「本当に平気なの！？この流れに乗って！！」

『案外何とかなるんじゃない？分かんないけど』

「意外とテキトーだなお前ェ！！？」

「船の心配はするな！！サニー号は宝樹アダムより生まれた最強の船だ！！」


あっけらかんとした態度でいるソラにツッコミを入れるチョッパーの背後で、縄で縛り上げられていたカリブーが慌てて声を上げた


「おい！！“麦わらの一味”！！すぐに引き返せ！！！やべェぞ！！！」

「……何だ…そういやてめェいたな……」

「下をよく見ろ！！怪物がいる！！！」

『怪物？』

「「！！？」」


カリブーの言葉を聞き、真っ暗闇が広がる方を目を凝らして見詰める


「“アレ”がここに住みついてるなんて聞いた事がねェ！！！……！！！“殺戮に飽きる事を知らず…船を狙って大海原を駆け巡る悪魔”！！“人間の敵”！！！」

「あれは……！！！」


真っ暗闇の、その先にいたのは


「クラーケンだァ～～～！！！！」


サニー号の何十倍、何百倍も大きな

まさに“怪物”級の、蛸だった


『大きくてうねうねしてるねぇ～！こんな生き物初めて見たよ！』

「船を何隻も握り潰してやがる！！ここ数日で出航した船が餌食になったんだ！！何ちゅうデカさ！！！怪物ダコ！！！」

「どこから来たのか…！！下降流に乗ろうって船を食い物にしてやがんだ！！！こんな話聞いた事ねェっ！！頼む！！おれも死にたくねェ！！引き返せ！！数日やり過ごせばきっとあの怪物は…！！」

「うるせェ黙ってろ！！！」

「！？」


命乞いをするカリブーを一喝したルフィは、晴れやかな笑顔を浮かべて言った


「いい事考えたんだおれ！あいつをてなずけよう！！！」

「は！！？」


あまりの素っ頓狂な発言に、カリブーも開いた口が塞がらないようだ

それはウソップやチョッパーも同じようで、ルフィの顎を掴んでクラーケンの方に向けながら怒鳴った


「おめー今何つったァ！？ルフィ～～！！！」

「あのタコ手なずけてよ、船を引いて貰おう！」

「アホ言え～～！！！よく見ろ！！！いやよく見なくても見えるだろ！！！あの巨大な姿！！！一体何百年生きてんのか知らねェが！！“クラーケン”はこの世の数々の物語に登場する、もはや空想上の怪物だ！！！」

「“骨なしの生物”…“肉なしのガイ骨”……何だか私と対極にいる様な存在……」

「どうでもいい！！！」


優雅に紅茶を飲みながらそう言うブルックに、すかさずツッコむウソップ

その横で、ロビンはクラーケンを見ながらスケッチブックに写生し始めた


「ほう！！なかなかウメェもんだな」

『本当だ～上手だね！ロビンって絵も描けるんだ！』

「ふふ、ありがとう…滅多に出会えるものじゃないから」

「スケッチて！！！のん気か！！！」